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2013年02月16日

最新脳科学が教える『記憶力を磨く方法』


記憶力を磨く方法 (だいわ文庫)
記憶力を磨く方法 (だいわ文庫)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「脳ネタ」でお馴染みの池谷裕二さんが監修し、サイエンスライターの夏谷隆治さんが書かれた1冊。

勉強法から食べ物まで、幅広く「脳を鍛える」TIPSが紹介されていました。

アマゾンの内容紹介から。
覚えるなんて、簡単だ―。脳の「クセ」を利用して、記憶をしっかり「定着」させれば、サクサク覚えて、忘れない。ちょっとした「刺激」と「コツ」を利用して、ぐんぐん記憶力を伸ばしていく方法。

書名がちょっとシンプルなので、記事の題名には「ホッテントリメーカー」を使ったのですが、違和感がないタイトルができましたw


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【ポイント】

■1.陸上競技のインターバルトレーニングのように脳に負荷をかける


Calderdale Schools athletics champs-194.jpg / AdamKR

高負荷のトレーニングと低負荷のトレーニングを交互に行うインターバルトレーニングは、脳にも効果があります。車のエンジンだって、いつも低速で走るより、ときどき高速回転させて限界能力近くまで負担をかけたほうが性能をフルに発揮できます。(中略)
 
 ふだんの仕事や家事でも、意識の持ち方や工夫次第で、脳を緊張させて向き合うことは可能です。
 たとえば、いつも1時間かかっている作業を30分でミスなくできないかどうか。あるいは、いつもと違う手順でやり遂げることができないかどうか。


■2.よく噛んで食べる


lunchtime... / .martin

 ネズミを使った実験では、固形のエサで育てた場合と、粉末にして与えた場合とでは、前者のネズミのほうが明らかに「頭がよかった」とする報告があります。迷路テストをしてみると、固形のエサで育てたネズミのほうが成績がよく、これはつまり、よく噛んだネズミのほうが記憶力がよかったということです。(中略)

さらに、よく噛んで食べると、消化管からコレシストキニンというホルモンが分泌されることがわかっています。このホルモンは海馬を刺激して記憶力を高める作用を持つありがたい物質なのです。


■3.果物を食べる


Apples and oranges / post406

 リンゴやオレンジなどの果物は、甘味とほどよい酸味(クエン酸)があって疲労をすぐに回復させてくれますが、含まれている糖の内容を見てみると、果糖が30パーセントで残りはプドウ糖とショ糖です。
 つまり、すぐに分解される糖分(ブドウ糖、ショ糖)とゆっくり分解される糖分(果糖)が同居しているのです。もちろんビタミンや繊維質もたっぷり含まれています。
 寝坊して、オレンジ1個だけで朝食をすませたとしても、目覚めをすっきりさせ、すぐに脳のエネルギーとなるブドウ糖を吸収し、さらにはゆっくり分解される果糖も摂ったことになりますから、何も食べないよりはるかに脳を活発にしてくれます。


■4.大豆を食べて「記憶物質アセチルコリン」をつくる

まめやの底力 北海道産大豆 1kg

 大豆食品にはデンプンもたっぷり含まれています。しかもブドウ糖に分解されるスピードがきわめてゆるやかな食品です。タンパク質も申し分ありません。
 けれどももっと注目してほしいのは、大豆食品に豊富に含まれているレシチンです。
 レシチンは簡単にいえば、脳の神経細胞の膜をつくる成分で、アセチルコリンという記憶物質をつくるための原料になります。脳にとって非常に大事な成分なのです。


■5.「なんとなく目を通すだけ」でも記憶の助けになる


Nicole, SOOC / liquene

プライミング記憶は勘違いや暗示に利用されやすいもののように思われますが、それだけではありません。勉強や学習にも有効に使えます。
 たとえば予習。習ったことのない英単語30個をランダムに読んでおきます。1週間後に英単語の学習をすると、先に見ただけ、読んだだけの英単語や関連した単語が記憶されやすくなります。
 つまり、予習すると、その時点では内容の理解に至らなくても、後でかなりの効果があるということです。(中略)

ソファーに寝転んで雑誌でも眺める気持ちで勉強に関する本をパラパラめくる。毎晩20〜30分、そんなことを繰り返しているだけでも効果はあります。


■6.テキストは1冊にしぼる


Light Reading / quattrostagioni

 受験や資格取得の勉強をするときに、何冊もの参考書を広げる人がいますが、記憶を定着させるためには、「これ1冊!」と決めて徹底的に読んだほうがいいのです。
 実際の試験の場面で、「この言葉を説明しなさい」と出題されたときに、「記憶の精緻化についてはあの本の何ぺージにあったはずだ」「前後にはあのことが書いてあった」と記憶を検索する手がかりが得られやすいのです。
 ところがいろいろな参考書を読んでしまうと、記憶が分散してしまいます。脳の中ではそれぞれがパラバラな引き出しに入り、いざというときにあっちこっちの引き出しを引っくり返して検索しなければなりません。これでは探しているうちに時間切れです。


■7.「DHA」は記憶を確かにしてくれる


Pacific saury / scyllarides

 ところで、食物から摂取されたさまぎまな栄養素の中には、そのほとんどを脳が取り込んでしまうものかあります。つまり、それだけ脳にとって大切で、欠かせないい栄養素ということになります。
 それは、マグロやイワシ、サンマなどの魚の脂質(魚油)に多く含まれるDHA(ドコサへキサエン酸)で、不飽和脂肪酸の1つです。このDHAが、記憶と深い関わりのあるシナプスでのスムーズな情報伝達に関与しているといわれているのです。(中略)

 DHAの効果を試した実験は他にもいろいろありますが、すべて結果は同じです。どうやら、DHAには記憶を確かにする効果があるようなのです。


【感想】

◆池谷先生の本にしては、食べ物ネタが多いな、と思ったのですが、よくよく考えたら、本書では池谷先生はあくまで「監修」であり、著者ではありませんでした。

というか、本書を買った時点では、てっきり共著かと勘違いしており、実は「おわりに」を読んだ時点で、初めてその事に気が付いたという。

それどころか、巻末の「監訳者あとがき」によると、池谷先生は本書の原稿を「ほぼ完成された形で初めて受け取った」のだそう。

ΩΩΩ<な、なんだってー

ただし、先生曰く「しかし、私の日ごろの思いや意図は不思議なほど的確に反映されている」「まるで私の分身が書き上げたものであるかのようにさえ錯覚した」とのこと。

そういう意味で本書は、一応「池谷先生のお墨付き」と考えて良さそうです。


◆なお、この手の「脳によい食べ物(薬)」的なネタは、こちらの本が充実していました。

記憶力をのばしたい!
記憶力をのばしたい!

参考記事:【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)

著者がフリー・ジャーナリストだけあって、実際に多くの商品/サービスを体験しているのがミソ。

マーケットプレイスで「1円放出中」ですけど、情報の質・量から言ったらお買い得だと思います。

橋本大也さんもご紹介されていますので、ご参考まで。

記憶力をのばしたい! - 情報考学 Passion For The Future


◆また、本書は第2章「脳はこうして記憶する」で「記憶の仕組み」等について説明しているのですが、この辺りは類書で繰り返し触れられているので丸ごとカットしております。

当ブログの読者さんには、今さら「マジカルナンバー7±2」とか、抜き出してもしょうがないですし。

むしろこういった内容であれば、池谷先生が以前書かれた、こちらの本がよろしいかと。

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)

参考記事:「記憶力を強くする」 池谷裕二(著)(2005年03月15日)

この本を読んだ当時はマインドマップも書いてましたので、こちらもご覧頂ければ。

3522e7b5.jpg
















◆もっとも、私たちが知りたいのは、「仕組み」よりも「記憶する方法」。

本書の第3章や第4章では、上記ポイントの2〜7番目のように、具体的なTIPSについていくつも紹介されています。

ただ、第3章が「日常習慣」に基づいているように、本書は全体として、試験勉強のための「勉強法」「記憶法」というよりは、「日ごろから気を付けておくと良い」という内容が中心。

あまり即効性はないかもしれませんが、気軽に取り入れられる分、ハードルは低いと思います。


頭が良くなる生活を送るために!

記憶力を磨く方法 (だいわ文庫)
記憶力を磨く方法 (だいわ文庫)
プロローグ 効率よく記憶するために脳のクセを知る
第1章 脳を刺激すれば忘れない
第2章 脳はこうして記憶する
第3章 脳を鍛える日常習慣
第4章 試してみよう!記憶力をアップさせる方法


【関連記事】

【オススメ】『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』池谷裕二(2011年12月09日)

「記憶力を強くする」 池谷裕二(著)(2005年03月15日)

【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)

【脳】「Mind パフォーマンス Hacks」Ron Hale-Evans(2007年09月08日)

「脳が冴える15の習慣」築山 節(2006年11月18日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる勉強本。

世界基準で夢をかなえる私の勉強法
世界基準で夢をかなえる私の勉強法

『ハーバード白熱日本史教室』の著者である北川智子さんの最新刊。

今朝の日経の広告でもデカデカと載ってましたね。


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