2012年02月28日
【東大式ライフハック?】『東大式決断術』今井健仁
東大式決断術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「東大ライフハック研究会」代表の今井健仁さんによるライフハック本。タイトルからは「意思決定術」のような印象を受けましたが、内容的にはもっと汎用性の広いライフハックが中心でした。
アマゾンの内容紹介から。
東大の頭脳が教える社会を生き抜く実戦術。500冊以上の書籍をベースにした知識を、現役東大生と一流企業に勤める東大卒OB・OGが実体験を元に再構成。決断に至るまでの思考プロセスを詳しく解説し、誰にでも実践できるテクニック・ドリルが満載の一冊。
巻末の参考文献の中には、ウチで取り上げた本も多々あり、当ブログの読者の皆さんとの相性も良さそうです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.体も心も大事にする勉強や仕事を行うための脳も、しょせん体の一部に過ぎない。体の調子が悪くなったら、その一部である脳がいつも通り動くわけがない。医者・保険会社の調査では、人体の臓器や器官を全部合わせると、約40億円の価値があるとされている。まさに「体は資本」である。(中略)
つい忘れがちだが、体が気持ち良けれぱ気分も良くなるし、のどがかわくと何ともいえないあせりを感じる。体は自分を表現するものであるだけでなく、心に対して情報をインプットするところでもあるのだ。だから、自分の体を大事にすることで、自分の心も大事にできる。暑いと汗が出るのと同じように、おいしいものを食べれば楽しくなるし、マッサージをすると気持ち良くなって、緊張もほぐれる。体にいいことは、心にもいい。
■2.自分の軸を3つ決める
子供のころ好きだったもの、アニメ、あこがれていたアイドル、歴史上の人物……。
まずは、自分の好きなものを15〜20個くらい書き出してみる。
そして、そこに共通する要素を3つ、考えてみよう。
家族愛、チームプレー、地元の発展に貢献する……、といったように、1つの要素につき一言、二言で表現できるといい。
その3つが、あなたが生きていくうえで大事にしている3つの軸である。(中略)
自分の軸を見つけるという作業は、どんな辛いときも枯れることのない「やる気の源」を獲得することなのだ。
■3.複数の作業を同時に進めるには、それぞれまず80%まで仕上げる
ここでの具体的な戦略としては、とてもシンプルだ。「(1)期限かせまっている順に80%の完成度まで仕上げた後、(2)期限がせまっている順にそれぞれ完成させていく」ということである。「80%の完成度」とは、「とりあえず必要なモノはそろっていて、平均もしくは平均より少しだけ良いといった状態を指す。
なぜ「80%の完成度」かというと、ひとまずは80%まで完成させることで、先が見えないという不安を取り除くことかできる。また、80%完成させたものを一度寝かせて、他のことに取りかかることで、後で見直した時に、新たな気持ちで取り組むことができ、直すぺきところがよリ明らかになる、という効果もある。
■4.「大事な20%」は複数の情報の共通する部分を見極めて探す
大事なところというのは、ショートケーキのイチゴみたいに「ここです!」という形でアピールしてくれている、なんてことはないと思ったほうがいい。
そこで、「大事な20%」を探しあてるための基本戦略としては、重要だとされている情報をいくつか集め、それらに共通する最低ラインを、物事の「大事な20%」として扱い、新しい情報を得るたびに、「大事な2O%」を更新していく、ということになる。
■5.とりあえず1ミリでも進んでみる
やらなければいけない。そのことは何となくわかっていても、ついつい面倒だったり、周りに何か言われるんじゃないかと思ったりして、なかなか始められない。
そんなときは、勢いで、とりあえず飛び込んで、簡単なことから始めてみるべきだ。簡単なトレーニングをやってみる、必要な道具を買ってみる、書類をざっとながめる、目次を見る、ためしに問題を1問解いてみる。5分だけ、と決めて試してみる。
何でもいい。1ミリでも先に進むことが何よりも大事である。
■6.試合や試験等の本番前には、お世話になっている人を思い浮かべて感謝する
何かに取りかかる前に、自分の目標を理解して応援してくれている人の名前を思い浮かべると、集中力や粘り強さが上がるという実験データがある。「ありがとう」と思いながらパンチ・ウェイトトレーニングをすると、普段のカの120%〜150%の威力が出たという実験もある。
本番前は、あらかじめ感謝する人を何人か決めておいて、その人たちのことを思い浮かべなから、「Aさんありかとう」「Bくんありかとう」……、と順番に感謝する、というルールを作っておこう。気持ちが落ち着くし、本番でのパフォーマンスも格段に上がる。
■7.1日10分間、考える時間を持つ
1日10分は、勉強、仕事、トレーニングをいったんやめて、今の自分の目標は本当に幸せを感じられるものか確認し、進み方は適切か、決断すべき物事の判断だけに集中する。
散歩、カフェでの時間、お風呂やシャワーの時間、顔を洗ったり歯を磨いたり、出かける準備、電車、車、バスに乗っている時間。ちょっとした空き時間に取り組んでみる。
毎日0.1%改善することができるだけで、1年間では44%も良くなるのだ。
【感想】
◆いつも通り(?)のフォーマットで抜き出すと、特徴が分かりにくいのですが、本書は他のライフハック本と比較しても、様々な工夫がなされています。まずは、各項目ごとに、著名人の「名言」を紹介。
さらに必要に応じて「ドリル」「関連ドリル」「1週間ドリル」等々のワークも収録。
今回は時間がないため、これらのドリルは試しておりませんが、理解を深めたり、現状を改善したい方は、ぜひお試しアレ。
◆一方、本書に収録されている「ハック」の数々ですが、これらは冒頭の内容紹介にもあるように、「500冊以上の書籍をベースにした知識」を「現役東大生と一流企業に勤める東大卒OB・OGが実体験を元に再構成」したもの。
それゆえ、元のネタ本を読んでいる方なら「はいはい、あの話ね」となることも充分ありえます。
ただ、これについても「もう知ってる」で終わらせてしまうのではなく、「どうして現役&OB・OG東大生は、この本からこのハックを選んだのか」を考えてみても良いかと。
まだ社会に出ていない東大の学生さんはさておき、「一流企業に勤める」東大卒の皆さんの考えは、ビジネスパーソンとしては無視できないものがあります。
ちなみに巻末の参考文献は、「主なもの」だけなのですが、それでも当ブログでご紹介したものが、34冊ありました。
特に今回外した「勉強本ネタ」については、別途ご紹介してみたく。
◆ところで上記で挙げたポイントの中で興味深かったのが、6番目の「お世話になっている人を思い浮かべて感謝する」というお話。
ここを読んだときに真っ先に思い浮かんだのが、この本でした。
ココロでわかると必ず人は伸びる
参考記事:【感動】「ココロでわかると必ず人は伸びる」木下晴弘(2007年08月15日)
上記参考記事で紹介しているお話で「塾で本番前に感動させると合格率が上がる」というのがありまして。
このとき生徒たちに何をするかというと、「試験直前に、ずっと応援してきた彼らの親のことを思い浮かべさせる」んですよね。
彼らは奮い立って泣き出すので、私は「泣くこと」がキーファクターだと思ったのですが、まさに「感謝すること」だったのかも。
◆本書は膨大な文献から、重要なエッセンスを抽出した「アンチョコ」のようなものだと思います。
著者の今井さんいわく「ページ数も多くないわりにいろんなことが書いてあるから、説明書みたいな感じで読み直してもいい」とのこと。
加えて、即効性のあるTIPSは、コラム形式で列挙されており、この辺は、サイト「ライフハッカー[日本版]」の購読者なら、ツボではないか、と。
個人的には、情報を詰め込み過ぎて、ちと読みにくい点があるのが気になったのですが、中身が薄いよりは良いでしょう。
東大式のライフハックを凝縮した1冊!
東大式決断術
第1章 心をほぐすストレッチ
第2章 行き先を(とりあえず)決める
第3章 進む
第4章 見直して決断する
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【編集後記】
◆以前読んだ『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』が分かりやすくて注目してた、木暮太一さんの新刊。誰にでも伝わる 文章力のつくり方
「今すぐ文章力がアップする、88のルールを全公開」というのに惹かれておりますw
ご声援ありがとうございました!
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