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2011年04月16日

【書評ブロガー必読!?】『ニッポンの書評』に学ぶ7つの書評作法


ニッポンの書評 (光文社新書)
ニッポンの書評 (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、書評界の第一人者である豊由美さん「書評論」

光文社のPR誌「本が好き!」で、2008年7月号から2009年11月号まで連載されていた連載を加筆修正してまとめあげたのが本書です。

その内容も、タイトル通り海外の書評との違いや、批評、感想文との違い、「文字数」「ネタばらし」問題と多岐に渡り、さらには、ブログやAmazonレビューにまで「物申す」というもの。

そこで今回は、非常に多くの付箋を貼った中から、「"トヨザキ流"書評作法」として、7つほど挙げてみようかと。

当ブログをご覧の書評系ブロガーの皆さんの参考になれば幸いです。


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【7つの書評作法】

■1.媒体に応じて選書し、文体を変える
「読者の年齢層や傾向といった媒体の性格など考えず、書きたいことを書きたいように書く」という書評観はありますし、否定はしません。でも、わたしは自分の書評を一人でも多くの読者に届けたい。届けるための「わかる文章」を心がけたい。なので、一人でも多くの人に読んでもらうためなら、媒体に応じて選書し、文体を変えることもいとわない。


■2.自分語りは不要
 わたしは書評を書く時、いつも指定枚数の倍以上の分量の原稿を書くようにしています。そこから文章を削っていくわけですが、この時、真っ先に排除するのは自分にまつわる部分です。(中略)

「自分にまつわる箇所を削ったら、書き手の味がなくなる」という反論があるかもしれませんが、そんな"雑味"程度が消えて面白くなくなったり、個性を失ってしまうような原稿には、はなから文章の芸など存在していなかったのではないかと、まずはご自分の力量のなさを疑ったほうがいいと申し上げておきます。


■3.原則「ネタばらし」禁止
「作者が読者のために仕掛けたストーリー上の驚きを、読者の注意を喚起するような書き方ならいざしらず、"オレはこの仕掛けに気づいたぜ"と手柄を誇示するがごとく明かすのはよくない。書評においては、読者から本を読む愉しみをほんのわずかでも奪うことがあってはならない」


■4.読者の「読みたい」を引き出す
第2講で声を大にして語ったように、わたしは「優れた粗筋紹介は、それ自体が批評になっている」と考える者ですから。問題は長さじやありません。読者の「読みたい」という欲求をそそる内容になっているかどうか、なんです。


■5.援用する際には牽強付会になっていないか注意する
 わたしは自分で書評を書く時、他の作家や作品を援用したい場合は、それが牽強付会になっていないかどうか、なるたけ第三者の目となってチェックするようにしています。「いろんな本を読んでいるんだぞ」自慢のように読めないかどうかもチェックしています。援用は両刃の剣です。やりかたによっては書評の対象となっている作品をより面白そうに見せもしますが、ただのオレオレ自慢に堕してしまったり、ひどい時は期せずして対象作品を貶めることにもなりかねないのです。


■6.「背景」があるか
プロの書評には「背景」があるということです。本を読むたびに蓄積してきた知識や語彙や物語のパターン認識、個々の本が持っているさまざまな要素を他の本の要素と関連づけ、いわば本の星座のようなものを作り上げる力。それがあるかないかが、書評と感想文の差を決定づける。今のわたしはそんな風に考えているのです。


■7.批判するなら返り血を浴びる覚悟で
 批判は返り血を浴びる覚悟があって初めて成立するんです。的外れなけなし書評を書けば、プロなら「読めないヤツ」という致命的な大恥をかきます。でも、匿名のブロガーは? 言っておきますが、作家はそんな卑怯な"感想文"を今後の執筆活動や姿勢の参考になんて絶対にしませんよ。そういう人がやっていることは、だから単なる営業妨害です。


【感想】

◆最初に申しあげておきますと、豊さんの主戦場はフィクションであり、私たちが日頃読んでいる実用書・ビジネス書等のノンフィクションではありません。

上記の「ネタばらし」というのも、ストーリー上の仕掛けやオチ、結論等の「未読の人にとって本を読む気が削がれる」ものを基本的には指しています。

とはいえ、実用書の書評であっても、例えば「さおだけ屋が潰れないのは●●だから!」とやってしまったら、タイトル読んで「どうしてなんだろう」と気になっていた人は、それで問題が解決してしまうわけで。

同様に、個々の内容についてあまり詳しく紹介しすぎるのも、「本を読んだ気」にさせてしまい、結局は「営業妨害」になりかねません。


◆そこで、まず考えるべきなのは、その書評を読んで「その本が読みたくなるか否か」ということ。

「免罪符」とまでは申しませんが、結果的にその本が読みたくなるのなら、ある程度の「ネタばらし」は、ことノンフィクションにおいては「アリ」だと思っています(このブログはちょっとばらし過ぎの傾向がありますが)。

と言うか、私の場合「書評系ブログ」を読むのは「その対象となる本を読む必要があるかどうか」を判断するためなので、あまり内容に触れていないエントリーは、ちょっと困るな、と。

そういう意味では、上記の「自分語りは不要」というのは、私自身は結構納得できます。

逆に、『「自分語り」こそ大事である』という考え方もあって、それで人気のブログやメルマガも多いので、この辺は「何を目的とするのか」にもよるのだとは思いますが。


◆そこで『読者の「読みたい」を引き出す』ブログとして、個人的にイチオシなのが成毛 眞さん

例えばこのエントリーを読んで頂きたく。

沈没船が教える世界史』 - 成毛眞ブログ

ビジネス書好きならリアル書店で見かけても華麗にスルーするであろうこの本が、とてつもなく面白そうに感じたのは私だけではないハズ。

そんな成毛さんの書評技術が学べるこの本は、マジでオススメです。

実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)
実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)

参考記事:【オススメ】『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ 』成毛 眞(2010年07月10日)


◆実は、その成毛さんと豊さんと私に共通しているのが、ポスト・イット。

成毛さんは付箋の貼り方が同じとのことですし、豊さんも私と同じ「スリム見出し(ミニ)」を使用されているとのことです。

3M 見出し パステルミニ パック 715RP-K
3M 見出し パステルミニ パック 715RP-K

ただし、豊さんはこのポスト・イットをさらに小さくして使われているそう。

具体的なサイズを含め、実際に豊さんが書評を書かれる手順等については、本書の「第15講 トヨザキ流書評の書き方」をご覧下さいませ。


◆また、こういったノウハウ的なお話以上に興味深いのが、本書における豊さんのアグレッシブなスタンスです。

第7講では某文芸評論家(本書では名前もしっかり出てます)の「ネタばらし」書評を糾弾し、第8講では複数の「書評」を「批評」。

第10講では書評ブログをけん制しつつ、第11講では卑劣なAmazonレビューをバッサリ斬っています。

しかも、第12講では、主要新聞6紙の書評を特A〜Dの5段階で評価しており、まさに「批判するなら返り血を浴びる覚悟で」を地で行ってらっしゃるという。

いや、もうお腹いっぱいですって!!


書評ブログの読者や運営者なら読んでおくべき1冊!

ニッポンの書評 (光文社新書)
ニッポンの書評 (光文社新書)
第1講 大八車(小説)を押すことが書評家の役目
第2講 粗筋紹介も立派な書評
第3講 書評の「読み物」としての面白さ
第4講 書評の文字数
第5講 日本と海外、書評の違い
第6講 「ネタばらし」はどこまで許されるのか
第7講 「ネタばらし」問題 日本篇
第8講 書評の読み比べ――その人にしか書けない書評とは
第9講 「援用」は諸刃の剣――『聖家族』評読み比べ
第10講 プロの書評と感想文の違い
第11講 Amazonのカスタマーレビュー
第12講 新聞書評を採点してみる
第13講 『1Q84』1・2巻の書評読み比べ
第14講 引き続き、『1Q84』の書評をめぐって
第15講 トヨザキ流書評の書き方
対談 ガラパゴス的ニッポンの書評、その来歴と行方 豊由美×大澤聡
あとがき


【関連記事】

【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)

【オススメ】『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ 』成毛 眞(2010年07月10日)

【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)

【Input&Output】『竹内流の「書く、話す」知的アウトプット術』竹内 薫(2009年05月03日)

【読書術】『カリスマ編集者の「読む技術」』川辺秀美(2009年01月13日)


【編集後記】

◆今日ご紹介した本と同時に光文社新書から出た中の1冊。

学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール (光文社新書 512)
学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール (光文社新書 512)

こちらも面白そうです。


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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この記事へのコメント
smoothさん、いつも楽しみに拝読しています♪

私もビジネス書ブログを書いてますので
「ネタばらし」の記述は参考になりました。

本書を読んで、今後のブログのスタンスを見直してみます。

気付きをありがとうございます!

Posted by ミツヤ at 2011年04月27日 12:09
>ミツヤさん

ご無沙汰です〜。
ネタばらしの件は、この本だとあくまでフィクションメインの書評のお話なので、私の考えということで。

といいつつ、私も結構気にはしておりますが。

今後ともよろしくお願いしますね!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2011年04月28日 10:06
とても魅力的な記事でした!!
また遊びにきます。
ありがとうございます!!
Posted by ビジネスマナー at 2011年09月24日 20:11