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2012年02月25日

【警鐘?】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』漆原直行


ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)
ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ビジネス書好き界隈では、話題騒然の1冊。

発売日にアマゾンでは速攻で在庫が切れ、私も仕方なくリアル書店に買い出しに行ったくらいです。

アマゾンの内容紹介から。
本書で語られるのは、ゼロ年代ビジネス書の総括から、出版業界の裏側、振り回される読者の実態、ビジネス書との賢い距離感の探り方、自己啓発・成功本における定番ストーリー解読、古典的ビジネス書のエッセンスまで…いわば「ビジネス書の攻略本」ともいえる充実の内容。

なお、在庫に関しては、版元の「中の人」が「社内にあります!」と言われているので、すぐに復活すると思われ。

実際、ビジネス書好きなら、手に取らずにはいられないのではないでしょうか?


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【ポイント】

■1.ライトな仕事術本が量産されるワケ
ビジネス書、とくに自己啓発や成功本といったジャンルは不況に強い、むしろ不況になるほど売れるという指摘もあります。前出のべテラン編集者の言葉とも関係しますが、つくるにしても読むにしても一定の知識やスキルを要し、時間もかかる重厚な実務書や硬派なビジネス理論書ではなく、エッセイ感覚で読み飛ばせる手軽な自己啓発書や成功本、ライフハックのようなライトな仕事術本が次々と店頭に並ぶようになった背景には、出版業界の薄利多売路線が多分に影響していると考えられます。


■2.自己啓発書のルーツはどこに?
 大半の自己啓発書や成功本に通底するテーマであり、最終的なゴールでもある考え方、それは徹底した自己の肯定とポジティブシンキングです。(中略)

 では、このような考え方、主張の源流はいったいどこにあるのか。辿っていくとひとつのキリスト教思想に行き着きます。「ニューソート」です。

(詳細は本書を)


■3.「ライフハック」との付き合い方
 この手の"ちょっとしたコツ"を取り入れるうえで大切なのは、とりあえず試してみて「なんとなく合う」「どうも合わない」という大まかな印象をもとに適宜取捨選択していくこと。基本的に、我慢してまでそのテクニックを使い続ける必要はありません。そして、「これはいい」と思える手法だけを使い続けて、残していくようにすると、自然に自分なりのハック集が形作られていくものです。


■4.本のタイトルを最終的に決めるのは著者ではない
著者からすると、「それはちょっと言い過ぎ」「こちらの意図とズレてる」と感じるようなタイトルがつけられていて、とりあえずは指摘したものの「このほうが絶対売れます!」と版元サイドが主張するので「それならばまあ仕方ない、お任せします」と最終的には折れた、といった話も耳にしました。
 また、著者と担当編集者のあいだでは、ちゃんと納得しあっていたとしても、もっと上の人間(編集長だったり、局長だったり、役員だったり)の鶴の一声で、微妙なタイトルがつけられてしまうこともあります。営業部門から「そんなタイトルや帯じゃ売れないよ!」などと横ヤリが入り、ほぼ本決まりだったタイトルがひっくり返されたりする場合もないわけではありません。


■5.売れ線を狙う上からの指示をなげく編集者の声
「二言目には『ヒットした類書に当て込むような企画はないのか?』『最近、○○って本が売れているようだけど、あれをウチでも』みたいなことを言ってくる上司や役員ばかりで、正直、萎える。(中略)
で、営業から上がってくる企画は、他社のヒット作のモロパクリみたいな案だったりして、しかもそれが採用されるから、さらにゲンナリしたり」
「著者に『あの著作、拝読しました! ぜひウチでもあのような内容の本を執筆していただきたく……』なんてお願いしなきゃいけないときのモヤモヤ感といったら。もちろん売れる本をつくりたいけど、現場の編集者としては複雑な思いを抱えて作業をしているケースがあるということを知ってもらいたい。(後略)」


■6.売ることにも協力的なビジネス書の著者
 ビジネス書の著者は営業活動にきわめて協力的な人が多い。版元の編集や営業と一緒に、いくらでも書店回りをしてくれる。自らの手で書いたポップを何枚も用意して、書店員に「よろしくお願いいたします」と頭を下げ、地道な営業活動を厭わない。(中略)

 著者が率先して売るための努力をしてくれるのは、とくに営業面から見るとたいへんありがたいこと。これが文芸の作家先生だったりすると、お高くとまって「お宅の営業は頼りない」「仕事をしてるのか」なんてお小言ばかりだったりするから。(某中堅版元の営業マン)


■7.バランスよく本に接する
ポイントはやはり幅広い読書。別に冊数を多く捌く必要はありません。が、ビジネス書ばかりでなく、文芸書やノンフィクション、歴史書に目を通してみるなど、ジャンルの幅を広げてみることは重要です。ビジネス書を読むにしても、特定の著者や特定の領域だけの本ばかりを追い続けるのではなく、ほかの著者にも気を配り、バランスを意識しながら本に接していくよう努めたいもの。
 至極当たり前のことばかり書き連ねていますが、ビジネス書にドップリな御仁には、こうした当たり前のバランス感覚に欠けている人があまりにも多いように感じます。


【感想】

◆そもそも本書を知ったのは、切込隊長こと、山本一郎さんの、このエントリーででした。

【告知】2月27日、阿佐ヶ谷ロフトAの「ビジネス書ぶった斬りナイト」にゲスト出演します: やまもといちろうBLOG(ブログ)

あの辛口の隊長が激賞していたので、これは読まねばと思っていた次第。

告知されていたイベントも、本書の発売前に予約券は売り切れてしまいましたし。

阿佐ヶ谷ロフトA 2012年2月27日の夜スケジュール

さらにもう御一方も、やはり毒舌で知られる中川淳一郎さんですから、おそらく当日は、本書の中では書けないような罵詈雑言本音トークが展開されることかと。


◆さて、隊長は記事の中で本書を「DISり本」と呼んでいますが、確かに現象面での「ビジネス書ブーム」をはじめ、上記ポイントに挙げたような制作面での問題点の指摘は、多数なされています。

その代りに意外だったのが、具体名を挙げての本や著者に対するDISが少ないというか、ほとんどなかったこと。

この辺は「2ショットで会っている著者の本でも"ポンチビジネス書"と切って捨てている」この本ほどは過激ではないです。

ビジネス本作家の値打ち
ビジネス本作家の値打ち

参考記事:【Amazonキャンペーン有】『ビジネス本作家の値打ち』水野俊哉:マインドマップ的読書感想文(2010年06月18日)

やはり著者の漆原さんも、今後この業界で潰されないでやっていくためには、ある程度の「大人の対応」が必要だったのかもしれません。


◆一方で、ビジネス書好きとしてありがたかったのが、第1章にあった、2000年から2011年までの、各年ごとの「ビジネス書」と「新書ノンフィクション」のベスト10と、その年度における事件や出版の傾向等々の記述です。

特に私の場合、2005年からビジネス書を読み始めた関係上、その前5年間の動きを把握することが出来ました。

また、第2章の「ビジネス書の掟と罠」における「3大定番名著のまとめ」も秀逸。

思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき
思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき

人を動かす 新装版
人を動かす 新装版

7つの習慣―成功には原則があった!
7つの習慣―成功には原則があった!

読んでない方にとっては、読んだフリができることウケアイかと。

この最初の2章だけでも、本書を読む価値はあると思います。


◆第3章、第4章では、「ビジネス書ブーム」の問題点を指摘。

特に第4章に収録されている「ビジネス書ブームに疲弊した読者の声」は、類書ではなかなかお目にかかれないものでした。

私が、本を読むことも、アウトプットすることも何ら重荷に感じていなかったため、ついつい見落としがちなことなのですが、むしろこういう方々の方が「一般的」だと理解しておきたいところ。

そして、「どうビジネス書と付き合えばいいのか」という「答え」が載っているのが、第5章という構成になっています。

具体的にどんな本を読むべきなのか、どう読むべきなのか、という点については本書にてご確認を。

ちなみに比較的最近の本では、こちらがオススメされていました。

成功は一日で捨て去れ
成功は一日で捨て去れ


◆私自身、「ビジネス書ブームの恩恵を被った」ともいえる人間であり、今回抜き出したポイントも、多少恣意的な部分があるかもしれません。

このブログも8年目に突入し、それなりに既知の編集者さんや著者さんも多いと、なかなか悪くは書けないですし、逆に「しょうがないよね」と思う部分もあるのですが。

本書は、類書とかぶる内容はあるものの、多面的に「ビジネス書」について掘り下げており、山本一郎さんが推されているのも納得です。

ただ、世間で本書がドーンと売れてしまうと、新刊ではなく過去のド定番本ばかり読まれて、当ブログが閑散としてしまう悪寒。


どうかほどほどに売れますようにw (-人-)ナムー

ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)
ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)
第1章 ゼロ年代のビジネス書幻想
第2章 ビジネス書の掟と罠
第3章 「ビジネス書」というビジネス
第4章 ビジネス書に振り回される人々
第5章 “そこそこ”賢いビジネス書とのつき合い方
第6章 ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない


【関連記事】

【アマゾンキャンペーン有】『「ビジネス書」のトリセツ』水野俊哉(2009年08月01日)

【Amazonキャンペーン有】『ビジネス本作家の値打ち』水野俊哉(2010年06月18日)

【読書】成毛眞さんのセミナー「遠くを見すえるための非ビジネス読書術」に潜入してきました(2011年05月11日)

【決定!】『このビジネス書を読め! ビジネス書大賞2011』(2011年04月26日)


【編集後記】

◆昨日のお買い物。

世界一の記憶術
世界一の記憶術

なかなか面白そうです。


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Posted by smoothfoxxx at 09:00
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この記事へのコメント
内容がとてもよく分かりました。詳細な記事、本当にありがとうございます。本を読むのが楽しみです。
Posted by chample at 2012年02月25日 09:16
>champleさん

コメントありがとうございます。
今自分で読み返したら「著者は悪くない!むしろいい人!」みたいになっていてワロイましたw
どんだけビジネス書の著者を持ち上げてるんだ、という。
やっぱ、バイアスかかってますよね、これ……。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年02月26日 05:38