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2012年06月20日

【新グローバル】『グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる』倉本由香利


グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる
グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ブログ「My Life After MIT Sloan」でお馴染みの倉本由香利さんのデビュー作。

何でも初日から重版が決まったそうで、アマゾンでも品薄になってしまうほどの人気ぶりです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
2013年、先進国と新興国の経済規模が逆転。
日本人の強みを生かして「失われた20年」を終焉させる新しいグローバル化とは何か?

日本企業の現場でグローバル化をリードする著者が示す、グローバル人材を育成し、組織を変革するためのバイブル。

ブログ読者の皆さんならご想像がつくように、かなり骨太な内容で、読み応え満点でした!


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【ポイント】

■1.グローバル・エリートとは?
新興国市場が拡大するにつれ、販売・物流や生産だけでなく、研究や開発、そして企業経営における戦略策定などの、より付加価値の高いプロセスにおけるグローバル化が必要になっていると先ほど書いた。そのためには、組織全体がグローバルに多様な文化的背景を持つ人材を受容し、活躍させられるように変化する必要がある。(中略)
経営判断に必要なセンスや判断力を持つ新興国出身の人材を活用し、新興国のニーズにあわせてイノベーションを起こせるような組織を作る必要がある。そのためには日本と新興国を結びつける橋渡しの働きができる日本人のグローバル人材も必要となる。このようにに「グローバル化の第三の波」で必要となるグローバルな人材を、この本では「グローバル・エリート」と呼んでいる。


■2.「アメリカ企業ではない」と宣言したGE
 私がMITスローンにいた頃、MBAの授業にGEのジェフリー・イメルト会長が講演をされたことがある。それは、90分の時間の中で、学生が経営に関するいろいろな質問をして、イメル卜会長がそれに答えるという形式の授業だった。その中で、ある学生の質問に対するイメルト会長の答えが、今でも強く印象に残っている。
「GEはアメリカの企業などと、もはや我々は考えていない。GEの事業収益の60%はアメリカ以外の国で得られており、従業員も60%がアメリカ人以外なのだ。企業はもう国の枠などに縛られることはない。GEはGEなのだ」
 GEはアメリカ企業ではなく、真のグローバル・カンパニーであると会長みずからが宣言しているということだ。


■3.中国によるアフリカでの事業展開
 世界中がアフリカでの事業展開に注目する現在、それをもっとも積極的に推し進めているのは、中国だろう。アフリカに対する中国からの輸出額は急増しており、また中国企業の現地進出も積極的に行われている。これまでの先進国企業のように、技術供与をして、現地の労働者を雇用するというやり方ではない。中国の農村部から土木労働者から飲食店まで大量の中国人が移り住んで、道路や橋梁などの土木事業や資源事業を大量に受注している。その勢いは、旧宗主国を含む他の先進国を圧倒している。


■4.GEによる「リバース・イノベーション」の例
中国の田舎では、先進国で発売されているような1000万円もするハイエンドな装置を買える病院などほとんどない。(中略)
先進国では通常、超音波診断だけを行う専門の技術者がいるので、使うのに技術が必要な装置でもよいが、中国の田舎にはそのような技術を持った医師はほとんどいない。こういったニーズが中国でのマーケティングリサーチでわかってきたので、上海の研究所では、通常の超音波診断装置より解像度は低くても簡易に診断ができ、サイズが小さく、コストが安くなる技術を開発した。その結果生まれたのが、先進国の製品の15%の価格で、持ち運びができるほど小さい、簡易型超音波診断装置であった。


■5.買収後で組織拡大を図るJT
買収後の明確な戦略の事前設計に加え、経営幹部による意思決定、スキルを持った人材の集結と展開、意識的な企業理念の醸成、戦略の共有のための過度なほどのコミュニケーション、適切なガバナンスという5つのポイントを徹底することが、大規模な買収によって異質な組織を次々と統合し、組織のグローバル化を図るために重要なポイントとなっている。買収を繰り返して成長する場合は、これらのポイントが仕組みとして成立しており、つねに適用できる形にまでなっていることが、毎回の買収統合の成功確率を高めることになるだろう。JTのケースは、日本企業が買収によって組織の拡大を図るケースとして参考になるのではないかと思う。


■6.グローバル・エリートに必要な8のスキル
1 文化的背景や価値観の違いを感じる「感受性」

2 異なる価値観や行動への「理解力」

3 多様性を受け入れ、やり方を変えられる「柔軟性」

4 異質な環境で自分が貢献する「オーナーシップ」

5 ゼロからトップダウンで作る「ゼロベースの構築力」

6 違いを乗り越えて問題解決を行う「問題解決型思考」

7 積極的かつ論理的な「説明力」

8 しつこくコミュニケーションをする「粘り強さ」

(詳細は本書を)


【感想】

◆上記ポイントの2番目でGEのイメルト会長が登場していますが、この時の模様は私もブログでリアルタイムで拝読しておりました。

GE ジェフ・イメルト会長に会う (15.398 CEO Perspective) - My Life After MIT Sloan

お恥ずかしながら、この記事を読むまで私はイメルト会長のことは知らずにおり(さすがにジャック・ウェルチ元会長は知ってましたが)、「へー、そんな人がいるんだ」程度に読んだ記憶が。

それに対し、本書ではグローバル化の好例としてGEが登場しており、倉本さんのこの記事でもGEについて言及されています(本書の内容と一部重複)。

テレビ事業を売却してグローバル成長を遂げたGEの決断 - My Life After MIT Sloan

……それにしても、イメルト会長だけでなく『イノベーションのジレンマ』でお馴染みのクリステンセン教授まで登壇するというのがスゴイですよね(MITマジ、ぱねぇ!)。


◆一方、我が国のグローバル化企業の例として挙げられているのが、上記ポイントの5番目に登場するJTと重機メーカーのコマツ(正式名称は株式会社小松製作所)。

前者は買収や合併を軸に、後者は自力でグローバル化しているのが特徴です。

JTの例は、サラッと引用しておりますが、本書では5ページほどに渡って細かく解説されていますので、ぜひご覧頂きたく。

ちなみに、コマツのスゴさについては、以前読んだこの本でも触れられていました。

理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)
理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から (祥伝社新書167)

参考記事:【ヒットの秘密】「理系の企画力!」宮永博史(2009年08月07日)


◆さて、下記目次にもあるように、本書は第1部の「組織のグローバル化」に続いて、第2部では「個人のグローバル化」について述べています。

経営本より、個人のスキルアップ本がお好きな方なら、当然、この第2部が見逃せないところ。

特にポイントの最後で挙げた「グローバル・エリートに必要な8のスキル」を掘り下げた第7章は必読でしょう。

普通に考えたら「そりゃ英語では?」とはなるものの、それ以外に何が必要かは、本書を読むまで今ひとつピンと来なかったワタクシ。

MBAの「チームでドラム缶と木材とロープでいかだを作って競漕する」野外研修プログラムに『異質な環境で自分が貢献する「オーナーシップ」』が必要だったとは、思いもよりませんでしたよw

なるほど、MBAで学ぶということは、英語以外にもこういうスキルを身につけたりすることができるのだな、と。


◆本書は300ページちょっとと、それほど分厚くはないのですが、図やグラフがそれほど多くなく、文字がビッシリ詰まっています。

巻末には参考文献がキチンと掲載されており(しかも本全体での通し番号)、確認しやすいのも好印象。

「売れ線狙い」というのではなく、しっかり作り込んであるのが分かる「硬派」な1冊でした。

これがまだ1作目なんですから、末恐ろしい限り……。


これからのグローバル化を知るためには必読!

グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる
グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる

第1部 組織のグローバル化
 第1章 グローバル化の第三の波
 第2章 なぜ日本企業の組織のグローバル化が必要になっているのか
 第3章 日本は今までどのようにグローバル化の波を乗り越えてきたのか
 第4章 「組織のグローバル化七を果たした日本企業のストーリー
 第5章 日本企業がグローバルな組織を構築していくために

第2部 個人のグローバル化
 第6章 グローバル・エリートの時代
 第7章 グローバル・エリートに必要なスキル
 第8章 日本独自の強みを活かすグローバル化


【関連記事】

【ヒットの秘密】「理系の企画力!」宮永博史(2009年08月07日)

【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)

【ゴーン流!?】『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』漆原次郎(2011年12月30日)

【グローバル】『「世界標準」の仕事術』に学ぶリーダーシップのルール7選(2011年09月29日)

【国際派?】『米国製エリートは本当にすごいのか?』佐々木紀彦(2011年07月21日)


【編集後記】

◆昨日買った本。

30代が覇権を握る! 日本経済 (PHPビジネス新書)
30代が覇権を握る! 日本経済 (PHPビジネス新書)

こちらもかなり骨太な予感。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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この記事へのコメント
発売早々、重版が決定されるとは、読み応えありの濃い本ですね
Posted by マグロ船の齊藤正明 at 2012年06月20日 15:05
>マグロ船の齊藤正明さん

読み応えどころか、速読できるハズの私も読み飛ばせない濃さでしたよ〜(汗)。

齊藤さんも是非!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年06月21日 05:40