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2011年07月21日

【国際派?】『米国製エリートは本当にすごいのか?』佐々木紀彦


米国製エリートは本当にすごいのか?
米国製エリートは本当にすごいのか?


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の記事の編集後記で、リアル書店のみならず、「アマゾンでも品薄」と申し上げていた1冊。

確か昨日の時点では「2〜4週間待ち」だったのですが、今見たら「在庫あり」になっており、これ幸いと記事を書いておりますw

アマゾンの内容紹介から。
優れたリーダーが出てこない日本。今の日本に必要なのは、新時代のエリートを生み出す「エリート育成システム」である。しばしば日本のお手本としてあげられる、米国のエリート教育。日本はそこから何を学ぶべきで、何を学ぶべきでないのか。本書は米国製エリートたちの強みと弱みを検証し、これからの日本が進むべき道を示す。
個人的に知らなかった話も多く、久しぶりに付箋を貼りまくりました。




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【ポイント】

■1.平均以上の知的エリートをつくる教育システム
教育は"秀才"はつくることはできても、"天才"をつくることはできません。大学中退組のスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツがよい例です。本当の天才は、大学教育など受けなくても、天才たり得ます。むしろ、米国大学教育の最大の強みは、平均点以上の知的エリートを育てる点にあるのではないかと思います。(中略)
 その最大の理由は、「米国の大学はインプットとアウトプットの量がとにかく多い」という点にあります。百本ノックのように、次から次に読書、レポート、プレゼンテーションの課題が降ってくるため、否が応にも知的筋力がつくのです。


■2.米国人が必死に学歴を集める目的は「コネ」
日本では、あまり利害を前面に押し出して、人脈を開拓していくのは気が引けますが、こちらはコネも実力のうち。コネ社会であるからこそ、MBAや一流大学卒の肩書きが割のよい投資になるのです。とくに米国は転職が日常茶飯事なだけに、会社という枠を超え社会全体に広がる「大学閥」は貴重です。卒業生を含めた一流大学のネットワークに入れるか否かで、情報量やチャンスの多さに差がつきます。


■3.米国の大学院教育は「抽象的な物事を考える能力」を鍛える
米国流教育の強みは、一見わかりにくい実践性にあります。具体的にいうと「演繹的に物事を考える能力」「限られた情報から物事を予測する能力」を鍛えるよい訓練になります。仮説を立て、それを検証し、修正していく――こうした習慣を米国の学生は毎日叩き込まれるわけです。日本では、留学やコンサルティング会社での勤務経験がある人間でもない限り、こうしたトレーニングを受ける機会はありません。


■4.同じ「お金好き」である、中国と米国の違い
米国の場合、「経済力→政治力」という順序です。「経済力」が手段で、「政治力」は結果。お金持ちになれば、権力が手に入るという論理です。それに対し、中国の場合は「政治力→経済力」という順序です。「政治力」が手段で、「経済力」は結果。権力さえ握れば、お金は黙っていてもついてくる。米中両国の「お金好き」という同じ現象の底には、まったく違った伝統、理屈が流れているのです。


■5.社会システムを変えない限り、日本でベンチャーが増えるのは難しい
グーグルの創業者であるラリー・ペイジやサーゲイ・ブリンは、たとえ起業に失敗しても、借金を背負うことなく、いつでもスタンフォード大学に戻ることができたわけです。であれば、たとえ失敗する確率が99%でも、わずかな成功の可能性にかけるのは合理的です。
 精神論ではなく、純粋なお金の計算として、ベンチャーに挑戦したほうが大企業で働くよりも得――。そういう社会システムをつくらない限り、本当に優秀な人間はベンチャーに惹かれないでしょう。


■6.英語の総合力を高めるのは暗記と音読
とにかく多くの英文を音読して暗記するのが、英語上達の近道です。当初は、私も音読・暗記勉強法に疑心暗鬼だったのですが、その効果たるや恐るべし。暗記リストが積み上がってくるにつれ、自然と英文が口から出てくるようになってきたのです。私の知る中国人、韓国人の英語の使い手の多くも、暗記勉強法を実践していました。


■7.勉強の真髄とは自習である
 私は、教師としての大学教授の力量は、(1)構成力(授業のテーマや教材の選び方、その順番の決め方)、(2)司会者としての能力、(3)批評家としての能力、の3つにあると思っているのですが、(1)の構成力は、実際に授業を受けなくても、見極めは可能です。ある教授が勧めている課題図書を読んでみて、退屈かつ凡庸なものが多ければ、もう読み進める必要はありません。一方、試し読みしてみて面白いと感じたら、その教授の推薦図書をぶっ通しで読んでみることです。そうすれば、米国の大学で授業を受けるのと遜色ないレベル、ときにはそれ以上の知力向上を望めるはずです。


【感想】

◆タイトルと表紙から、勝手に「アメリカのエリート大学生の実態とは?」的な本を想定していましたが、半分当たって半分外れていました。

当たっていたのは、まず著者の佐々木さんが仕事を休職してスタンフォード大学の大学院生(国際政治経済専攻)となり、自分の目で見たアメリカの大学並びに大学院の実態を明らかにしている点。

外れていたのは、タイトルでも「米国『製』」とあるように、その米国システムで加工される海外からの留学生の国ごとの傾向についても踏み込まれている点。

さらにそれだけに留まらず、日本が弱いと思われる3つの分野において、海外との比較を通じてその問題を明らかにしている点。

下記目次の第3章から第5章までが、その「3つの分野」に該当するのですが、想定外の読み応えでした。


◆例えば第3章では「雇用の流動性」について触れられているのですが、目からウロコだったのが、「雇用の流動化は少子化の解消にも役立つ」というお話。

北欧のように、育児休暇が男女ともに長かったり、託児所等の国からの援助が豊かな「優しい社会」でない限りは、自由主義風の「フレキシブルな社会」でないと出生率は低いのだそう。

「出生率2.1」を誇るアメリカはもちろん後者で、子育てに関する公的な援助は少ないものの、労働市場の柔軟性が高いため、子育てのために会社を辞めた母親が、復帰後同じような職につくことができます。

翻って日本の場合は、一度会社を辞めてしまうと、同じレベルの仕事(特に新卒時)に就くことはほぼ不可能であり、「仕事か子供か」の選択を迫られた結果、子供を断念せざるをえない優秀な女性が多々いるという……。

一応最近は「子ども手当」とかできましたが、それで扶養控除が一部廃止されているんですから、その効果も限定的かと。


◆一方、第4章のテーマは「歴史」です。

アメリカがスゴイのは、トップが失敗した場合、自らの失敗を把握・分析しそれを知識として後世へと引き継いでいること。

例えば、ベトナム戦争のA組戦犯といわれる、ロバート・マクナマラ元国務長官は、その回顧録で判断ミスの原因等を述べています(自己弁護という面はあるものの)。

マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓
マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓

私自身は、お恥ずかしながら歴史には非常に弱いので、第二次世界大戦の敗因等について、責任者レベルでの「敗因本」が出ているのかよく知りません(スイマセン)。

一応、こういう名著があることだけは知っておりますが。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)


◆こういったディープなテーマから、第6章では一転して「日本人」と「留学」について言及。

超円高の今、佐々木さんの留学された2007年に比べて、2年間で500万円ほどお得なのだそう(当時は1$=120円)。

また、ご自身の経験を含めて、ポイントでも挙げたように、英語勉強法にも触れられています。

実は佐々木さんの現在の勤務先は、お馴染み東洋経済新報社であり、当ブログでも人気だったこの号は佐々木さんのご担当だったとのこと。

週刊 東洋経済 2010年 9/18号 [雑誌]
週刊 東洋経済 2010年 9/18号 [雑誌]

参考記事:【メモ】週刊東洋経済の「非ネイティブの英語術」は結構キテます!(2010年09月14日)


◆普通だったらこの第6章と、アメリカの大学の授業内容や、留学生の実態を描いた1,2章だけで「留学本」をお手軽に作っても良さそうな気もします。

ただ、あえて骨太な第3〜5章を加えて厚みを出しているのが、本書の特長かと。

実際、「なぜその国がそのような反応をしたのか」という分析は、歴史を含めたバックボーンまで知らないと正しくは行えない可能性が高いですし、自分自身、本書で新たな視点を得ることができました。


留学の予定がなくとも一読の価値アリ!

米国製エリートは本当にすごいのか?
米国製エリートは本当にすごいのか?
第1章 米国の一流大学は本当にすごいのか?
第2章 世界から集うエリート学生の生態
第3章 経済・ビジネス ――資本主義への愛と妄信
第4章 歴史 ――歴史が浅いからこそ、歴史にこだわる
第5章 国際政治・インテリジェンス ――世界一視野の広い引きこもり
第6章 日本人エリートの未来


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【スゴ本】アナタが「アメリカCEOのベストビジネス書100」を読むべき6つの理由(2009年11月17日)

もしものときのための「トップMBAの必読文献」6選(2009年11月15日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ―
スペンド・シフト ― <希望>をもたらす消費 ―

「コトラー氏絶賛」というのが惹かれますね。


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Posted by smoothfoxxx at 08:30
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