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2010年10月27日

【ホンネ】『ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術』並木裕太


ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)
ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、注目のマーケティング本

発売直後からアマゾンでは品薄で、一昨日見た際には数ヵ月待ちだったという人気ぶりです。

アマゾンの内容紹介から。
AKB48、twitter、iPodが売れる理由。「恥ずかしくて言えない欲求」「本当の自分を隠したい願望」「本人すら理解してない本性」を知れ。
ヒット商品の裏にある、人々の「ホンネ」を探ります!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【目次】

第1章 普通の商品開発はとっくに限界
 成功は、だいたい「まぐれ」
 アンケート通りに作っても売れない ほか

第2章 「ホンネ」がわからないと商品は売れない
 人それぞれ「ホンネ」は違う
 たくましい「ホンネ」のエネルギーを見くびるな ほか

第3章 「心のレントゲン」で覗いたヒット商品の裏側
 三つ目のボタン―スーパーのATM消費者金融がもたらしたもの
 「浮気携帯」の密かな愉しみ―見た目も基本機能も普通の携帯がバカ売れする理由 ほか

第4章 ヒット商品が創造した新しい価値
 「ヒット商品」の陰には無視できない「心」があった
 「ホンネ」に染み、「欲求」を満たし、「見栄」をくすぐる「仕掛け」


【ポイント】

■1.言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない
 気難しくてなかなか発注してくれない取引先から発注してもらいたいとき、「行ってらっしゃい」と「お帰りなさい」しか会話のない妻が、昼間どう過ごしているか知りたいとき、「お父さん、キモイ!」と毛嫌いされてしまっている年頃の娘に彼氏がいるか知りたいとき……。
 人はダイレクトに聞くと、ほとんど「ホンネ」をいいません。「ホンネ」を探るには、さりげない質問から、これまでの行動パターンを知ることが大事。「ホンネ」には、必ず行動が伴います。言葉は嘘をつきますが、行動は嘘をつきません。


■2.ホンネを探る「心のレントゲン」
「心のレントゲン」は、ユーザーの「ホンネ」と「建前」を数値化し、読み取りやすくすることで、ユーザーの中に潜む欲望を明らかにします。物を買う時、とても大事な「見栄」や「恥じらい」といった日本人独特の要素も見えるようにできます。人には話せないような「願望」や「欲求」を露にする、リサーチの新しい「道具」といえばいいでしょうか。


■3.多くのヒット商品は、たいていたまたま時代の波に乗って売れたにすぎない
 彼ら一発屋は、商品とともにクローズアップされ、開発中におこなった分析や、事前にヒットを予想したストーリーを、よく雑誌などで披露しています。しかし実際に、本人たちに話を聞いてみると、それらは「後付け」であることが多い。
 家電分野で、あるヒット商品を生み出した開発者が、こんなことをいっていました。
「もし、そんな分析やストーリーを最初から作ることができたら、毎年、何十回でもヒット商品を発表できますよ。世の中はヒット商品だらけになってしまう。多くのヒット商品は、たいていたまたま時代の波に乗って売れたにすぎないんです」


■4.データを基にしてもヒット商品は生まれない
実際、数え切れないほどの企業が、年間数十億円という費用を投じて、独自のデータべースを作り上げ、さらによそからもデータを買いあさっています。
 ある日本の飲料メーカーには、
「スぺイン北東部に住む60〜65歳の男性が、土曜日の朝8時から10時までの間に、砂糖入りのコーヒーを飲む確率は何パーセントか?」
 という問いに対するデータがあり、それを瞬時に出すことができます。(中略)

 こんな膨大でこまかいデータを基に、いったい、どんな飲み物を作ろうというのでしょう?
 ここは老舗メーカーで、昔から日本人になじみ深い飲み物をずっと作り続けています。しかし、新商品のヒットには恵まれてはいません。


■5.普通のアンケートではダメな理由
商品開発の基になるデータには、「自分の理解していることしか答えられない」と、「建前しかデータには落ちてこない」という、致命的な欠陥があります。このやり方では「センスと感性を基にした商品開発」と同じくらい、ヒット商品を続けて生むことは難しい。
 実際、データを基に作られた商品には、「はずれ」がとても多いのです。


■6.「心のレントゲン」では、軸の設定をおこなわない
普通は、年齢、収入、職業、住んでいる地域といったものを軸にとり、グループ分けをおこないます。でも、ここには大きな落とし穴が潜んでいる。それは「年齢や収入によって、ユーザーは分けられるはずだ」という調査する側の先入観です。今の時代は趣味噌好がとても複雑で、そのような古臭い切り方では、もう消費者の像は浮かび上がってきません。
「心のレントゲン」では、軸の設定をおこないません。ユーザーを同じような項目を重視するグループごとに分けることで、結果的に、年齢や性別、職業を越えた、同じ趣味噌好やニーズ、そして「ホンネ」を持ったユーザーの集団に分けることができます。
「心のレントゲン」には調査する側の先入観は入る余地はありません。いわば、すべてユーザーに語らせるのです。


■7.ヒット商品に含まれる3つの欲求
 自分の恥ずかしい部分を(1)「隠したい」
 自分の理解してほしい部分を(2)「アピールしたい」
 他人の隠したい恥ずかしい部分を(3)「知りたい」
 どれも、たった三つの欲求をうまくとらえることで、競合のセールスを上回り、話題になり、ロングセラーになっている。
 必ずしも、すべてのケースで商品が優れているから売れるわけではないのです。
 「隠したい」「アピールしたい」「知りたい」などの基本的な欲求に応えているか。それが露にならないように、買うことへの「言い訳」「逃げ道」は用意されているか。
 シンプルなことですが、「建前」ではなく「ホンネ」、つまり、人間の深い意識をくすぐる設計が、これからの商品やサーピスには欠かせないと思います。


【感想】

◆実は上記ポイントでは、目次の第1章と第2章、そしておしまいの第4章からのみ拾っており、100ページ以上もある第3章の『「心のレントゲン」で覗いたヒット商品の裏側』の項目が含まれておりません。

というのも、ここが本書の読みどころであり、語ってしまうと完全に「ネタバレ」になってしまうから。

この第3章は実際に「心のレントゲン」を用いた具体例が、13個列挙されており、それぞれアンケートでの「建前」「ホンネ」を比較して、ヒットしたワケが明らかにしています。

ちなみに、その13個とは以下の通り。

・スーパーのATM消費者金融
・富士通の「浮気携帯」
・「Sex And The City(SATC)」のDVD
・サマンサタバサ
・「天使のブラ」
・「ピアニッシモ」
・ZERO、Free、OFF等の炭酸飲料
・iPod
・「サクセス」「スカルプD」
・AKB48
・「ユニクロ ヒートテック」
・twitter
・ANA


……この中で「浮気携帯」は、ホンネもクソもないような気もしますがw


◆初っ端に挙げた「言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない」というのは、まさにその通りだと思います。

そしてそれを徹底的に追求したのが、過去の購買履歴からオススメ商品をレコメンドするAmazon

「この商品を買った人は〜」や、送られてくるDMで、ついつい買ってしまったことがある方は多いかと。

同様に、本書で展開されている「心のレントゲン」も、過去の嗜好経歴等から、建前とは違ったその人の「ホンネ」を見抜いています。


◆また、通常のアンケートでは「建前」しか出てこない、というのはまさにそうで、私自身、「自分がどう見られたいか」というのは意識してしまっている記憶が。

第3章では個々のアイテムごとに、具体的にどのような質問をして「心のレントゲン」を用いたかまでが明らかにされているので、仕事でアンケートを取ることがある方なら、きっと参考になるはず。

そういう機会がない私でも、「なるほど、それがヒットの要因だったのか」という「目からウロコ感」を味わうことができました。

個人的には「AKB48」「twitter」のヒットの理由が、意外というか興味深かったです(詳細は本書を)。


◆本書を読んで、「ホンネ」に応えるのは当然としても、それが「恥ずかしいもの」だった場合には、隠すための「言い訳」までキチンとあるのが、ヒット商品のスゴイところなんだと思ったワタクシ。

そういえば、モテ本にも、「女性を誘う際には、言い訳を用意する」というコツがありました。

この辺が「日本人らしさ」なのかもしれませんが、商品開発にせよ、コミュニケーションにせよ、根底にあるものは同じなのではないでしょうか?

「建前」だけ見ていては、ヒット商品彼女もできませぬ。


非常に学びの多かった1冊!

ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)
ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)


【関連記事】

【必読】『ビジネスで一番、大切なこと』ヤンミ・ムン(2010年09月12日)

【コンサル視点】「マーケティングマインドのみがき方」岸田 雅裕(2010年03月03日)

【スゴ本】『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子(2010年08月27日)

「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)

【スゴ本!】「なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル(2007年10月09日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本がまたw

メッセージ力を高める黒岩の法則
メッセージ力を高める黒岩の法則

当ブログ的には相性が良さそうな気がします。


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この記事へのコメント
               
「ヒット商品が教える・・・」。タイトルがありきたりだったので、評判ほででは無いのではないかと思って読んでみましたが、なかなか深いく切り口が新鮮で読みきってしまいました。U理論で言うところの谷底まで降りていく感覚でマーケッティングを考えていくことが大切ですね。
Posted by 片木 at 2010年10月27日 08:23
               
>片木さん

さすが、もうお読みでしたか!
アマゾンで在庫がなかったので、私はリアルで買ったのですが。
初っ端の「言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない」と言うのはホントにそう思います…。
U理論の谷底、というのは確かにそうかもしれませんね。
ただ、本書でも言われてるのですが、アンケートですら「ホンネとタテマエ」があるっていうのが、いかにも日本人的ですよねw
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年10月28日 05:21