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2011年08月05日

【オススメ】『友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学』ロビン・ダンバー


友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、あの成毛眞さんに、「今年これまでで、もっとも面白かった本」とまで言わせた1冊。

「人の自然な集団は150人程度」というダンバー数の提言者であるロビン・ダンバーによる、上質なサイエンスエッセイです。

アマゾンの内容紹介から。
友達や上手くいく集団の人数は150人まで。ネットワークは3の倍数で増える。言葉の起源は、サルの毛づくろい。一夫一婦が、脳を発達させた。家族いっしょの人のほうが健康。たがいの信頼を高める脳内物質がある。集団で笑うのはヒトだけ。その理由は…キスには進化からみた効用がある。ect。超面白・つながりの進化心理学。
なるほど、「面白さ」という点ではピカイチでした!

思わず付箋も乱れ貼り!?




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【ポイント】

■1.オスとメスの脳の支配領域の違い
 ダラム大学のロブ・バートンを中心とするグループが、霊長類のさまざまな種を対象に行なった研究はもっとわかりやすい。それによると、脳の新皮質の大きさは集団内のメスの数に比例し、大脳辺縁系(情動反応を起こすところ)の大きさはオスの数に比例するという。集団に多くのメスがいられるのは、メスたちが高度な社会的スキルを持っている証拠だ。新皮質はそうした能力をつかさどるところだから、当然の結果と言えるだろう。いっぽう霊長類におけるオスどうしの関係は、生殖で有利になるための順位争いが基本なので、闘争意欲を生みだす大脳辺縁系が発達するのもうなずける。


■2.女性は男性よりも豊かな色彩世界に生きている
男は赤、青、緑という三原色で世界を見ているが(三色視)、女の3分の1は4つの基本色で見ているのだ(四色視)。四色視であれば、緑や赤の微妙な色調を区別できる。さらに五色視も存在するというから、彼女たちはわれわれ男とはまったくちがう世界を見ていることになる。


■3.家族と一緒の方が健康
それを裏づけるのが、幼少期の罹患率と死亡率を調べた2つの研究だ。ひとつは1950年代にイギリスのニューカッスルで、もうひとつは80年代にカリブ海のドミニカで行なわれた。どちらの調査でも、子どもが病気にかかったり、死亡した数は、血縁ネットワークの規模とぴったり比例していた。つまり大家族の子どもほど病気にかかりにくく、死ぬことも少ないのである。家族がたくさんいればあれこれ面倒を見てもらえるのはたしかだが、それだけではない。血縁による相互の結びつきのなかにいると、強い安心感と満足感が得られるので、運命の波にさらされても乗りこえていけるのだ。


■4.共有される笑いの連帯感を生み出す驚異的な力
ケント大学のマルク・ファン・ヴュットのチームは、被験者にあらかじめ金を持たせておき、それを別の人に分けさせるという実験を行なった。ふつうなら赤の他人よりも、自分の友人に多くの金を提供するのだが、コメディのビデオをいっしょに見て大笑いしたあとは、ちがいがなくなった。笑いには他人を友人に変える魔力があるのだろうか。
 いや、それは魔力ではない。エンドルフィンの分泌をうながすのにいちばん効果的なのは、笑うことなのだ。


■5.アメリカからミルクを支給されたアフリカで、子供が下痢を起こした理由
 科学者たちは首をひねりながら原因を探った。そして判明したのは、離乳後に新鮮なミルクを消化できる能力は、いわゆる白人人種であるコーカソイド(なかでも北欧人)と、サハラ砂漠南縁に暮らす一部の牧畜民にしかない事実だった。それ以外の人びとにとって、ミルクはやっかいな飲み物でしかなかったのだ。彼らが食べるのは、ミルクを加工したヨーグルトやチーズであり、飲むときは徹底的に加熱していた。
 アフリカの飢饉を救うために粉乳を送ることが賢明かどうか、これでわかるだろう。そんな状況で大量のミルクを人びとに飲ませたら、事態は悪化するに決まっている。


■6.一人っ子政策を実施した中国の抱える時限爆弾
中国の100大都市では、女性100人に対して男性125人といういびつな人口構成になっているのだ。新生児の正常な男女比は女児100人に対して男児108人である。結婚可能な年代だけを見ると、中国全体で男性は女性より1800万人も多いという推計が出ている。2020年にはさらに差が広がって、3700万人の男性があぶれるだろう。これはかなり不穏な数字である。なぜなら彼女のいない男の子はろくなことをしないからだ。(中略)

イギリスでの調査結果を紹介しよう。青年犯罪者の累犯可能性を予測する最も確実なものさしは、刑期を終えたあとに長期的なパートナーを得たかどうかなのである。はっきり言ってしまえば、彼女のいない男の子は社会の脅威なのだ。


■7.IQと健康と死の関係
エディンバラ大学のイアン・ディアリが行なった研究で11歳の時点でのIQと、85歳の誕生をお祝いできる可能性とのあいだには、もっと直接的な関係があることがわかった。(中略)

 IQの平均値は100で、85〜115までの範囲に全体の3分の2の人がおさまる。ディアリが1932年のIQ一斉テストのデータを分析したところ、社会階層と社会的剥奪のレべルを統計的に処理すると、11歳時点でのIQが1ポイント下がるごとに、77歳までに死ぬ可能性が1パーセン卜高くなることがわかった。正常とされる範囲内でも、たとえばIQ=85の人が77歳の誕生日をお祝いできる確率は、IQ=100人より15パーセント低くなるのだ。


【感想】

◆冒頭の画像の通り、面白い小ネタがぎっしり詰まった1冊でした。

成毛さんが激賞されたのも納得。

そもそも、異なったテーマが20章あるので、それぞれの章から1つずつ選び出しても20あるわけですから、今回は本当に割愛しまくりです。

中でも第7章「今夜、ひとり?(魅力) 」と第8章「エスキモーのあいさつ(キス・匂い・リスク)」は、モテネタとして使えそうだったので、別記事用にすべて割愛したというw

と言うか、むしろそちらだけで書いた方が書きやすいし、読者の皆さんにとっても「メリット」がありそうだったんですが、さすがに20章の中から2章だけご紹介するというのも、いかがなものかと。


◆もっとも、今回選んだネタも、そこはかとなく「結婚」や「恋愛」が絡んでいるものがいくつか。

例えばポイントの2番目の「女性の1/3は四色視」というお話は全然知りませんでした。

そしてこの違いのおかげで、女性は男性の顔色の観察に優れており、ウソが見破れるのでは、という考察も本書ではされています。

また、「家族といる方が健康」ですとか「彼女のいない男の子はろくなことをしない」なんてお話は、「放っておいてクレ!」と言いたくなる方もいらっしゃりそうな気が。

スイマセン、サブタイトルにもある「つながり」というフレーズは、本書のメインテーマなので、どうしてもこの手の話が、あちこちで出てきてしまうわけでして。


◆そもそも肝心の「ダンバー数」自体も「つながり」と密接な関係があります。

「ダンバー数」については、本書では第2章で軽く触れられているだけなのですが、実は巡り巡って、第18章の宗教ネタのところでもう1度登場。

そこではさらに「つながり」「家族」「エンドルフィン」「脳」等々の要素が絡み合って、「ダンバー数」と「宗教」が見事にクロスする結末に(詳細は本書を)。

なるほど見事な展開でした。


◆さて本書は「恋愛ネタ」「コミュニケーションネタ」等々を学ぼうとして読むことも可能ですが、やはり純粋な「科学エッセイ」として読む方がより楽しめそうです。

「カメやワニは、卵がかえるとkの周囲の気温で性別が決まる」(ワニは暖かいとオスで、カメはその逆)ですとか、「大型類人猿の中ではヒトとチンパンジーとゴリラが同じ仲間で、オラウータンだけが別」等々、飲み会の席で「知ってる?」的にネタが披露できるものがホントにぎっしり。

「四色視」の奥さんに浮気がバレ、「『睾●の体重比でみる限り、霊長類の中ではヒトは単婚と多婚の間』だからウワキしてもしょうがない」というロジックを展開して撃沈しても、本書並びに私は、何ら責任を取りませんのであしからずw

こういう一見ビジネスと関係ない情報を頭に蓄積しておくと、ある時突然、ビジネスの大事な情報と化学反応を起こして、偉大なアイデアが生まれるのだと思われ。


読み終えるのが残念なほどの面白さでした!

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
●Part 1 ヒ ト と ヒ ト の つ な が り
第1章 貞節な脳(男と女)
第2章 ダンバー数(仲間同士)
第3章 親類や縁者の力(血縁)
第4章 ご先祖さまという亡霊(民族)

●Part 2 つ な が り を 生 む も の
第5章 親密さの素(触れ合い・笑い・音楽)
第6章 うわさ話は毛づくろい(言葉・物語)
第7章 今夜、ひとり?(魅力)
第8章 エスキモーのあいさつ(キス・匂い・リスク)
第9章 ずるいあなた(婚姻)

●Part 3 環 境 や 人 類 と の つ な が り
第10章 進化の傷跡(肌の色・体質)
第11章 進化の邪魔をするやつはどいつだ?(進化と欲望)
第12章 さよなら、いとこたち(絶滅の罠)
第13章 こんなに近くてこんなに遠い(人類の起源)
第14章 ダーウィン戦争(進化と創造)

●Part 4 文 化 ・ 倫 理 ・ 宗 教 と の つ な が り
第15章 人間ならではの心って?(志向意識水準)
第16章 カルチャークラブに入るには(文化)
第17章 脳にモラルはあるのか?(道徳)
第18章 進化が神を発見した(宗教)
第19章 頭を使って長生きしよう(健康・知性)
第20章 美しい科学(芸術)


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【編集後記】

◆ちょっと気になる1冊。

ホイト親子の夢と勇気の実話 やればできるさ Yes,You Can.
ホイト親子の夢と勇気の実話 やればできるさ Yes,You Can.

ちょっと長いですが、ググったらYouTubeでの特集もありました。




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Posted by smoothfoxxx at 08:30
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