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2012年09月08日

【オススメ】『マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか』ロバート・I・サットン


マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか
マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ベストセラー『あなたの職場のイヤな奴』に続くロバート・I・サットンの新作。

日頃マネジメント本を読まない私ですが、本書は思わず引き込まれてしまいました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
クソッタレな上司をやっつけるために、クソッタレな上司にならないためには、何をし、何をしてはいけないのか? この一冊を読めば、あなたの職場も、あなた自身も変わります。

「自分はいい上司である!」と思っている(思い込んでいる?)方にこそ、読んで頂きたい1冊です。


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【ポイント】

■1.よい上司についた部下は、心臓発作を起こす率が下がる
スウェーデンで3122人の男性を対象に調査を行なったところ、よい上司に恵まれた部下は、悪い上司の下で働いている者よりも、心臓発作を起こすリスクがすくなくとも20パーセント低くなることがわかった。さらに、よい上司の下に4年いると、リスクは39パーセント低くなるという。
 2008年に行なわれたこの調査の結果は、時代や場所に左右されない普遍的なものだ。リサーチャーのロバート・ホーガンによれば、同様の調査を「1948年、1958年、1968年、1998年」に「ロンドン、ボルティモア、シアトル、ホノルル」で「郵便局員、牛乳配送トラックの運転手、学校教師」を対象に行ったときも、結果はほぼ同じだったという。


■2.上司が部下を知っているよりも、部下は上司を知っている
どんなグループにおいても上司はボスザルのようなものだ。序列の下にいる者は上司の行動をすべてしっかり観察している。上司が部下を知っているよりも、部下はずっと上司を知っているのだ。
 チンパンジー、ゴリラ、ヒヒなどの研究をしている人類学者は、「群れの者たちはリーダーを見る。しかし、その反対はあまり頻繁ではないし、熱意もこもっていない」という。(中略)

 心理学者のスーザン・フィスクは言う。
「注意は階層制の下から上に向けられます。秘書は自分のボスのことを、その逆よりもよく見ていますし、学部生は担当教授のことを、その逆よりもよく知っているのです」


■3.責任を認めて謝罪し、改革する
 心理学者のフィオナ・リーは、同僚と共同で行なったある研究で、14の会社の12年間にわたる株価を調べた。その結果によれば、会社がなにか問題を起こしたとき、経営陣が罪を認めて責任をとった場合、その会社の株価は翌年かならず上昇していた。反対に、重役が責任を認めるのを拒否したときには、株価はかならず下落していた。
 ここで重要なのは、たんに非難をうけいれて謝罪することではない。なにか問題が起こった場合、上司はすぐさま状況を掌握し、失敗から教訓を得たことを周囲に知らせ、改革案を発表する必要がある。さらに、改革が完了したときには、問題を克服して再発防止を完全なものにするために全力をつくしたことを、あらゆる人に知ってもらわなくてはならない。


■4.間違った思い込みをしていないか気を配る
賢い上司は、社会学者のロン・ウェストラムのいう<中心的人物の誤信>に自分も陥る危険があるのを知っている。この<中心的人物の誤信>とは、「もしなにか重要なことが進行していれば、当然自分はそれを知っているはずだ」という、中心的な立場にある人間が陥りがちな誤った思いこみである。
 この思いこみのせいで、1960年代のはじめまで、小児科医は幼児虐待の実態を見抜けなかった。ウェストラムは言う。
「なぜ見抜けなかったのか? 小児科医はこう考えたのだ。『もし親が子どもを虐待しているなら、自分はそれを知っているはずだ。しかし、わたしはそんなことは知らない。なら、幼児虐待など起こっていない』と」


■5.部下に感謝の念を示す
 成功をおさめようが失敗に終わろうが、優秀な管理職はプロジェクトがひとつ完了したときには数時間ほど時間を割き、部下に感謝の念を示す。これがとくに重要なのは、プロジェクトが失敗に終わったときだ。そういうときこそ、部下は上司や同僚からの支えを必要としている。上司が感謝の念を示すと、部下が大きな失敗から教訓を得る環境が生まれる。
 プロジェクトが失敗したときにやってはならないのは、非難の応酬である。誰かを公然と非難したり、失敗を犯した人間を辱めたり、誰かを見棄てたりといったことは、絶対にすべきではない。


■6.ネガティブな部下に対処する
 仕事を妨害する最悪の部下を矯正する(それができなければ追いだす)ことは、ウイル・フェルプスが行なった<腐ったリンゴ>に関する調査によっても支持されている。フェルプスとその同僚が研究の対象としたのは、わたしがノラクラ(他人の努力を妨害する者)、ゲンナリ(心配、不安といった悲観的なこと、焦燥感を煽ることなどを口にする者。エネルギーを奪う者のなかでもとくに毒性が強い)、クソッタレ(対人関係に最低限必要な敬意さえ踏みにじる者)と呼んでいる人間たちだ。フェルプスの概算によると、チームにたったひとりでもノラクラやゲンナリやクソッタレがいる場合は、そうした<腐ったリンゴ>のいないチームに較べ、生産性が30パーセントから40パーセントも落ちるという。


■7.クソ上司は部下を腐らせる
 ウェイン・ホッチウォーターとサマンサ・エングルハードが180人の従業員を対象に行なった調査によれば、上司が虐待的だと、わざとミスをしたり仕事を遅らせたりする従業員が、通常の5倍になるという(30パーセント対6パーセント)。
 ティモシー・ジャッジは64人の従業員を対象に3週間の追跡調査を行ない、従業員と管理職の両方から詳細な情報を集めた。それによると、模範的な従業員も「上司が粗野で卑劣な人間だと、ネガティブで非生産的に」なり、働くより噂話に花を咲かせ、備品を盗み、陰口をたたき、休憩をより長くとるようになるという。


【感想】

◆今回は引用部分が長かったのでこの辺で。

本書の中で、やたら「クソッタレ」という表現が出てくるのですが、これは冒頭でご紹介した、本書の著者であるロバート・I・サットン教授のこの本のテーマだったもの。

あなたの職場のイヤな奴
あなたの職場のイヤな奴

お恥ずかしながら、私は読んでいないものの、大御所の方々によって書評がされております。

404 Blog Not Found:クソッタレ本にしてクソ本にあらず - 書評 - あなたの職場のイヤな奴

[書評]あなたの職場のイヤな奴(ロバート・I・サットン): 極東ブログ

この本では上司、同僚、部下、すべての方面を対象にしていますが、その中でも特に中心的だったのが「上司」。

そこでその続編となる本書では、特にこの「上司問題」についてフォーカスされているワケです。


◆たとえば上記ポイントの2番目にあるように、基本的に上司は、部下が上司を見ているほどには部下に注意を払っていません。

それどころか、自分自身がどうなのか、も見えていない模様。

前述の『あなたの職場のイヤな奴』には、<クソッタレ度自己診断テスト>なるものが収録されているのですが、とあるセールス・マネジャーは自分の上司をこのテストで査定してみたところ、24項目中22項目に当てはまる「疑う余地のない完璧なクソッタレ」に相当したのだそう。

ところが、上司本人にそれとなく自分でやらせてみると、「イエスだった項目は3つだけだ。おれはすばらしい上司だってことだな」と自慢したのだとか。

ひ、ひどすぎる……。


◆一方で、部下からの進言で心を入れ替えた「元クソッタレ上司」のお話もありました。

その上司は、直属の部下の1人から「ほかのチームに異動させて欲しい」と言われ、その理由を訊くと「怒鳴りつけられたり、侮辱されたり、優秀な同僚がどんどん辞めていくチームにいるのはいやだから」と返答。

そしてその上司にこんなアドバイスをしました。
「おたくの14歳の息子さんが、1日中あなたのあとをついてまわっていると想像してみてくださいよ。そして、ぼくたち部下に話しかけるときに、自分自身に訊くんです。部下をこんなふうに扱うおれを見て、息子は誇りに思うだろうか、それとも恥ずかしく思うだろうか、ってね」
それ以降、彼は引退するまで、他人に思いやりと敬意をもって接することを忘れなかったそう。


◆本書は翻訳書らしく(?)、事例が大変豊富でした。

さらには箇条書きでまとめられた、ライフハック仕様のTIPSやレシピも多々。

それだけで記事が書けそうなので丸ごと割愛しましたが、タイトルだけいくつか挙げるとこんな感じです。

 ●効果的な謝罪のためのレシピ

 ●賢い上司のための11戒

 ●有害スーパースター査定テスト

 ●上司の汚れ仕事12戒


うーん、正直お腹イッパイw


部下のいるすべての人が読むべき1冊!

マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか
マル上司、バツ上司 なぜ上司になると自分が見えなくなるのか
第1章 よい上司になるための基礎知識
第2部 上司はいかにあるべきか?
第2章 職場を掌握すべし
第3章 賢さを身につけるために
第4章 スターと腐ったリンゴ
第5章 実行力のある上司になるために
第6章 部下を守る盾になれ
第7章 汚れ仕事から逃げるな
第8章 自分のなかの「クソ上司」を抑えつける
第9章 自己認識を高める


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【編集後記】

◆今さらですが、昨日リアル書店でこのムックを見つけて捕獲しました。

仕事がはかどる文具術 (日経BPムック スキルアップシリーズ)
仕事がはかどる文具術 (日経BPムック スキルアップシリーズ)

レビューもおしなべて評価が高いのですが、それも納得の作りです。

問題はこのムック出ていたことに、リアルタイムで私が気がつかなかったこと。

アンテナが鈍っていたのか……?


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