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2012年09月27日

【追悼】『Steve Jobs Special ジョブズと11人の証言』NHKスペシャル取材班


Steve Jobs Special ジョブズと11人の証言
Steve Jobs Special ジョブズと11人の証言

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、久しぶりのジョブズ本。

ジョブズを良く知る11人による、彼の死後行なわれたインタビューをまとめたものです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
2011年12月に放送され、大反響を呼んだNHKスペシャル『世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ』。同局のスタッフの努力により、ジョブズの素顔を知る人々の貴重なインタビューが多数収録されたものの、放送時間枠の都合上、番組では伝えきれなかった貴重な証言の数々を、活字としてできるだけ詳細に再構成し、書籍化したのが本書です。

ジョブズファン、アップルファンなら、押えておきたい1冊です!


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【ポイント】

■スティーブ・ウォズニアック
 一般的な会社のCEO(最高経営責任者)というのは、普通は、自社の商品の熱心なユーザーでなかったりする。もちろん、携帯電話くらいなら持ち歩いたり、使ってみたりもするだろうが、「私の人生は、すべてこの製品を完璧に、美しくするために存在する」などと考えたりはしないものだ。
 でも、もしも、その商品が自分にとって非常に重要で、自分の分身とさえ言えるような存在だったらどうだろうか。ずさんだったり、お粗末だったりすることが絶対に許せなくなるよね。
 アイフォーンやiPad、あるいは初期のiPodなど、アップルは人気製品を連発したけど、ある時点から人々はこうした製品を見て「スティーブ・ジョブズそのものだ」と言い始めた。アップル製品というよりも、スティーブそのものだと感じていた。


■ジョン・スカリー
 私が「スティーブ、これは何だい?」と聞くと、はっきり彼はこう言いました。
「これは未来だ。ぜひ、あなたにも見て欲しい」
 彼はそれを「マック・フォン」と呼んでいました。彼は続けてこう言いましたよ。
「これが未来の電話の姿だ」とね。「いつの日か、アップルで我々はこのような製品を作ることになる」と断言したのです。(中略)

 まだ、ラップトップ型のパソコンすら存在していない時代ですからね。ブラウン管の画面しかなかったころの話です。それでも、実物大の模型として、そこには小さなスクリーンのついた電話が置かれていたのです。もちろん木製の模型で、なかには電子機器は一切入っていませんでしたが。でも、このころから彼は、このような模型を工業デザイナーたちに作らせていたのです。


■福田尚久
 スティーブと2人で話をしている時、彼が「自分には1つだけ悔いが残ることがある」と語ったことがあります。それは「85年にアップルを辞めてしまったことだ」と。「あの時、自分が辞めなかったら、今の世界は全然別のものになっていただろう」と、すごくはっきりと言っていました。
 その話の前提には、「コンピュータとは本来こういうものなんだ」という、彼としての思いがあって、ところが、その思いとは全然別のところに現実はある――だから、理想を実現するために、お前も手伝え、みたいな、そういうメッセージだったんです。そのころ、ちょっと疲れていた僕に彼がそういう話をしてくれて、「あ、これは頑張らないと」という気持ちになりました。


■ダグ・キットラウス
 スティーブ・ジョブズという人物は、僕が今まで出会った誰よりもはっきりと未来を見通していました。
 ですから、今後のアップルをどういう方向に導いていくのか、今後数年間の計画を彼が何も準備していなかったとしたら、それは大きな驚きです。でも、そんなことはなくて、アップルの社員にどんな仕事をして欲しいのか、今後数年分のアイデアを彼は用意していたと思いますよ。
 Siriは、彼が数年前に目の当たりにしたアィデアの1つで、すでこ市場に出て活用されています。ほかにもこうしたアイデアやモノがいくつもあって、今後は順々に発表されていくはずです。そのうちのいくつかは私も知っていますが、今お話しすることはできません。ですが、どれもとても面白くて、期待できるものばかりだと確信しています。


■ウォルター・アイザックソン
 個人的には、ジョブズの「現実歪曲フィールド」を経験したことはありません。ただ、伝記を出版する際、出版社が表紙として、彼の顔をアップルのリンゴマークの中にはめ込んだデザインを作ってきた時には、「世界で一番醜い表紙だ」と怒っていました。実際には、もっと汚い言葉を使っていましたけどね。
 ついには、「表紙の決定権を自分に与えなければ、君とはもう仕事はしない」とまで通告してきたんです。私は、「いいですよ。表紙のデザインを手伝ってください」と返事をしました。そして、彼が選んだのが、シンプルな自分のポートレートを表紙に大きく載せたデザイン。あの公式伝記のカバーデザインです。

STEVE JOBS
STEVE JOBS


■孫正義
まだiPhoneというものが発表される前から、僕もいろいろ話しましたけど、「世の中にある携帯はなんと美しくないアグリーなものだろう、あんな不格好で使いにくくて、メールだって打ちにくいし、ネジだらけで、こんなものを人間が使ってること自体が俺は許せないんだ。もっと美しくて素敵なワクワクするようをものを作ってみせるから、世の中を一変させてみせる」と。
 そのしゃべり具合が経営者じゃないんですよ。エンジニアでもない。まるで、ピーターパンが、冒険の国に空を飛んでいくぞ、お前も一緒に海賊船に乗って行こうって語りかけるような……夢がある、目をキラキラ輝かせて言うんですよ。もう吸い込まれちゃうんですよね。一緒に行きたいって。


【感想】

◆今回も、つい引用部分が多くなってしまったので、この辺で。

収録されている11人のお話は、どれも興味深く、ついつい付箋を貼ってしまったワケでして。

ある程度ジョブズのことをご存知の方なら、上記はお馴染みの面々かと。

一応補足をしておくと、福田尚久さんはアップルの日本での事業推進及びマーケティング責任者だった方(2001年には米国本社副社長就任・2002年退社)。

ダグ・キットラウス氏は、元Siri共同創設者兼CEO。

さらに、ご紹介できなかった残りの方々については、下記目次にてご確認を。


◆ジョブズが亡くなったのが、2011年の10月5日。

そして本書の元となったNHKの番組の取材が行われたのは、その直後からでした。

当初リストアップされた「ジョブズの素顔を知ると思われる人物」は41人。

ただし、当時世界各国のメディアが一斉に取材を行っていたため、アポイントを取りつけるのも、一苦労だったとか。

また、本書では具体名は明かされてはいませんが、「ジョブズの近くにいたからこそ」証言を拒む人もいたのだそう。

確かに、家族やジョナサン・アイブ、や元CEOのティム・クックは本書には登場していません。

放送が2011年の暮れだったことを考えると、四十九日も済んでない状態ですから、当然かもしれませんが。


◆もっとも、こうした部分については、ジョブズの評伝でカバーできるかと。

スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II
スティーブ・ジョブズ II

もちろん、本書の面子とも大半がかぶっており、内容的には既知の部分もありますが、一番の違いは、「ジョブズの生前」の取材か否か。

ただ、本人からクレームされないことをいいことに、本音ベースで暴露するかというと全くそんなことはなくて、特に「色々あった」ジョン・スカリー氏がジョブズのことを常時褒め称えていた(「史上最高のCEO」「前代未聞の存在」等々)のが印象的でした。


◆逆に、「今だからこそわかる」的な話もあって、例えば、ウォズアニック氏がジョブズと交わした「最後の会話」がそう。

ジョブズは突然ウォズに「君がアップルに戻りたがっていると聞いたんだけど」電話をかけてきたのだとか。

これは、ウォズがあるリポーターに漏らした発言がきっかけだったものの、今までも何度も質問されて半ば強制的に言わされたものであり、ウォズは「戻りたがっているというのは誤解だ」と弁明します。

実際、今までのジョブズの言動からしたら、彼がウォズのことを警戒したのだと思っても不思議ではありません。

でも、もしかしたらジョブズは、死期が迫っていたこともあり、ウォズに「アップルに復帰できる何らかの方法を提供しようと思っていたのではないか」と、ウォズ自身は感じているのだそう。

……もしそうだったとしたら、ちょっと切ないですが。

(´;ω;`)ブワッ


ジョブズ一周忌を前にして読んでおきたい1冊です!

Steve Jobs Special ジョブズと11人の証言
Steve Jobs Special ジョブズと11人の証言
はじめに
スティーブ・ウォズニアック
ダニエル・コトケ
ビル・フェルナンデス
ラリー・テスラー
リッチ・ペイジ
ジョン・スカリー
福田尚久
前刀禎明氏
ダグ・キットラウス
ウォルター・アイザックソン
孫正義
おわりに


【関連記事】

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【速報】『スティーブ・ジョブズ I』が想像以上に濃厚だった件(2011年10月25日)

【全11冊】私の読んだジョブズ&アップル本あれこれ(2011年10月09日)

【スゴ本】『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』カーマイン・ガロ(2010年07月11日)

【スゴ本再び】『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則』カーマイン・ガロ(2011年06月27日)


【編集後記】

◆ジョブズとは違う形の「リーダー」のご本。

リーダーを目指す人の心得
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こちらも見逃せないヨカン!


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