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2012年01月02日

【任天堂の力!】『ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力』ジェフ・ライアン


ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨年末、成毛眞さんに「今年最後のおススメ本になるかもしれない。それも飛び切りのおススメ本なのだ」と言わしめた1冊。

今や日本を代表する企業となった任天堂の成長過程を、アメリカサイドから検証するという興味深い内容です。

アマゾンの内容紹介から。
なぜ任天堂「だけ」がアメリカで成功できたのか?世界を魅了し続ける日本企業の栄光と試練。気鋭のアメリカ人ジャーナリストが迫る。
2012年最初にご紹介する本にふさわしい濃厚さでした!


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【ポイント】

■1.「ドンキーコングJr.」では悪者になったマリオ
「ドンキ一キーコングJr.」は当たった。前作「ドンキーコング」のリメイクでも改良でもない、まったく違うゲームだったので、オリジナルの人気にはほとんど影響を与えなかった。任天堂とマリオはここから得た教訓を心に刻みこんだ――「ヒットしたゲームのキャラクターが、別種のゲームに登場しても、互いに適度に異なっていれば、供給過多にはならない」。



■2.プレイ体験こそ本質
 宮本の成功を見れば、マリオのアニメがことごとくコケた理由も明らかだ。キノコに飛びかかったリカメと戦ったりするのがマリオの本質ではない。プレイ体験こそ本質なのだ。心理学者のミハイ・チクセントミハイはこれを「フロー」と呼ぶ。フローとは、何か活動をしている際に人が得られる達成感や満足感のことだ。(中略)

 任天堂は気づいた――そうか、ゲーマーにとっての「フロー」を増やせばいいのだ。荒川は、壁にぶつかったプレイヤーのために、米国版「ゼルダ」のぶ厚い攻略本に問い合わせ用フリーダイヤルの番号を載せた。4人で電話応対にあたったが、あっという間に回線がパンクした。


■3.「スーパーマリオワールド」登場!
 しかし、日本での発売日である1990年11月21日というデッドラインは動かせなかった。シリーズは過去3作とも発売日を遅らせた。たとえ未完成でも、クリスマス商戦に間に合うよう発表させられる――という展開は宮本の望むところではなかった。「『発売が遅れたゲーム』という評価は、いったん発売されてしまえばチャラになります。けれども『つまらないゲーム』はいつまでたってもつまらないままです」という彼の発言は、今なおゲーム開発を語る際に引き合いに出される。完成したゲームはステージが75面もあって、プレイヤーは何十個もある秘密を見つけるとご褒美がもらえる。時間があれば秘密をもっと増やせたのに、と宮本は悔やむ。しかし、今でもこれが全マリオ作品の中で、彼の一番のお気に入りだ。



■4.著作権侵害とプレイステーション
任天堂の危惧どおり、ソニーのプレイステーション用ソフトは抜け道を使ってコピーできたので、ゲーマーたちはゲームを買わず、CDに大量にコピーするようになった(モッドチップを取り付ければプレイできたのだ)。ところが意外なことが起こる。皮肉にもこれが、プレイステーションの爆発的普及を後押しした。ただでゲームを遊ぺるのだから無理もない。任天堂があれほど恐れた著作権侵害が、ソニーの大いなる金づるになったというわけだ。


■5.「少女ゲーム」である「ニンテンドッグス」のヒット
 これはもはやゲームではなく、シミュレーションだ。だがそれでいい。任天堂がDSに呼びこもうとしていたのはゲーマーではなく、普通のファンだったのだから。少年ゲームを作り続けて数十年、任天堂はついに少女のために、正真正銘の少女ゲームを作ることになる。
 女性向けの「ニンテンドッグス」は全世界で2100万本以上のセールスを記録した。少女ゲーマーのカはそれぐらいすごかったのだ。

nintendogs + cats トイ・プードル & Newフレンズ
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■6.ゲームを通じた楽しみを売る「Wii」
 マイクロソフトとソニーは、任天堂とは違う。両社の狙いは、世の人々の余暇を奪いつくし、人々の生活をゲームと自社製品に捧げさせることだ。(中略)
 任天堂も一時それを望んだ。だが、もう望んではいない。任天堂は学んだのだ。自分たちの本当の商品はハードウェアでもソフトウェアでもない。売っているのは楽しみだ。シェイプアップやぺットのしつけ、ガーデニング、音楽の演奏、ビリヤード、釣り……。任天堂のゴールはゲームを通じた楽しみをあなたの生活に反映させることだ。Wiiはそのシミュレーターなのである。

Wii本体 (シロ) Wiiリモコンプラス2個、Wiiスポーツリゾート同梱
Wii本体 (シロ) Wiiリモコンプラス2個、Wiiスポーツリゾート同梱


■7.「千の顔を持つ英雄」マリオ
 マリオ以降の、他のゲームの主人公はスターとしての個性を作り上げるのに四苦八苦している。クラッシュは馬鹿で、ソニックは無愛想で、ジャックは禁欲的。マリオには人格というものをまったく持たないという自由がある。声優チャールズ・マーティネーによってマリオがしゃべりだすと、思わず笑えてしまうのはそのせいだ。何かをしゃべれば、マリオは人格を持った1人の人間になる。何も言わなければ永遠の分身(アバター)だ。神話学者ジョーゼフ・キャンベルの言葉を借りれば、マリオは「千の顔を持つ英雄」なのだ。

千の顔をもつ英雄〈上〉
千の顔をもつ英雄〈上〉


【感想】

◆本書は冒頭で申しあげたように「アメリカサイド」でのお話になるので、その主戦場も、任天堂のアメリカ法人・NOA(ニンテンドー・オブ・アメリカ)になります。

そしてその初代社長が、任天堂3代目社長の山内溥氏の娘婿、荒川實氏でした。

荒川氏のことは、正直今まで全く知らなかったのですが、本書を読むと荒川氏なくして、任天堂のアメリカでの成功も果たしてどうだったことか。

そもそも山内氏から「米国での足がかりをつくる」ために大量のアーケードゲームを押し付けられた荒川氏が、その在庫をさばくために「ROM交換して別のゲームに仕立て直す」ことを考えつかなければ、社内コンペも行われず、そうでなければ、あの宮本茂氏が「ドンキーコング」を生み出すこともなかったわけで。




◆その「ドンキーコング」でヒロインを助ける主人公が、後に「マリオ」と呼ばれることになるのですが、そもそも「ジャンプマン」と呼ばれていたのが、なぜ「マリオ」になったのか、についても本書では明らかにされています。

さらにヒロインの「ポリーン」も含め、まさかNOAサイドで、こんなに安易に名前が付けられていたとはちょっとビックリw

……みんな、もっとちゃんと考えようよ(涙目)。

ちなみに、「カービィ」もNOAサイドの関係者の名前なのですが、これについては、「その大いなる貢献に報いた」ということで大いに「アリ」(詳細は本書を)。

星のカービィ Wii
星のカービィ Wii

今後、こういったゲームをする際には、キャラクターの名前に対して感慨深くなりそうですw


◆もちろん本書でも、宮本茂氏は大活躍。

「ドンキーコング」を手はじめに、マリオシリーズや上記の「ニンテンドッグス」等、任天堂のヒット作のほとんどに名を連ねていることが良く分かります。

また、宮本氏はペットと遊びながら「ニンテンドッグス」、ガーデニングをしながら「ピクミン」を思いついていることから、任天堂では宮本氏に、あまり社外でプライベートについて語らないよう命じたのだとか。

Wiiであそぶ ピクミン2
Wiiであそぶ ピクミン2

本書を読んだ後で、この記事を読むと、また違った理解ができるカモ。

任天堂の宮本茂氏、独占インタヴュー ≪ WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム


◆私の場合、ゲーム人生がゲーセンの「スペースインベーダー」で始まり、初代ファミコンで終わっているため(早っw)、本書内で紹介されているゲームの「スゴさ」や「ダメさ」がイマイチ良く分かりませんでした(サーセン)。

ただ、冒頭でご紹介した成毛さんの記事にもあるように、本書が「素晴らしいビジネスケース・スタディに仕上がっている」というご意見には同意。

さらに、次の主戦場(?)である「ソーシャルゲーム」を考察する上でも、きっと参考になると思います。

……それはさておき、久しぶりに「ドンキーコング」をやってみたくなりましたよw


テーマは「ゲーム」ですが、中身は「骨太」です!

ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
序章 マリオのインサイド・ストーリー

Part 1
第1章 マリオの産声――ニンテンドー・オブ・アメリカの誕生
第2章 マリオの創造主――宮本茂と「ドンキーコング」
第3章 マリオの喧嘩――対ユニバーサル訴訟
第4章 マリオの旅立ち――1983年のビデオゲーム大恐慌

Part 2
第5章 マリオの島――日本とファミコン
第6章 マリオの陽光――「スーパーマリオブラザーズ」とNES
第7章 マリオの爆弾――「ザ・ロスト・レベルズ」
第8章 マリオのスマッシュヒット――「スーパーマリオブラザーズ3」
第9章 マリオの兄弟――NESとゲームボーイ
第10章 マリオのライバル――セガを救ったハリネズミ

Part 3
第11章 マリオの対決――ソニック VS. マリオ
第12章 マリオの銀河――スピンオフの嵐
第13章 マリオのクレヨン――「マリオペイント」
第14章 マリオのアドバンス――ソニーとの短い蜜月
第15章 マリオのカート(リッジ)――バーチャルボーイと3Dの夜明け

Part 4
第16章 マリオの世界――NINTENDO64
第17章 マリオの通信キット――64DD
第18章 マリオの大乱闘――ゲームキューブ
第19章 マリオのタイムマシン――ゲームボーイアドバンス
第20章 マリオのサーガ――@光と影

Part 5
第21章 マリオの革命――ニンテンドーDS
第22章 マリオのプリンセス――Wii
第23章 マリオのパーティ――3DS、あるいは任天堂の歴史における3日間
第24章 マリオの伝説――任天堂の未来

あとがき
参考文献


【関連記事】

【枯れた技術の水平思考】「任天堂 “驚き”を生む方程式」井上 理(2009年05月15日)

【スゴ本】「ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ」桝田省治(2010年03月21日)

【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)(2006年01月18日)

【キャラ作法】「キャラクターメーカー」大塚英志(2008年04月14日)

【DS&Wii】「ゲームニクスとは何か」サイトウ・アキヒロ(2007年08月22日)

【携帯流】「モバゲータウンがすごい理由」石野純也(2007年07月09日)


【編集後記】

◆新年初お買いもの。

魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story
魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story

映画化も決定しましたし、目を通しておかねば。


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Posted by smoothfoxxx at 09:00
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