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2012年12月19日

リア充がひた隠しにしている『たくらむ技術』


たくらむ技術 (新潮新書)
たくらむ技術 (新潮新書)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。

売れっ子プロデューサーである加地倫三さんの「発想術」「仕事術」がコンパクトにまとまっています。

アマゾンの内容紹介から。
「ロンドンハーツ」「アメトーーク! 」(テレビ朝日系)など大人気番組のプロデューサーが、自らの「脳内ノート」を大公開! ヒット企画の陰にある数々の「たくらみ」とは? バカな番組を実現させるクソマジメな仕事術とは? 「トレンドに背を向ける」「企画はゆるい会話から」「勝ち続けるために負けておく」「文句や悪口にこそヒントがある」「スベる人の面白さ」……「面白いもの」が好きな人、「面白い仕事」がしたい人、必読の一冊。

なお、書名がシンプル過ぎるので、タイトルはホッテントリメーカーのお世話になりました。

……実際、加地さんリア充っぽいですしw


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【ポイント】

■1.企画は自分の中にしかない
 番組作りに関して言えば、積極的に流行を取り入れたいとか、最新情報をインプットしようとかいった気持ちが全くないのです。そもそも、そうする必要を感じていません。(中略)
 結局、身の丈に合っていないものというのは、ダメなんじゃないか。そう思うのです。
 視聴者を過剰に意識して、トレンドや最新情報をいくら仕入れたところで、自分自身が「面白い」という強い感情を持たない限り、番組で活かすことはできないし、どうコントロールしていいかも分かりません。


■2.当てにいくものは当たらない
僕も視聴率を、分析や反省の材料にしていて、番組に対する一種の答え合わせのようなものだと受け止めています。自分の予想と違ったとしたらどこが違ったのか、分析をしていくのです。
 しかし、それはあくまでも結果についての話。これからものを作る際に、「まずは視聴率が稼げるように」と考えるのは順序が違うような気がします。「視聴率が稼げるような面白いものを作る」というのと「面白い企画を多くの人に受け入れてもらえるように工夫する」のとでは大きな違いがあると思うのです。


■3.企画はゆるい会話から
「アメトーーク!」がスタートした時に、最初に決めたのは、会議は狭い部屋でやることと、甘いものを食べながらやることでした。その理由は、深夜番組はゆるくて楽しい空気感が出ている方が面白い。それなら、会議も同じ空気の中で行うべきだと考えたからです。


■4.ネットの文句を真に受ける
 いまは多くの人が、ツイッターやブログといった発信手段を持っているので、番組が終わった直後から、さまざまな形での反響を見ることができます。(中略)
「面白かった」「笑えた」「最高」といった反応があれば、嬉しいことですし、励みにもなります。
 でも、そうした賛辞以上に、僕はあえて批判に目を通すように心がけています。それが次につながるからです。
「つまらなかった」という意見はもちろんのこと、「不快だった」「あそこまで言うと何か嫌な感じがした」といった意見を見て、ではどうすればよかったのか、を考えるのです。


■5.制約があるからこそいいものはできる
 子算に限りがあるからダメ、ではなくて、「予算内でどうしようか」と必死に考える。
 時間に制約があるからダメ、ではなくて、「期限内にどれだけ質を向上させようか」と必死に考える。
 内容に制約があるからダメ、ではなくて、「このルール内でどう面白くしようか」と必死に考える。
 つまり新たな脳ミソを使うのです。

 
■6.仕事は勝手にとってくる
 結局、やる気のない奴にチャンスを与えたところで意味がないのではないか、と思うのです。そういう奴は、下手をするとチャンスの意味すら分からないかもしれない。自動的にチャンスが降ってくるような環境にいると、それが当然だと思って、いつの間にか「もらい癖」がついてしまう。
 勝手に仕事をとってくる、ガツガツしているくらいの人じゃないと、与えられたチャンスを活かすことができないような気がします。


■7.本人が面白い必要はない
 入社試験の面接官などをやっていると、すごく個性的な人、独創性にあふれる人が来ることがあります。その人自身から「トンガった」雰囲気が漂っています。
 こういうタイプの人は、面白いし目立つので、面接官によっては高く評価することもあるのですが、僕はまず通しません。いくら面接の段階で面白くても、その魅力を持続できるとは考えられないからです。
 必要なのは「面白さを理解できる頭」「面白さを伝えられる頭」なのです。何が面白いか。どこが面白いか。どこが面白くないか。なぜ面白くないか。自分で問いを設定して、答えを考える能力です。


【感想】

◆あの「ロンドンハーツ」や「アメトーーク!」のプロデューサーさんということで、どんなハチャメチャな方かと思いきや、結構真っ当な方なので、少々意外でした。

……という印象を持つ時点で、私がテレビ業界のことを理解していないのは、直前のポイントにもあった通り。

結局必要なのは、著者の加地さん曰く「まっとうなバランス感覚」であると。

もちろん、個性的だったり、人を笑わせる才能もあるのに越したことはないのでしょうが、本当に必要なのはそれではないんですね。


◆かといって、加地さんが平凡かというと決してそうではなくて。

今回は割愛したものの、下記目次の初っ端にもあるように「バカげた企みほど手間をかける」んですね、コレがw

具体例として挙げられていたのが、「ロンドンハーツ」における、タレントの青木さやかさんの「偽パリコレ企画」。

青木さんにパリコレのモデル・オーディションを受けるためにダイエットをさせ(ウエスト△13cm、体重△7キロ)、本当は落ちていたのに受かったことにしてパリまで連れて行き、本物と見分けがつかないほど豪華なセットで舞台を歩いてもらったという。

ちなみに、一緒に出演したモデルは実際のショーモデルで、演出や技術スタッフも一流どころが手がけたのだそう。

これ、私も実際に観た記憶があるのですが、かなり笑えましたw

さすがにYouTubeに動画がなかったので、当時の画像がある、局のサイトをご紹介しておきます。

ロンドンハーツ2005秋青木さやかパリコレへ驚異のウエスト○cm減60日間耐えたのよSP


◆ところが、この「ロンドンハーツ」にも、一時期「番組打ち切り」のピンチがあったのだとか。

当初は素人さんを対象にした「恋愛ドッキリ企画」が4つあり、いずれも人気だったところが、開始5年目を迎えた頃、いきなり飽きられだし、視聴率も低迷。

その後10週間試行錯誤し、「これがダメなら、もう本当に打ち切りだ」という覚悟を決めてやったのが、今でも人気の企画「格付けしあう女たち」。

ただし、このヒットは偶然ではなく、試行錯誤している間に「成功の芽」とも言える不発企画がありました。

そこから今のスタイルに持って行けたのが、一番の勝因だと思われ(詳細は本書を)。


◆今まで当ブログでも、テレビ関係の方(プロデューサー、放送作家等)のご本を何冊かご紹介してきましたが、「企画・アイデア」本として使うには、ぶっちゃけ普通のビジネスパーソンにはキツいことが多かったです。

そこで今回は、当ブログ的に「アリ」な「比較的汎用性のあるネタ」を中心にまとめてみた次第。

本当はもっと戦略的なお話もあって、例えばこういうツイートがあるとして……。


本書では加地さんが、何でこんな「捨て企画」をやっているのかの「秘密」も明かされているという(ネタバレ自重)。

まさにこれこそが「たくらむ技術」なんですがw


著名プロデューサーの「手口」がここに!

たくらむ技術 (新潮新書)
たくらむ技術 (新潮新書)
1…バカげた企みほど手間をかける
2…企画は自分の中にしかない
3…会議は短い方がいい
4…勝ち続けるために負けておく
5…文句や悪口にこそヒントがある
6…「イヤな気持ち」は排除する
7…計算だけで100点は取れない
8…マジメと迷走は紙一重
9…企画書を通すにはコツがある
10…かわいがられた方が絶対にトク
11…仕事は自分から取りに行け
12…常識がないと「面白さ」は作れない
13…芸人は何を企んでいるのか
14…「企み」は仲間と共に


【関連記事】

東大生がひた隠しにしている『あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。』(2011年12月08日)

【濃厚】「企画脳」秋元 康(2009年08月16日)

【発想】「もったいない主義」小山薫堂(2009年04月08日)

【アイデア】『「考え方」の考え方』指南役(2008年10月30日)

【アイデア思考法】『ビジネスマンのための「儲かる発想」』鳥井シンゴ(2008年02月27日)


【編集後記】

◆こちらはテレビというより、ラジオの方ですが。

音楽に恋をして♪ 評伝・湯川れい子
音楽に恋をして♪ 評伝・湯川れい子

湯川さんには、私が子供の頃「アメリカン・トップ40」で随分とお世話になっていた記憶が(遠い目)。

それにしてもお綺麗です……。


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この記事へのコメント
               
ども。

いつも、ブログ、拝見させていただいてます。

このたび、ブログを新たに開設しました。
けっこう、迷走してますw
もし、昔のブログを読んでいたら、迷走ぐあいが分かるかと。

宜しくお願いします。

ではでは。

Posted by グラさん at 2012年12月20日 09:13
               
>グラさん

コメントありがとうございます!
精力的に活動されていて、スゴイな、と思います。
選書も(まだ1冊ですが)私が読まない(読めないw)タイプのものですし……(汗)。

しいて言うなら、ハイパーリンクでない下線は使わない方が宜しいかと。
……ってこないだまで背景が黒だった私に言われたくないかもしれませんがw

今後ともよろしくお願いします。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年12月21日 06:22