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2011年07月05日

【ウサギとカメ?】『35歳からの「資格試験」勉強法』山本浩司


35歳からの「資格試験」勉強法
35歳からの「資格試験」勉強法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ちょっと前に出ていた勉強本

著者の山本浩司さんのお名前は以前から存じ上げていましたが、勉強本は勉強本でも特定の資格試験についての専門書的な著作が多かったので、なかなかご本を読む機会がありませんでした。

それが今般、牛山恭範さんのご本で山本さんのことを触れられているのを目にし、1冊くらいは読まねば、と思った次第。

「幅広く資格試験の勉強に使えそう」と思って選んだのがこの本でした。

特に私の苦手な「理解して記憶する」作業について、得る点が多々ありましたよ!


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【ポイント】

■1.社会経験こそが武器となる
 まず、資格商売をするためには、依頼者の実情を知らなければなりません。
 この点、少々世間知らすでも、何とかなるかなと思える資格は司法書士だけです。
 税理士、行政書士、社会保険労務士などは、企業経営の実情を知り、依頼者の希望や、人間としての痛みを知らなければ、とてもじゃないが、仕事はきません。
 そういう意味で、35歳に至るまで、会社の内部などで、世の中の実情を知った経験は、必ず、士業の経営にプラスになります。


■2.集中度を判断する基準
人間は、楽しいことにしか集中できません。
 苦しいことに集中するのは無理です。(中略)

 みなさんが、何かの学習を始め、「えっ、もうこんな時間?」と驚くことがあれば、そのときみなさんは集中状態にあります。
「えっ、まだこんな時間」ということであれば、集中度はゼロです。
 これが、集中度を判断する一番分かりやすい基準です。


■3.大人向け「ウサギとカメの記憶法」
 例えば、「ウサギとカメはどちらか勝ちましたか」と聞かれれば、誰でもカメと答えられます。
 しかし、「リトマス試験紙が赤から青に変わりました。さて、この液体は酸性でしょうか? アルカリ性でしようか?」と、問われた場合にはどうでしょう。
 おそらく、答えに迷う方がいらっしゃるでしょう。

 これは、「ウサギとカメ」は情緒的記憶、リトマス試験紙は機械的記憶だからなのです。


■4.機械的記憶はその数を減らすこと
 情緒型の記憶は優秀なのですが、それではカバーしきれない部分が残ります。
 機械的な記憶を要する分野です。
 この分野についての基本的な考え方は、できるだけ記憶量を減らすということです。
 つまり、機械的記憶はもともと人間の本性に反しますから、その数を減らす工夫をするのか賢い方法です。


■5.受験予備校の選び方
 予備校利用のメリットは、機械的記憶を減らし情緒的記憶に置き換えるスピードの促進です。
 受験生の合格までの時間短縮が、予備校の使命です。
 受験生の記憶に残る授業が良いのです。
 ある講師との、相性が良いかどうかの基準は、「講義時間を短く感じるかどうか」です。
 夢中で講義を受けられる人が良いです。
 反対に、途中で眠くなり、イスに座っているのが苦痛と感じたら、相性は良くありません。


■6.独学者向けのテキストの選び方(抜粋)
2、講義の臨場感を再現しようという意図が読み取れる
(具体例が豊富であるということ)

4、絵や図の豊富なもの
(これは、作者が情緒的記憶の重要性を認識している証拠です)

6、できれば2色刷り
(どこが急所かを、色で判断できます)

7、表記が立体的
(枠で囲んだポイントや、ちょっと目を引くための工夫など、表記の仕方が平面的ではないもの。これも、記憶の情緒化の工夫なのです)


■7.直前期は勢いを生むために基本を固める
 資格試験というのは、ある程度、勢いを要するのです。
 何年も不合格を繰り返す人がいますが、これらの人たちは、実力がないわけではありません。(中略)
 
 これらの方々に欠けているのは、「勢い」なのです。(中略)
 
 この場合の心得は、直前期には、学習内容を広げてはいけないという定理です。
 基本を固めるべきです。


【感想】

◆冒頭で「理解して記憶する」と申し上げたのは、上記ポイントで言うところの「ウサギとカメの記憶法」、つまり「情緒的記憶」のこと。

本書では第3章、ページ数にして60ページ超を費やして、この「情緒的記憶法」とそれを補完する「機械的記憶法」について解説しています。

これがまた、今まで何でもかんでも「丸暗記」でクリアしてきた私には、「目からウロコ」

本書では具体例を挙げて、そのやり方を解説しているのですが、順を追って説明しているがゆえに分量が多く、引用しきれませんでした。


◆例えば、初っ端の例が「最高裁判所の裁判官」「下級裁判所の裁判官」「簡易裁判所の裁判官」それぞれの、「任期」「定年」「国民審査の有無」「任命権者が誰か」について覚える、というもの。

「3つの裁判所の裁判官について4つのことを覚える」わけです。

一応、その答えが3×4の表形式になっていたので、私だったら色分けするか何かして、「目に焼き付けて」丸暗記しちゃうところ。

一方、山本先生の場合、「覚えることは2つだけ」とのこと。
ここでは、「意外だな」という部分が急所です。
この感想があれば、記憶は情緒的になりますから、読者はもうこのことを忘れません。
詳しくは本書にて。


◆もちろん、試験の内容によっては「丸暗記の方が効率がいい」、というか、私が受験していた頃の税理士試験は、試験会場で問題を見てから「考える」のは「丸暗記した理論の中のどの部分を組み合せて使うか」だけであって、それ以外のことを「考える」時間的余裕はありませんでした。

そして、その元となる理論も、一字一句丸暗記しておいた方が、「下手な言い回しで条文と食い違う」リスクを避けられたという。

よく「本質的な部分さえ押さえておけば、自分の言い方で答えていい」と言われましたが、それは時間的余裕があってできること。

計算問題と合わせて、ほぼ2時間ノンストップで書きまくる(ために腱鞘炎患者続出?)税理士試験では、「数学の問題を暗記」する以上に、丸暗記が王道でした。

ただ、ここまで「機械的記憶」が中心なのは、下手したら税理士試験くらいなので(多分)、必要最低限の部分だけ機械的に記憶し、残りを「情緒的記憶」でカバーする山本先生のやり方が、本当の意味での「王道」なのかもしれません。

本書では、他にも法律に関する問題を「情緒的記憶」で処理していく手順が、かなり詳しく述べられていますので、理解した上で記憶したい、という方なら、是非ご一読を。


◆なお、第4章以降は受験テクニック等、記憶以外のノウハウになります。

個人的には「本番に強い人の習慣」のエピソードがツボでした。

詳細は本書を…って、山本先生の他の本にも載ってるようですが、やはり、最後にモノを言うのは「メンタルの強さ」なのだな、と。

自分自身、どちらかというと本番に弱い方だったのは、こういう部分に原因があったのかと今さら気がついた次第です。

本書は200ページないですし、文字数も多くないのですが、読む人が読めば「ビビビ!」と響きそうなヨカンw


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35歳からの「資格試験」勉強法
35歳からの「資格試験」勉強法
第1章 資格商売と年齢
 社会経験こそが武器となる
 年齢にとらわれていては何もできない
第2章 集中と記憶
 10代に40代が勝てる理由
 ライバルは怖くない ほか
第3章 機械的記憶と情緒的記憶
 大人むけ、ウサギとカメの記憶法
 ウサギとカメの記憶法練習1―機械的な記憶はわずかでよい ほか
第4章 受験テクニック
 予備校の上手な使い方
 行政書士試験は変わるのか ほか
第5章 資格試験と名言・至言
 勉強への踏み出しを強く
 集中を継続させるために ほか


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【記憶ハック】「東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法」吉永賢一(2009年02月21日)


【編集後記】

◆中経さんが、東大家庭教師に続いて「京大家庭教師」のご本を出された模様。

京大家庭教師が教える やる気が続くシンプル勉強法
京大家庭教師が教える やる気が続くシンプル勉強法

これもチェックしなくてはw


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