2012年08月07日
【ロジカル?】『思考力が目覚める ロジカル頭脳問題集』大石哲之

思考力が目覚める ロジカル頭脳問題集 (新書y)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、その著作のほぼすべてを拝読させて頂いている大石哲之さんの新刊。以前当ブログでも記事にした『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』に似たテイストですが、よりライトに読みやすくなった(でも問題自体は濃いw)感じです。
アマゾンに内容紹介がまだないので版元サイトから。
「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」
外資系企業やコンサルティング会社の採用試験でも出題される「フェルミ推定」と呼ばれるこんな問題で重要なのは、知識量ではなく、限られた情報や知識を元にロジカルに推理し、概算を導く、真の「思考力」。
本書はフェルミ推定の他、実りあるコミュニケーションに役立つ会話術、具体的な問題解決力を高めるビジネスケース問題など、厳選した計55問を収録!
アナタは何問解けますか?

【ポイント】
■1.フェルミ推定問題を解く4つのステップフェルミ推定を解いていくには、基本的に次の4つのステップで進めていくことになります。
(1)前提の確認
(2)アプローチの思考と選択
(3)因数分解(モデル化)
(4)計算(モデルに数字を当てはめる)
((5)検証<別の角度から簡単な計算をする>)
(詳細は本書を)
■2.「需要=供給」アプローチ
ここでのアプローチは「需要=供給」という考えかたです。どれくらいの老人が老人ホームを必要としているか(需要)を算出し、それを1施設あたりのキャパシティで(供給)で割ることで、必要な老人ホーム数が求められます。(中略)
一般的に、老人ホームに入るとしたら、何歳くらいからでしょう。日本人の平均寿命は83歳とします。老人ホームに入るのは人生最後の5年間? いや、もう少し長そうな気がします。73歳から10年間、老人ホームで暮らすとします。
そうすると、次の式で老人ホームに入る可能性のある人の総数がわかります。およその数字を1,600万人と推定できます。
1億3,000万(人)÷83(年)×10(年)≒1,566万(人)
(後略)
■3.フェルミ推定の練習問題とヒント(抜粋)
●日本のダイヤモンド指輪の市場規模は。
ヒント:人生のなかでダイヤを購入する場面を考えます。結婚のとき以外も考えます。
●オーストラリアへの旅行客は年間何人いますか。
ヒント:旅行者全体から地域別の割合を考えていく方法、空港などの路線から積み上げていく方法どちらのアプローチも考えられます。
●日本に家庭用食器洗い機は何台ありますか。
ヒント:世帯をべースに、食器洗い機を購入しそうな家族構成などを考えてみましょう。
■4.網羅性と妥当性を検討する
なぜ、中国に進出するのか。しかも、なぜ不動産業なのか――。
それを説明するには、本来「網羅性と妥当性」を主張する必要があります。
「網羅性と妥当性」とは、簡単にいうと検討すべきことを網羅しているか、また理由・検討内容が妥当であるかどうかということです。
ここの例でいうと、中国で不動産事業に進出するときに検討すべきことが網羅されているか、そして進出する理由と検討内容が妥当であるか、ということです。
■5.存在は証明できても存在しないことは証明できない
存在しないこと、起きないことを証明することを「悪魔の証明」と呼んでいます。
例えば、「東京にへビがいる」ということを証明するとしたら、東京でへビを1匹捕まえてくれば証明することができます。
しかし、「東京にへビはいない」ということの証明は東京中を探し、いないことを確かめなくてはなりません。(中略)
ですから、Bくんは宇宙人がいないことを説明することができるかどうかというと、できないということになります。
この場合、説明の責任を負うのは、宇宙人がいると考える人のほうです。
存在しないことを証明する責任はなく、存在することを証明しなくてはなりません。
【感想】
引用部分が長くなってしまったのでこの辺で。本書は下記目次のように、Part1でフェルミ推定問題を、Part2でロジカル会話問題を、そしてPart3でビジネスケース問題を出題しています。
このうちフェルミ推定問題については、有名な「シカゴにピアノ調律師は何人いるでしょうか」を初めとして、ご存知の方も多いことかと。
ただ、本書を読んで初めて知ったのですが、この問題には「フェルミ推定の基本的な解法、考え方が凝縮されている」とのこと。
本書ではその辺も踏まえて解説されていますので、問題自体は知っている方でも再度要チェックで。
◆つづくPart2のロジカル会話問題は、ネタバレにならないよう、出版社サイトにあるものを挙げると、こんなところが。
●睡眠時間と出世の関係性について考えてみましょう。フェルミ推定問題に比べると「目からウロコ」感はないものの、逆に設定が「ありがち」な分、とっつきやすい感じです。
●健康のためテニスを勧める友人に対する反論を考えてみましょう。
●山登りをしようという提案に対する上手な断りかたを考えてみましょう。
なお、Part1同様、練習問題として問題&ヒントがありますので、そちらもご確認を。
◆一方、最後のビジネスケース問題はやや少なくて、実は版元サイトにある4問だけしか収録されていません。
同じ大石さんの『過去問で鍛える地頭力』では、フェルミ推定問題と同じく20問中10問出題されていたのに、仕分けされ過ぎです(全部で55問あるのに)。
この辺が、本書の位置づけというか、あまりビジネス書ビジネス書していないように、あえて構成されているのかも。
私は『過去問で鍛える地頭力』のビジネスケース問題における、フェルミ推定の使い方がツボだったので、ちと寂しかったのですが。
◆もっとも、『過去問で鍛える地頭力』発売の頃は、フェルミ推定がブーム(「地頭力」というタイトルからしてそう)だったのに対し、現在は「今さらフェルミ?」という気もしないでもなく。
そういう意味では、フェルミ推定偏重から、一般的なロジカル思考にシフトしたのが本書ということなのかもしれません。
ちなみに私は、この記事を書く時間の関係上、一切問題を解かずに読破してしまいましたが、普通に解いてたら、結構時間がかかるのは必至。
興味のある方は、ぜひ夏休みの旅先や電車の中でじっくり取り組んでみて下さい。
手軽にロジカル思考をたしなめる良書です!

思考力が目覚める ロジカル頭脳問題集 (新書y)
Part1 フェルミ推定問題
仮定とロジックを使って考える フェルミ推定問題
Part2 ロジカル会話問題
コミュニケーション力を上げる ロジカル会話問題
Part3 ビジネスケース問題
ロジカルに解決策を提案 ビジネスケース問題
【関連記事】
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【面白】『頭がよくなる「経済学思考」の技術 』木暮太一(2010年06月07日)
【編集後記】
◆上記で何度も連呼してしまいましたが、やはりこの本は秀逸だと思います。
過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
この本に出会わなかったら、今でもフェルミ推定を毛嫌いしていたでしょうし、マーケットプレイスでも送料含めたら、未だ元値以上で取引されているのがスゴイです。
レビューは上記関連記事にてご確認を。

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