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2012年09月17日

【57連発?】『僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。』島田 始


僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。
僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、個人的に好きなジャンルである「アイデア本」

本書の著者である島田さんは、かつて『anan』『Hanako』の編集を通して、数々のブームを作り出されてきた方だけあって、本書も納得できる内容でした。

アマゾンの内容紹介から。
逆転の発想!ワコールの「胸が小さく見えるブラ」、人事だって稼いじゃう「ブライトンホテル」、「安心・安全」を約束しない旅行会社がある!?勝手に「日本一対決」をする熊本VS宮崎ほか、会社、ビジネスをぐいっ!と成長させたすごいアイデア57連発。

他にもアマゾンに「アイデア事例」がいくつも掲載されている通り、「ネタ満載」な1冊です!


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【ポイント】

■1.アイデアは「困った」から生まれる
 アイデアに困ったときは、「自分が困った」に返ればいい。
 僕らが雑誌『Hanako』の特集を組んでいたときに、その原則に立ち返って大ヒットした号があります。それが、「困った銀座」という銀座特集でした。(中略)

5〜8人のグループで入れる銀座のお店を取り上げ、店の名前と場所の紹介はもちろん、実際に細かく取材して、入りやすい時間帯をグラフにしました。月曜日なら18時くらいに入ればすんなり座れる可能性が高い、などと注釈を入れて紹介したわけです。
 この号が発売されるや、首都圏のみで発売するリージョナルマガジンであるにもかかわらず、35万部という想定外の大ヒットを記録することになります。やはり、僕たちと同じように困っている人がたくさんいたのです。


■2.「対決」という構図に当てはめる
 以前、「富士山がきれいに見えるのはどっち?」という企画をテレビでやっていました。闘うのは、静岡県と山梨県。両者が5枚ずつの絶景写真をもとに対決させて、審査員が採点する。僅差で、えーと、どちらが勝ったのか忘れてしまいましたが、僕が忘れてしまったように、結果などどちらでもいいのです。視聴者の頭の中には、富士山の絶景は静岡県か山梨県で見るもの、ということが刷り込まれます。ほかの県からだって、絶景ポイントはあるはずなのに。


■3.「困った」を解消すると別の「困った」が生まれる
「胸を大きく見せたい」という「困った」を解決するブラが流行すると、「胸を小さく見せたい」という「困った」が生まれました。数年前の「メガ食」ブーム到来のように、「カロリーを抑えたい」という「困った」を解決するソリューションが増えると、「本当はもっとがっつり食べたい」という「困った」が生まれます。
 このように「困った」を解消すると、面白いもので、別の「困った」が生まれます。ひとつ前のソリューションが、いつの間にか「常識」になってしまい、その背後に新たな「常識のウソ」が生まれるからです。


■4.「パティスリー・オ・グルニエ・ドール」のショーケースのアイデア
 普通のケーキ屋さんなら、一列に整然とケーキを並べるのですが、この店は違います。ショーケース内に、それぞれのケーキが一枚の絵のように配置されていて、あたかもケーキが主役のステージを見るようなのです。
 しかも、ショーケース全体は、材料に使われているイチゴやほかのフルーツが季節ごとに、ケーキのお皿の上やそこかしこに散りばめられている。(中略)

 話を聞いてみると、イチゴは入荷してきたときは、まだ熟成が足りず、少し置いておかなければ使えないようです。冷蔵庫に入れると保存はできても熟成しないので、熟成に適した温度の貯蔵庫が必要となる。そのためのちょうどいい場所が、このショーケース内だったのです。



■5.福利厚生をブランディングに利用したタニタ食堂
 タニタは、体重計や体組成計などの健康機器のメーカーです。タニタが素晴らしいのは、「健康をはかる」という自分たちの企業の理念を活かして、この福利厚生の分野でブランディングを図ったことです。
「タニタの社員食堂」は、社員の健康に寄与するだけでなく、会社のイメージと知名度をアップするのに大きく貢献しました。社員食堂のメニューを紹介した本『体脂肪計タニタの社員食堂』とその続編は累計300万部を超える大ベストセラーになり、ついに2012年1月、一般客のために、丸の内タニタ食堂をオープンさせました。

 福利厚生からプロフィットは生まれない。こうしたこれまでの常識的な発想にとらわれていたら、自分たち社員がその恩恵を受けただけで留まっていたでしょう。しかし、「それだけではもったいない」と考えることで、夕ニタでは新しい道が拓けました。

体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~
体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~


■6.調べればすぐにわかる未来を利用する
 記念行事やイべントを仕掛けたり、引き出物を売り込みたいのなら、周辺にある企業や商店、取引先が創立何周年なのか、社長や会長の年齢は何歳かを確認しておくといいでしょう。30周年や50周年、100周年などの周年行事や還暦、古希、喜寿、米寿などのお祝い事のパーティを開催する可能性があります。
 ケーキ屋やアクセサリーショップなどでも、得意客やその家族の誕生日はもちろんのこと、結婚して何周年なのか、子どもの入学がいつか、などを押さえておくようにすると、引き出物やプレゼントなどのビジネスチャンスに繋がるはずです。


【感想】

ちと引用量が多くなってしまったのでこの辺で。

冒頭でも触れたように、とにかく事例が豊富なので、読んでいて飽きませんでした。

特に興味深かったのが、ブームに関するお話。

「メディアがブームをしかける」と言うことがありますが、例えば、20年程前にあったティラミスブームは、当時島田さんのいた『Hanako』編集部が仕掛けたものだそう。

その頃、ティラミスはイタリアンレストランにはありましたが、ホテルのレストランにはなかったため、帝国ホテル等にもメニューの開発を要請。

近々『Hanako』でティラミスの特集をやるので、協力してくれないか、頼んで回ったのだとか。

他にも『Hanako』編集部では、海外ウェディングやアウトレット等のブームも創り出しているとのことなので、興味のある方は本書にてご確認を。


◆また、収録されている事例の中には、当ブログでご紹介した本に登場しているものもいくつか。

例えば、石川県羽咋市が行った「人工衛星を使った食味判定」については、この本が詳しいです。

ローマ法王に米を食べさせた男  過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?

参考記事:【確かにスゴ本】『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮(2012年07月06日)

一方、本書と取り上げているサービスは違うものの、サトーカメラに関しては、こちらもお読み頂きたく。

一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)
一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)

参考記事:【オススメ】『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』鶴岡弘之(2012年06月23日)

ついでに言うと(?)、本書に登場する「世界一の朝食」で知られる「神戸北野ホテル」には、10年程前に私も夫婦でお邪魔していたりとか(素敵なホテルでした)。


◆ちなみに、本書の第4章には「純度の高い情報を手に入れる17の掟」と題して、島田さんが長年雑誌や書籍の編集者として知るに至った「情報の掟」が紹介されています。

ご存知のものもあるとは思いますが、いくつか抜粋。
●情報は、多く持つ人の元に集まる。

●情報は、情報と認識されない限り情報ではない。

●情報は、ひとつでは役に立たないものもある。

●情報は、秘密なものほど罠がある。

●情報は、距離が大きくなると歪む。
島田さん曰く「良い情報を手に入れることができると、良いアイデアをと出合う可能性も高くなる」そうですから、この掟も意識しておきたいところです。


◆本書は、先日の『あなたの大嫌いな人が100%考えていること』同様(?)、「いかにも」な装丁ゆえ、スルーしておりました。

ただし、内容的には上記で書いた通り、きわめて真っ当かつ、実践的なモノ。

アイデア本というジャンル自体、当ブログでの人気は今ひとつなのですが、個人的には多くの方にお読み頂きたい1冊です。


手軽に読めて、奥が深い良書かと。

僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。
僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。
1章 仕事が加速する9つのアイデア発想法
2章 人には見えない「微差」を見つける5つの方法
3章 「ひらめく人」と「ひらめかない人」の10の違い
4章 情報を制するものがアイデアを制する!
5章 未来を読めればアイデアが生まれる!
◎巻末付録 2013年の未来年表


【関連記事】

【確かにスゴ本】『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮(2012年07月06日)

【オススメ】『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』鶴岡弘之(2012年06月23日)

【葉っぱがお金に?】「そうだ、葉っぱを売ろう! 」横石知二(2007年11月10日)

【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田(2011年11月25日)

【スゴ本】『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史(2011年05月12日)

【オススメ!】「外食の天才が教える発想の魔術」フィル・ロマーノ(2008年03月20日)


【編集後記】

◆アイデア系の中では、断トツで好きなのがこの本。

外食の天才が教える発想の魔術
外食の天才が教える発想の魔術

中古でもそれほど値崩れしていないのがサスガです。

レビューは上記関連記事最後にございますので、ぜひご確認を。


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