スポンサーリンク

2012年04月24日

【ヒューリスティック】『思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則』レイ・ハーバート


思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則
思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、意思決定の際における「ヒューリスティック」について、鋭く迫った1冊。

『EQ』のダニエル・ゴールマンや『予想通りに不合理』のダン・アリエリーが推薦の言葉を寄せている注目作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
((心の錯覚、バイアスを解明した決定版!))
多くの興味深い事例と世界の最新研究をもとに、「20の法則」として濃縮紹介。
生き方やビジネスを賢く磨くニューバイブル登場!

タイトルや装丁が翻訳書らしからぬ(軽めの自己啓発書?)感じで損してますが、行動経済学系の本がお好きな方なら必読かと。

思わず付箋を貼りまくってしまいました!




人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【ポイント】

■1.社名が読みやすい方が高く評価される
オッぺンハイマーとアルターが新規上場企業の株価について調べたところ、簡単に読める名前の企業のほうが、少なくとも短期的には投資家から高く評価されることがわかった。つまリバーニングズという企業は、イーギアデュックスという会社よりもずっと株価が高かった。それは単に名前がわかりやすいという理由からだ。


■2.具体的な手順を考えると、緊急性が高まる
予想どおり、具体的な思考をプライミングされた被験者には、抽象的な思考をプライミングされた被験者ほど、遅れたり先送りしたりする傾向は見られなかった。彼らはその作業がすぐ近くにあると感じ、急いで取り組んだのだ。あまり具体的でない答えを求められた被験者は、回答が遅れやすかった。


■3.人は半端な数字に引きずられる
 心理学者はこの実験結果を現実の世界でたしかめようとした。彼らはフロリダ州アラチュア郡の実際の不動産価格を5年にわたって調べ、定価と実際の販売価格を比較した。そこでわかったのは、定価をきりがよくない数字で提示した販売会社のほうが――50万ドルではなく49万4500ドルなど――常に自分たちの言い値に近い価格で販売できていた。別の言い方をすれば、買い手は言い値が半端な数字のときは、きりのいい数字に比べて、値引き交渉をすることが少ない。ここで結論。買い手市場で売り手が利益をあげるためには、まず定価を半端な数字にすることだ。


■4.脳は絶対値より相対値を好む
次のような職業選択のケースを考えてみよう。ある仕事は1年目の報酬が3万ドル、2年目が4万ドル、3年日が5万ドルだ。決して悪くはない。しかしもうひとつの仕事は、1年目の報酬は6万ドルだが、2年目は1万ドル減の5万ドル、そして3年目は4万ドル。ここでたいていの人は、なぜか第一の仕事を選ぶ。長期的に見れば、最初の仕事のほうが報酬は低いにもかかわらずだ。これはなぜなのか? 単純に考えれば、報酬が減っていくのがいやだからだ。もう少し複雑な答え方をすると、理屈に合わないことをしてしまう脳の性質に関わる。脳はなぜか絶対値より相対値を好む。つまり第一の仕事のように相対的に報酬が上昇していくシナリオのほうが、絶対的な合計額が多い第二の仕事よりも魅力的なのだ。


■5.老人に対する偏見は心臓疾患を招く
 レヴィらはすべての被験者について、心臓発作、鬱血性心不全などの心臓疾患の記録を調べた。すると若いころの老人に対する偏見と、後年の心臓疾患のあいだには著しい関連が見られた。どういうことかというと、老人は無力であると考えていた人のほうが、その後の40年のあいだに、何らかの心臓疾患を経験する可能性がはるかに高いということだ。
 これが何を示唆しているかというと、人間はかなり若いころから老人のステレオタイプを心の内に持っていて、それが先々に影響するということだ。これは老人に対する失礼なステレオタイプを持っていた人間が、まさにそのイメージに合った老人になることに注目した、初めての研究である。


■6.自然に接すると集中力がよみがえる
被験者のうち半分は、アナーバー市のはずれにある植物園を散策しながらゆっくりと歩き、もう半分はアナーバー中心街のにぎやかな大通り、ヒューロン通りを歩いた。被験者が研究室に戻ると、再び注意力と集中力を測定する。自然の中を歩いてきた被験者のほうが、街の大通りを注意して歩かなければならなかった被験者より、目に見えて注意力が高かった。自然と関わるには、種類の違う、労力をそれほど必要としない注意力が求められるらしく、一時的にモードをそちらに切り替えると、日常生活に必要な集中力がよみがえるのだ。森を歩いたり街の喧騒を離れたりすると、知的な作業が求められる毎日の生活の課題にうまく取り組めるようになるというのは事実なのだ。


■7.PK戦でゴールキーパーが動かずにいられないわけ
 事実、キーパーたちは情けないと感じていた。アザールはキーパーたちに、自分の決定についてどう感じているか聞き取り調査を行なった。するとゴールを守る戦略には、感情が大きな役割を果たしていることわかった。真ん中でじっとしているほうが統計的には有利なのに、実際にそうするのは、キーパーのわずか6パーセントだった。それはなぜだろうか? じっと立っていてゴールを決められたら、どちらかに跳んだときよりも、気分が悪く感じるからだ。言い換えると、何らかの行動をとっていれば、失敗が目に見えているとしても、何もしないよりいいと感じる。何もしないで失敗するのは、感情的に受け入れられない。動くことを感情で選択してしまうのは、脳のヒューリスティックのなせるわざだ。そして雪の中での運転と同じく、その衝動を変えるには多大な労力がいる。


【感想】

◆すぐ上のポイントの7番目で「雪の中での運転」とありましたが、これは実は、本書の「はじめに」でヒューリスティックがどういうものかを示す、分かりやすい例として挙げられていたものです。

つまり、雪の上で運転でスリップして、後輪が右に流れた場合、大抵の人は反射的に左にハンドルを切りますが、これは間違い。

ハンドルは滑る方向、つまり右に切らなくてはならないのですが、これはかなり意識しないとできない、本能に反する行動です。

ヒューリスティックとは、まさにこの「反射的に左にハンドルを切る」ようなもの。

あらかじめ知っていないと、正しく対応するのは難しいことになります。


◆ただ逆に、それを上手く利用して、日々の生活に活かすことができれば、本書を読む価値も増すと言うもの。

たとえば、ポイントの2番目の「具体的な手順」の話を日常生活に役立たせる例として、本書では「年の初めに運動を始める場合にどうすべきか」が挙げられています。

曰く、「有益で健康にいい」とか「運動で自信が高まる」などと考えるのではなく、「今日の午後、スニーカーを履いてジムに向かい、最初に目に入ったランニングマシーンに乗って、足を動かせ」と。

そう、漠然とした考えは、「先送りされやすい」のですから。


◆また、興味深かったのがポイントの6番目の自然に接するお話。

これは「ナチュラリスト・ヒューリスティック」の一例として挙げられており、ライフハックのみならず、ガチに勉強をされている方も参考にすべき実験結果だと思います。

実際、仕事や勉強の合間の休憩時間に散歩をする際、自然の中を歩いた方が良い、ということは経験則的には分かっていても、数値的にもそうだというのが証明されたのは大きいかと。

とはいえ問題は、都心だとそんな自然がないことで、職種によっては職場を考えたり、経営者の方でしたら、本社の場所を一考すべきかもしれません。


◆冒頭の画像のように、本書はとにかく読みどころが多かったので、読み切るのにも時間がかかりました。

もちろん、幅広くヒューリスティック(「バイアス」)を扱っているため、既知の内容や類書でも見られる事例はありましたが、カバーしている範囲が広いため、気にならなかったという。

行動経済学関係の本がお好きな方なら、一読の価値アリ!

そして、マーケターや経営者の方なら、ビジネス的視点で読めば、余裕で元は取れると思います。


記事では割愛しまくったので、ぜひ本書をお読み下さい!

思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則
思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則
はじめに:思い違いの罠にはまらないために

●Part(1)体の感覚と思い違い
◎<法則1> 生理的ヒューリスティック
◎<法則2> 幻視ヒューリスティック
◎<法則3> 運動・勢いヒューリスティック
◎<法則4> 流暢さヒューリスティック
◎<法則5> ものまねヒューリスティック
◎<法則6> マップメーカー・ヒューリスティック

●Part(2)数字と思い違い
◎<法則7> 計算ヒューリスティック
◎<法則8> 希少ヒューリスティック
◎<法則9> 係留ヒューリスティック
◎<法則10> カロリー・ヒューリスティック
◎<法則11> おとりヒューリスティック
◎<法則12> 将来ヒューリスティック

●Part(3)意味と思い違い
◎<法則13> デザイン・ヒューリスティック
◎<法則14> 採集ヒューリスティック
◎<法則15> カリカチュア・ヒューリスティック
◎<法則16> 黴菌ヒューリスティック
◎<法則17> ナチュラリスト・ヒューリスティック
◎<法則18> 道徳ヒューリスティック
◎<法則19> 死神ヒューリスティック
◎<法則20> 既定値ヒューリスティック


【関連記事】

【行動経済学】『鈴木敏文の実践!行動経済学』(2012年03月03日)

【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)

【オススメ】『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー(2010年11月26日)

【ネタ満載】「ねじれ脳の行動経済学」古川雅一(2009年04月24日)

【スゴ本】「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー(2008年12月15日)


【編集後記】

◆今日の気になる本。

漫画貧乏
漫画貧乏

HONZで知ったのですが、漫画家、佐藤秀峰さんが漫画業界をえぐった作品のようです。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

この記事のカテゴリー:「潜在意識・右脳開発」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:00
Comments(0)TrackBack(1)ビジネススキルこのエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/52010354
この記事へのトラックバック
人間が人間の動きや考えを予測する場合、赤ちゃんも大人も無意識的にこの(進化的に古
反射的な運動予測【哲学はなぜ間違うのか?】at 2012年05月05日 22:21