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2012年10月31日

【ベゾスの素顔】『ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』リチャード・ブラント


ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛
ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、皆さんお馴染みのAmazonと、その創設者であるジェフ・ベゾスについて、ジャーナリストであるリチャード・ブラントが掘り下げた1冊。

スティーブ・ジョブズに関する本が山のようにあるのに比べて、ベゾスを取り上げた本は本人の意向もあってか少なく、その点でも一読の価値がある作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、CEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾスの生い立ちから、ウォールストリートでインターネットの重要性に気づき、シアトルのガレージで創業、株価暴落の危機をも乗り越え成功してきたアマゾンの戦略と実像について、元ビジネスウィーク誌記者のベテランジャーナリストが解き明かす!

今回は本書の中から、ベゾスの「人となり」について触れられた部分を抜き出してみましたので、ご覧ください。


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【ポイント】

■1.高校時代から成績優秀
ジェフは高校時代、フロリダ大学の高校生向け科学研修プログラムに参加したり、全米優秀生徒に選ばれたりした。科学分野の最優秀生徒賞も3年連続で獲得したし、数学分野の最優秀生徒賞も2回獲得した。フロリダ南部ではマイアミ・へラルド紙が主催しているシルバーナイトというコンテストが有名だが、このコンテストでも科学分野で賞を獲得している。


■2.対立者を容赦なく打ちのめす
「べゾスは物事の新しい進め方やよりよい進め方にいち早く気づけます。このときも、だめな理由を探してばかりの人に対して『私はこの新しい技術を信じており、この技術を使えばどうなるのかを示してみせます』と宣言し、実際にそうしてしまいました。最終的には、否定派のまちがいだったと立証したのです。まちがった方法や不適切な方法が提案されたとき、そういう人の鼻を遠慮なくへし折る人物だと言えます。彼の議論展開は説得力抜群です。ほかの人たちがまちがっていると証明するわけで、それが摩擦を生じなかったとは言えませんが、ただ、ほかの人たちを怒らせるようなやり方でなかったことは確かです。とてもプロフェッショナルなやり方でした」

(バンカース・トラスト社副社長時代について、上司のハーベイ・ハーシュの言葉)


■3.温かい人ではない
「彼を『いい人だ』と思ったことはありません。心は惹かれますが、温かい人だとは思わないのです。非難するつもりは毛頭ありません。私にとって彼は火星人のような存在なのです。善意の火星人、いい火星人です」

(D・E・ショー時代の上司、グラシェラ・シシルニスキーの言葉)


■4.快活でやる気にさせてくれる
「私はもともととても前向きな人間なのですが、ジェフに会ったあとは、会う前よりもっと幸せに、もっとエネルギーにあふれた状態に必ずなるのです。彼ほど元気を与えてくれる人物には会ったことがありません」

(2002年にアマゾンに参加したコンピューターサイエンスの教授、アンドリアス・ウェイゲンドの言葉)


■5.問題への対処を楽しむ
「彼はとても前向きです――楽観的と言ったほうがいいかもしれません。そんなことはできないと周りから言われたとき、そうなのかなと思ったら失敗すると彼は言うのです。我々はそういうものもなんとかするのだ、と。否定的な話の向こう側を見る人だとも言えるでしょう。そういう問題への対処を楽しむ人なのです」

(アマゾンの有名プログラマー、ペリー・ハートマンの言葉)


■6.気むずかしい
「ジェフが優れた経営者で、自分の会社をどこにもってゆくべきかしっかりとしたビジョンを持っていることはまちがいありません。同時に、厳しいマイクロマネージャーで、その下で仕事をするのが大変な人物でもあります。アマゾン草創期からずっと働いている社員がほとんどいないのは、こういう理由もあるからなのです。気むずかしいところもあり、大勢の前で部下をこきおろすという悪い癖もあります(少なくとも私がいたころにはありました)」

(アマゾンの社員第1号のシェル・カファンの言葉)


■7.他人に対する共感が不得意
10歳のころ、祖父母と外出したとき、祖母に禁煙させようとべゾスは考えた。微妙な問題なのだが、べゾスはこのときも思いやりではなく、ギークらしい方法をとる。それだけたばこを吸うと寿命が9年短くなると計算したのだ。祖母は泣いてしまった。祖父は、思いやりの心を大切にしろとべゾスに教えたそうだ。
「祖父はしばらく私を見つめたあと、やさしくこう言ったのです。『ジェフ、賢くあるより優しくあるほうが難しいといつかわかる日が来るよ』と」


【感想】

◆本書の解説によると、やはりベゾスはマスコミに出るのを避けてきたようで、今回本書を読んで初めて知ることが多かったです。

私の不勉強なところはあるのですが、まず「ギーク」的なキャラクターであった模様。

小学生時代から電子部品に興味を持ち、ラジオを修理したり、古い掃除機を分解してホバークラフトを作ったりしていたのだそうです。

大学時代は当然のようにコンピュータ関連のクラスを全部取り、卒業論文は「DNAの塩基配列を算出するコンピューターシステムの設計について」。

ただし、大学時代の友人の印象はパッとしないもので、のちにアマゾンのマーケティング担当役員になるデイビッド・リッシャーがベゾスについて覚えているのは、ビアポンが好きだったことくらいなのだとか。


Day 141/365 / pheaber



◆一方で、頭脳明晰なことには変わりなく、上記ポイントの2番目にもあるように、理路整然と相手を論破したりします。

その「情け容赦ない」部分ゆえか、上司から見て「温かい人だとは思わない」と言われたり、部下にとっても「その下で仕事をするのが大変」なワケで……。

例えば、カスタマーサービスのメールが毎日12時間休みなしで処理しても10日分溜まった際、ベゾスは、次の週末に誰が一番多く処理できるか競争するよう提案(1000通ごとに200ドルのボーナスも現金で支給)し、全員が通常のシフトに加えて10時間以上働いて、溜まった分を処理したのだそう。

……一歩間違ったら、ブラック企業じゃないですかw


◆同じようにポイントの7番目の「共感が不得意」というのは、男性全般に見られる傾向ではあるのですが、ベゾスも「祖母にとって良かれ」と思って言ってるんですよね。

それがアマゾンでは「ユーザーの利便性」を第一に考えて、システム設計をしているのが、興味深いところです。

もっとも、ジョブズやゲイツ、さらにはグーグルの2人のような有名アントレプレナーは「事業に情熱を感じて」会社を興したのに対して、ベゾスの場合は「インターネットの成長で財産を築きたい」というのが当初の望み。

どういう製品を販売すべきなのかを検討した結果、選ばれたのが「本」だったワケです。

どのような基準で考えたのかについては、本書の第4章にてご確認を。


Jeff Bezos / jurvetson



◆今回は、アマゾン自体について触れておりませんが、もちろん本書ではその点についても抜かりはありません。

本から始まったアマゾンが、CDその他の製品を扱うようになるいきさつや、資金調達、上場、そしてITバブル崩壊、キンドル、クラウドと、現時点までのアマゾンの歩みがほぼ全て把握できる仕様。

さらには、これからの計画である航空宇宙企業「ブルーオリジン」についてまで触れられているという。

ブルーオリジン - Wikipedia

翻訳はジョブズの伝記でお馴染みの井口耕二さんですし、解説も滑川海彦さんと抜かりなし。


今の時代を生きる者として、読んでおいて損はない1冊です!

ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛
ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛
1.ワンクリックではまだ不満
2.生い立ち
3.就職
4.ベゾス、インターネットを発見する
5.ガレージの4人組
6.優れた書店の作り方
7.苦労の波
8.軍資金の調達
9.成長
10.書店とは誰のこと?
11.クラッシュ
12.ベゾス、金ドルに賭ける
13.アマゾンは書店を駆逐しつつあるのか?
14.おかしな笑い方をするクールな男
15.では、ベゾスはどういうマネージャーなのだろうか
16.頭をクラウドに突っ込んで
17.一歩ずつ、果敢に


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【編集後記】

◆ネット書店というと、この本を思い出します。

天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1) (バーズコミックススペシャル)
天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1) (バーズコミックススペシャル)

書店の話が出てくるのは終わりの方の巻なのですが、個人的には「のだめ」よりこっちの方が好きかも。

久しぶりにネットカフェで読んでみようかな……?


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