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2011年10月02日

【文章術】『書くことが思いつかない人のための文章教室』近藤勝重


書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)
書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日まとめ記事を書いたばかりの文章術の本。

著者の近藤勝重さんは、毎日新聞専門編集委員であり、かつては「サンデー毎日」の編集長だった方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
ネタが浮かばないときの引き出し方から、共感を呼ぶ描写法、書く前の構成メモの作り方まで、すぐ使える文章のコツが満載。例題も豊富に収録、解きながら文章力が確実にアップする!
純粋に「良い文章」を書きたい方なら、一読の価値アリです!


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【ポイント】

■1.「思う」ことより「思い出す」こと
 かりに「真夏」というタイトルで作文を書いてください、と言われたとしましょう。「真夏」についてあなたは「思う」ことをメモ書きしてみる。さてそこから先に進めることができるかどうか。どうでしょう、おそらくそれではすぐに行き詰まってしまうでしょうね。ここは頭をチェンジして「思う」ことより「思い出す」こと、すなわち記憶に残る「真夏」の体験の中に材料を求めるべきなんですね。(中略)

 原稿用紙に向かって何も浮かんでこないとき、いかに乗り切るか。最初の試練です。その手立てとしては具体的に描写しやすく、かつ書き進めやすい題材がいい。それにはやはり「思う」ことより「思い出す」ことだ、とこれはぜひ覚えておいてください。


■2.観察するときは、全体から部分、部分から細部を
 その際、全体から部分へ、そして細部へと三点注視で目を移すことが肝要です。とりわけ細部です。全体の感じというのは、誰が見てもそんなに変わるものではありません。でも部分からさらに細部を気をつけて見ているかどうかの差は歴然と出ます。
 細部にはそこに本質や表面からはわからない実態が潜んでいることがあります。そのことに気づく、気づかないの差は大きいのです。


■3.自分独自の見方のためには「納得/共感/驚き・不思議」の3つに分類する
 見方・視点は「(1)納得」「(2)共感」「(3)驚き・不思議」の3つのファイルに分け、新聞や雑誌、本に登場の人の話でそれらに該当するものがあれば切り抜いたり、コピーしてそのファイルに収めています。この作業をやるだけで、ファイルの内容は印象に残り、一層記憶に刻まれます。
加えて、こういう見方があるのか、と受け止めることで、物事のとらえ方のコツを学ぶことができます。


■4.「人プラス物」で書く
具体的な描写の大切さはすでに説明しましたが、その描写の中に人と物をうまく取り入れるだけで、その場面はさらにくっきりと浮かび上がります。物は広く考えてください。事物ととらえていただいてもけっこうです。より伝わる文章表現は「人プラス物」です。


■5.感動体験を書けば高評価につながる
 感動には「言葉にならないほど感動した」という常套句がありますが、先に述べたように感動に至る1つ1つの場面と状況は記憶に刻まれています。その1つ1つを思い出して描けば、読者にも追体験してもらえますから、いい文章だ、と評価される確率は高いでしょう。


■6.時の流れがわかるように書く
 文章は自由自在に「時」を操ることができます。文章表現の強みですが、それだけに時の流れが読み手にわかるように心がけなければ強みが生かされません。(中略)

伊勢正三さん作詞の「22才の別れ」も「今日だけ」とか、「明日になって」とか「昨日のことのように」といった言葉が、誕生日のローソクの周囲を彩るようにちりばめられて、時の流れが胸にくるんですね。文章上のテンスの勉強にはともにいい歌です。そのつもりであらためて聴いてみてはどうですか。



■7.「思う」「考える」「感じる」を使わないで書く
 岸本さんは中学時代の国語の先生に『思った』や『考えた』『感じた』という言葉を使わずに作文を書きなさいと言われ、「できない」と言う生徒にその先生は「できる」とひと言、こう言ったそうです。
「『私は社会と理科の教科書を本棚から取って机に置いた。しばらくして理科の教科書を戻した』。これだけでも僕が社会の勉強をしようと思ったことが分かるじゃないか」


【感想】

◆当ブログでは冒頭で触れたように、つい先日、文章術のまとめ記事をアップしております。

【計10冊】目的別に文章術本を選んでみました(2011年09月29日)

この時の分類ですと、本書は1番目の「質の高い文章を書きたい」に該当するかと。

特に、タイトルに「書くことが思いつかない人」とあるように、小・中学生の国語の作文から、就職試験の作文まで、広い意味での「作文」や、著者の近藤さんが毎日新聞夕刊に連載している「コラム」が、その対象となります。

参考:しあわせのトンボ - 毎日jp(毎日新聞)


◆当ブログは、文章表現の豊かさや、観察、感動体験とはあまり縁がないため、本書の素晴らしさをどこまで伝えられているか、若干不安なところ。

ただし本書自体は、普通にエッセイやコラムを書いてみたい、という方にはドンピシャでしょう。

「書くことが思い浮かばない人」でも、帯にあるフレーズの「説明はいらない、記憶を描写せよ」を実践するだけで、筆が進むことウケアイ。

さらに「人プラス物」で書くことを意識すれば、描写力も上がるはず。

その具体例として、下記ドラマのラストシーンの、トラック運転手(古尾谷雅人)と純(吉岡秀隆)のやりとりがあげられていました(詳細は本書を)。

北の国から 87 初恋 [DVD]
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◆また、割愛した中にも本来見落としてはいけないポイントが。

・五感のバランスを整えるため「5分間目を閉じる」

・比喩力はナゾナゾで身に付ける

オノマトペを使うなら、当たり前すぎないものを

・書き出しは読み手の興味をひくこと

・結びが下手だと、全文を台無しにする可能性がある
etc...

いずれも気になる方は、本書にてご確認を。


◆なお本書は、ところどころに練習問題が挿入されており、これがなかなかタメになりました。

ひとつ例を挙げると、ページに収録されている岸部一徳さんの画像を見て、「描写せよ」、と(画像検索したところ、下記サイトの画像が本書のものと同じでした)。

岸部一徳で運気を上げる (きしべいちとくでうんきをあげる) - 関心空間

その際の注文が、「細部にこだわって」、ということで私も「こだわって」挑戦!

そしてその答えは…「って、そこかよ!」(ネタバレ自重)


幅広い年齢層で使えそうな1冊でした!

書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)
書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)
第1章 記憶を描写してみよう
第2章 伝わる文章の秘密
第3章 そもそも書く手順とは?
第4章 文章はこう直す
あとがきに代えて <特別編>文章に手を入れる


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この記事へのコメント
               
昨日、書店で見かけて即ゲットしてしまいました。
この手の本はついつい買い込んでしまいますが、文章が一向に上達しないのは…(涙)
読むだけじゃだめですよね、手を動かして、いちいちチェックするくらいに意識しないと!
そこが難しいのも分かっていますが(汗)

最近、あまり文章が書けないので、本書と『いますぐ書け、の文章法』がぐさっと刺さります。
Posted by Taka@中小企業診断士(業務休止中) at 2011年10月02日 11:01
               
>Takaさん

すでに購入済みとは、さすがにお目が高いw
文章といっても上記のまとめ記事で分類したように、目的が色々ありますからね〜。

「ブログで有名になって本を出したい!」というような方なら、本書はマッチしますが、アサマシエイターの方なら『今すぐ〜』の方がいいと思います。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年10月03日 03:35