スポンサーリンク

2011年07月28日

【バイブル!?】『調べる技術・書く技術』野村 進


調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、かなりの名著らしいのに、つい最近捕獲した新書。

どなたかのツイートで知ったのだと思うのですが、メモし損ねました(スイマセン)。

今般、この記事を書く前にググったら、土井さんスゴ本のdainさんも高評価ですし、マーケットプレイスでも値崩れなし。

今さらですが、モノを書く人すべてにオススメの1冊です!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【ポイント】

■1.出発点は自分自身にある
 自分は何者なのか。なぜノンフィクションを書くのか。この2点だけは、若いうちに突き詰めて考えておこう。その答えはたいてい、自分の出自や生い立ち、なかでも思春期までの体験に求められるはずだ。それを、以前は「原体験」と呼んだ。(中略)

 以前、吉行淳之介は、身の周りに殺人犯がいたり、妹が娼婦をしていたりする作家のことを逆説的に「サラブレッド」と呼んだが、読者の大半はそのような「サラブレッド」ではあるまい。だが、何かを書きたいのなら、現在の自分を形作った根っこにあるものを、しっかりとつかまえて、よくよく噛みしめておきたい。フィクションであれノンフィクションであれ、書き手が立ち返れるところはそこしかない。


■2.テーマ決定の5つのチェックポイント
(1)時代を貫く普遍性を持っているか。
(2)未来への方向性を指し示せるか。
(3)人間の欲望が色濃く現れているか。
(4)テレビなどの映像メディアでは表現できないか、もしくは表現不可能に近いか。
(5)そのテーマを聞いた第三者が身を乗り出してきたか。

(詳細は本書を)


■3.取材は小型メモではなくノートで
 小型メモだけでの取材はおすすめできない。新聞や週刊誌の記者には、小型メモだけの人をよく見かけるが、あなたがいずれ単行本を書くことを目指しているなら、絶対に避けるべきだ。
 最大の理由は、取材内容を俯瞰してとらえにくいからである。走り書きの小さな文字がぎっしり詰まった分厚いメモ帳と、余白を多めにとった大学ノートとを思い浮かべ、比較していただければ、容易に了解されよう。取材終了後の整理の段階でも、どの内容はノー卜何巻目の何ページにあるといった索引を作る場合、ノートのはうが圧倒的に使いやすい。


■4.取材相手に「同化」する
 読売新聞の名物記者だった黒田清は、「インタビューのコツ」として「相手と同じ大きさの声で話す」ことをあげている。相手が大声の持ち主ならこちらも大声で応じ、逆に声を落として語る相手ならこちらも声を落とす。つまり、相手に「同化する」ことだというのである(『新聞記者の現場』)。私も意識的にそうしている。ついでに言えば、飲食物も相手が頼んだのと同じものを、私も頼むようにしている。


■5.本当の取材は終わってから
 約束したインタビューの時間を終え、先方は心の中で安堵のため息をつくか、余計なことをしやべりすぎたと臍をかんでいるか、いずれにせよ緊張がいくらかはゆるんでいる。そのときなのである、インタビュー中には語られなかった本音が洩れるのは。
 それを聞き逃してはならない。さりげなく(あくまでもさりげなく)話を深めていく。私の経験では、取材ノートを閉じてから会話がさらに一時間以上も続くようなら、その取材は間違いなく成功裏に終わる。このときには前述した「丸暗記取材」に頼るほかはないのだが、取材の醍醐味を最も感じるのは、こうした機会に巡り合ったときだ。


■6.取材データは惜しげもなく捨てる
 取材で集積した事実のうち、実際に使うのはせいぜい10分の1程度、できれば20分の1以下が望ましい。そうしないと、作口の輪郭がぼやけてしまう。言い換えれば、いかに取材データを惜しげもなく捨てられるか。その思い切りのよしあしで、作品の出来不出来が決まると言ってもいい。
 どこを生かし、どこを捨てるかの選択は、やはり書きつづけることで身につけるしかない。概して、捨てる量が多ければ多いほど、作品の質は向上するものだ。これを「削除のための勇気」と言った評論家もいる。


■7.テーマのために登場人物たちをいきいきと描く
 たとえ、読者に強く訴えかけたいテーマが書き手にあったとしても、テーマをテーマとしてそのまま提出するとまず間違いなく失敗作になる。そうではなくて、登場人物たちをいかにいきいきと描くかに腐心したはうが、結果としてテーマも自然に浮かび上がり読者の胸に届けられるのである。当たり前のことと思われるかもしれないが、当時の私にとっては"コロンブスの卵"のような発見で、このことを自覚したとき書き手として一皮むけた気がしたものだ。


【感想】

◆よく「知的生産術」という言葉でくくられるノウハウなりTIPSがありますが、帯のフレーズにもあるように、本書はまさに「プロの知的生産術」

第1章の「テーマを決める」から第5章の「原稿を書く」まで、「ここまで手の内あかしていいんかい?」的なTIPSの連続です。

丸ごとそのまま「ノンフィクション作家講座」のテキストになっていてもおかしくないくらい。

ただ、そこまで細かく書いても、最終的には「自分は何者なのか」「なぜノンフィクションを書くのか」については人それぞれですから、出来上がってくる作品も「その人なり」のものになっているのだな、と。


◆なお、今まで私が読んでいた類書との一番の違いは、「取材」に関する部分。

ググれば大抵のことが分かる今でも、ノンフィクション作家にとっては、人と会って話を聞くことが、一番大事なようです。

そして本書が圧巻なのは、「取材の申し込みの例文」(!?)までもが収録されていること。

さらには、「断られた場合の対処法」「代表的な質問項目」「チェックすべきポイント」等々、かゆいところに手の届く気配りがなされています。

特に「取材相手の環境も観察する」という例で、総理大臣になる数か月前の細川護熙氏にインタビューした際、当時総理の目はない、と言われていた細川氏の事務所のデスクの脇にケネディ大統領の写真が飾ってあり、その野心に気がついた、というクダリはなるほど納得。

直接は口にしなくとも、秘めたる想いや考えは、どこかしらに出るものなのなんですね。


◆第6章以降の3章では、ノンフィクションを「人物」「事件」「テーマ」の3種類に分け、それぞれについて、著者の野村さんの実際にメディアで発表した作品を題材に解説。

人物ノンフィクションでは、雑誌『AERA』掲載の市川笑也さんのお話。

事件ノンフィクションでは、茨城で起きた中学生の集団飛び降り自殺事件を取り上げた、月刊『現代』掲載の「5人の少女はなぜ飛び降りたか」。

テーマノンフィクションでは、医療法人・徳洲会グループの看護&ケアマガジン『VIVO』掲載の1日ナース体験記。

それぞれ、まずは作品を紹介し、それに続いて、どのような経緯を経てこれらが出来上がったのかの舞台裏が語られているのですが、タメになること、この上ありません。

私たちは日頃、出来上がった作品だけを読むだけで、その制作過程までには思いめぐらせないものですけど、いざ自分が「書く」という作業を意識した場合、こうした「ネタバレ」(?)がどれだけありがたいことか。

この3つの章は「本気で」作家やライターを目指す方なら、必読でしょう。


◆本書は基本的に「ノンフィクションを書く(書きたい)」人に向けられたものですが、そのTIPSの多くは、会社や大学のレポートのような「何かを調べて書く」人にとっても役立つもの。

実際、問題解決等のために、販売店や工場でヒアリングをする場合でも、本書のやり方を取り入れることは可能だと思います。

ただ、私はそういう機会もまずないので、第2章の「資料を集める」が楽しめました。

中でも『「知」のソフトウエア』を参考にしたという、「B4サイズの二段型キャビネット×2の上に厚手の板を載せた自家製デスク」は、写真まで掲載されており、マネしたくなる人も出てきそうなw

とは言え、本書を読んで一番アツくなれるのは、やっぱりノンフィクション作家を目指される方でしょうねぇ。


未来のベストセラー作家志望者なら必読!

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
第1章 テーマを決める
第2章 資料を集める
第3章 人に会う
第4章 話を聞く
第5章 原稿を書く
第6章 人物を書く
第7章 事件を書く
第8章 体験を書く


【関連記事】

【文章術】『文は一行目から書かなくていい』藤原智美(2011年06月06日)

厳選! 「『人を動かす文章術』」の超簡単な活用法8個(2011年01月05日)

【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)

【知的生産】『小宮式 知的アウトプット術』に学ぶ「書く力」を高める7つのポイント(2010年11月04日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)


【編集後記】

本書に登場した作品で気になったものを1つ。

もの食う人びと (角川文庫)
もの食う人びと (角川文庫)

「書き出しの名文」の例としても挙げられていました。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「メルマガ・ライティング関係」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:30
Comments(2)TrackBack(1)メルマガ、ライティング関係このエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/51949136
この記事へのトラックバック
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)作者: 野村 進出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/18メディア: 新書 文章術と言っても”文章”の種類によって、注意する点は異なる。 本書は、ノンフィクションを書くための本。 「調べる」=取材であり、決してアカデミ
ノンフィクション作家入門:調べる技術・書く技術【本読みの記録】at 2012年04月10日 22:37
この記事へのコメント
ここ、いいですね!「概して、捨てる量が多ければ多いほど、作品の質は向上するものだ。」なんとなくわかります。文章ってほっとくと、余計なこと書きすぎて長くなりがち。これからは「削除のための勇気」を唱えながら、ブログ書くことにします〜
Posted by akokinoko at 2011年07月29日 01:07
>akokinokoさん

鋭いところにお目をつけられましたねw
と言うか、私のこのブログのだらだら長文もいいかげん何とかしたいところなんですが(汗)。

一応、これでも付箋を貼りまくったところから厳選しているのでお許し下さい!!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年07月29日 05:46