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2011年06月19日

【スゴ本】『勉強法最強化PROJECT』牛山恭範,斉藤将人,石原伸浩


勉強法最強化PROJECT (YELL books)
勉強法最強化PROJECT (YELL books)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、久々の勉強本

版元が、非ビジネス書である合格体験記等の専門書を数多く出しているエール出版でしたが、偶然小さめの書店を覗いたおかげで遭遇できました。

アマゾンの内容紹介に「受験指導のプロと医師と弁護士の頭脳がここに結集」とあるように、3名の方の共著(プロフィールはアマゾンの著者略歴ご参照のこと)である分、中身も濃厚。

まとめ役である牛山さんの主要参考文献の1つが、あの幻の名著と言われる、有賀ゆうさんの『スーパーエリートの受験術』(相変わらず超高値ですが)というだけあって、「教養」ではなく、まさに「試験に合格するための勉強法」に特化しています。

参考記事:【驚愕!】「幻の絶版勉強本」にとんでもなく高い金額が付いている件(2007年08月20日)

これは勉強本好きなら、避けては通れませぬ!


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【ポイント】

■1.勉強の効果は「時間軸」と「決断」と「動機づけ」の3点から評価する
 重要なことは、効率がいいか、カンタンで誰でもできるか、モチべーションが高まる実行率の高い方法かというこの3つの点は、全ての他の事頂よりも優先されるぺき判断基準であるということだ。その理由を正確に言えば、効率、判断、やる気という3点は記憶量を物理的に増やす上での不可欠な貢献要素だからである。


■2.勉強の世界の3つの性質
 多くの勉強法の本は、戦略(学習計画・いつ何をやるか)について語っているか、戦術(どうやるのか)について語っているか、戦法(学習テク二ックの速読や記憶術術)について語っている。
 何が最高の『方法』(戦術)なのか? という問いも勉強の効果について語る場合は、適切ではない。最も効果が高い勉強法、要するには、勉強をしていく上で最も効果的に学習していくには、戦略と戦術と、戦法はどうすべきなのか? というのが、正しい問いである。勉強を取り巻く世界はこの3つで成り立っているのに、方法しか考えないのでは、まさしく木を見て森を見ずの状態になる。


■3.勉強法のそれぞれの特徴(概要のみ)

・多くの感覚器官を使う方法は主に覚え込み期に効果を発揮する勉強法であり、論述対策、英作文などに威力を発揮する。

・聞き流しは、言語系の科目や、法律などのルールの覚え込みに威力を発揮する。

・自動記憶(想起型の耳からの学習)勉強法は、単純な丸暗記作業の覚えこみに威力を発揮する


(詳細は本書を)


■4.4つの学習方法とその特徴(概要のみ)
●聞く⇒耳で聞いて学習内容をイメージできるものに強い

●見る⇒視覚的に理解することで記憶に根付きやすいものに強い

●イメージする⇒関連性か薄く、つなげて覚えにくいものに強い

●話す・書く⇒埋解と記憶の最終確認作業に強い(逆に言えば最終確認がそこまで必要ないものには一切勉強において使う必要はない)


■5.勉強法別得意ジャンル

●聞く勉強法

■英単語 〇 古文単語 ○
■日本史・世界史等の暗記科目 ○(ただし、記憶術等のスキル、速読を使うこと)
■英語(英文) ○
■数学(理数系科目) 十分に復習したものなら ○ 勉強したて ×
■法律短答 〇 法律論文 △(復習が進んだものに限る)

(見る(読む)勉強法は割愛)


■6.勉強の大まかな流れ
 実際は、超入門インプット(授業など)→過去問を見て「相手の求めるカ・自分のカを知る」→応用インプット(やや応用のテキスト、授業、一般レべルの問題集)→過去問+本番レベルの問題集・模試問題(アウトプット)
 の順で完成するのが正解だ。


■7.ブロックとキーワードの覚え方
実際の暗記の仕方だけども、自分は裏紙をいっぱいもって、いろんなブロックを思い浮かべて、それぞれのキーワードを何十回何百回と殴り書きで書いてきた。そうすると、もうブロックを思い浮かべれば自然に当たり前のようにキーワードをすらすらと瞬時に書けるようになる。ちなみに、使えない奴はここで、ご丁寧にも清書するがごとく綺麗に書く人もいるが、こういうことをしていたら勉強なんて進まない。(中略)

 さらに最悪な人は、ブロック集(市販されている、○○要点集、○○答案集など)を綺麗に書き写すだけじゃなくて、そもそもそのブロック集を一から丁寧に作っちゃう人もいる。手書きでもパソコンでも同じ。まさに時間の無駄だ。基本は市販の書籍を使い、それを見ずに殴り書きで再現したら、そのメモ紙は捨てればいい。どうせ書籍に書いてあるんだから。そこに載っていないもの、手持ちの書籍出版以降に生まれたテーマなどを自分で作れば十分だ。それをわかってほしい。


【感想】

◆本書では、下記目次にあるように最初の3章を費やして、まず勉強そのものについて論じています。

一般的な勉強本が、具体的な暗記法やスケジューリング法等を取り上げているのに比べると、この点はかなり斬新。

特に、上記ポイントの3〜5あたりは、少なくとも私は類書では見たことがありませんでした。

以前、こちらの本で「人によって適した覚え方がある」というお話を読んだことがありましたが、それと組み合せると、人によって「受かりやすい試験とそうでない試験がある」がある、ということにもなるような。

東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術
東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術

参考記事:【暗記の真実】『東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術』に学ぶ5つのポイント(2009年08月28日)


◆それに続く第4章は、国立大学医学部卒の斉藤氏による、「理系科目勉強法」。

斉藤氏は、ただ医学部試験に合格しただけではなく、現在このようなメルマガで、勉強法について研究されている方です。

学校の成績がぐんぐん伸びる!最強の勉強法

理系科目のお話だけでなく、「計算問題には3種類ある」というクダリは大変参考になりました。

特に「応用問題は典型問題に分解する」というのは、なるほど納得(詳細は本書を)。


◆そして第5章は、旧司法試験合格者である弁護士の石原氏による、「文系勉強法」。

さすがに「東大文I⇒2回の受験で司法試験に合格」された方だけあって、勉強法についてもかなり説得力があります。

「メインのインプット本を1冊に決める」「問題集はテキストにまとめるな」「朝型・夜型は気にするな」等々、普通の本であれば喜んで(?)抜粋するお話も、こと本書においては丸ごと割愛(スイマセン)。

むしろ、勉強法ではないので省略しましたが、なぜ「論文試験は模試の成績が良くとも受からないことがあるのか」というお話は、目からウロコでした。

私自身が税理士試験の勉強をする上で、似たようなことがあったので、今さらながらに納得した次第。


◆本書は、類書ではなかなか扱っていない「計算問題」や「論文問題」を取り上げているだけでも、ご自分の受験科目が該当するなら一読の価値はあるハズ。

逆に、○×式や選択式試験での解答テクニックのようなものについては、触れられていませんので、その点はご留意を。

ただし、およそ大学試験、資格試験全部を通じて、本書のコンテンツが活かせない試験はほとんどないと思いますので、「最近の勉強本は、似たような内容ばかりだな」とお思いの方は、ぜひお読みになってみてください。


最近の勉強本の中ではピカイチだと思われ!

勉強法最強化PROJECT (YELL books)
勉強法最強化PROJECT (YELL books)
第1章 あなたがなぜ今までの勉強法で圧倒的な力を得られなかったのか―どんな勉強方法が最も効果的なのか?
第2章 どうやって勉強の効果を最大にするのか?―あなただけの世界一の勉強効果がある勉強法の作り方
第3章 勉強法に関する重要な原則(学習戦略に関する原則
学習戦術に関する原則
学習戦法に関する原則)
第4章 理系科目勉強法 正(指針とする王道)―理系科目を極める
第5章 試験対策総論文系勉強法総論 正(指針とする王道)―試験とは何か


【関連記事】

【驚愕!】「幻の絶版勉強本」にとんでもなく高い金額が付いている件(2007年08月20日)

【暗記の真実】『東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術』に学ぶ5つのポイント(2009年08月28日)

【難関試験用?】「東大生・医者・弁護士になれる人の思考法」小林公夫(2010年05月10日)

【非常識勉強法】「ごく普通の人でも難関資格に受かる非常識勉強法!」石井和人(2008年09月14日)

【必見】「再受験生が教える医学部最短攻略法」荒川英輔(2007年08月24日)

【力作!】『合格(ウカ)る技術』宇都出雅巳(2011年02月24日)

【再びオススメ】「試験勉強の技術―東大・司法試験に一発合格」柴田孝之(2010年03月18日)

【スタディ・ハック】「最短で結果が出る超勉強法」荘司雅彦(2007年07月02日)


【編集後記】

◆こちらは、本書の著者の一人である牛山さんの著作。

なぜ人は情報を集めて失敗するのか 目標達成論 (YELL books)
なぜ人は情報を集めて失敗するのか 目標達成論 (YELL books)

本書の中でも一部引用されていましたし、とりあえずアマゾンアタック!


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