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2010年08月18日

【必読】『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』横田尚哉


問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門
問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「情熱大陸」出演で一躍「時の人」となった、横田尚哉さんの最新刊。

つい先日、版元であるディスカヴァーの干場社長の記事でご紹介があったばかりの1冊です。

タイトルにもある「ファンクショナル・アプローチ」とは「問題を直接解決しようとする今までの方法と異なり、一度ファンクション(機能、効用、意図)に置き換えてから解決しようとする、GE社で開発された革新的な問題解決の技術のこと」だそう。

公共事業改善で2000億ものコスト削減に成功した手法を、私たちの身近な生活にまで取り入れたのが本書です!


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【目次】

1 タウン編
 1 点字ブロックに見る顧客満足
 2 街のカフェをファンクショナルに分析する
 3 ウォークマンが30年以上も売れている理由
 4 生産効率を上げる通勤スタイルを考察する

2 オフィス編
 1 「部長、ハンコください」の"意味"を考える
 2 社内規程は「誰のため?」
 3 マニュアル地獄の社員たち
 4 会社のロゴマークには「何のため?」
 5 「ホウレンソウ」で作業効率は上がったか?

3 プライベート編
 1 活用しきれていない家電のファンクション
 2 ファンクショナルではない「リビング」は要らない
 3 資格取得マニアの気持ちを考えてみる
 4 フェイスブックとツイッター
 5 人はなぜスポーツクラブに通うのか?

4 パブリック編
 1 不案内な案内図
 2 学校教育と企業内人材開発
 3 道路拡幅工事のジレンマ
 4 河川改修からビジネスのヒントをつかむ


【ポイント】

注:以下<<>>で表されている部分は、ファンクショナル・アプローチの「ファンクション」を意味しています。

■1.ファンクショナル・アプローチの基本的な考え方
 ファンクショナル・アプローチでは、問題となっているモノゴトからあえて離れ、本質となるファンクションを意識します。ファンクションを足がかりに思考することで、問題をより解決しやすくしていくのです。
そのために「すべてのモノゴトには、ファンクション(役割、効用、はたらき、意図など)がある」「人はカタチでは満足しない。ファンクションで満足する」と考えていきます。


■2.顧客はファンクションの達成のために消費する
 つまり、全てのファンクションを提供しても、それを顧客が求めていないかぎり消費行動にはつながらないということです。
「顧客はファンクションの達成を望んでいる」ことを忘れてはいけません。もっとあからさまに言えば、「顧客はファンクションの達成のために消費する」のです。


■3.ウォークマンのロングヒットはカタチを手放してきたから
求められているのはすべて、同じファンクションなのです。結局は、人が求めているファンクションはどの時代でも変わらないということです。変わっていくのは、カタチのほうなのです。
 ほとんどのビジネスは、カタチを提供するものです。それぞれの企業が、ファンクションを達成するための手段を開発し、使用者に提供していくものです。
 しかし、ヒットしたからという理由で、そのカタチに固執し続けると、時代の変化に追随できず、カタチの衰退と共に企業も衰退していくのです。


■4.社内規程は守ることが目的ではない
 たとえば、ある企業でこんな事例がありました。事後承認を得るために出した書類が承認規程に従って処理されています。承認規程は実行するときの<<リスクを回避する>>ためです。すでに「事後」であるにもかかわらず、何のリスクを回避するのでしょうか。それに手間と資源がムダに消費されていきます。規程どおり進めることが目的となっている事例ですね。


■5.「ホウレンソウ」は単なる手段に過ぎない
「報告」「連絡」「相談」というのは、<<作業効率を高める>>ための単なる手段に過ぎないということが分かります。つまり、「報告」のやり方、「連絡」のとり方、「相談」のし方などは、本質ではないということです。(中略)

「ホウレンソウ」という、とても覚えやすくメジヤーな言葉が、全てのピジネスマンに「常識」という枠をはめてはいないでしょうか。「ホウレンソウ」ができるかできないかで、できる社員かできない社員かということまで判断してはいないでしょうか。
 このようにカタチにとらわれてしまうと、いつまでも「ホウレンソウ」をし続けることになるのです。


■6.多くの人は改善の手段を見つけ出せない
「そんなこと分かっている」「じゃ、別の手段を持ってきてみろ」と、多くの人は思うでしょう。
 ここが、ポイントなのです。多くの人は、改善できるのではないかと感じながらも、その手段を見つけ出せないまま、今のカタチにとらわれてしまっているのです。自分にとって正当な理由を見つけ、感じないようにして、新しい手段が現れるまで待っている状態なのです。


■7.「義務教育」は誰のため?
 この4つの主語に注目してみてください。「保護者は」「市町村は」「国は」「事業所は」となっています。すると、「子どもたちは」がないことに気がつきます。
 つまり、義務教育は、子どもたちを取り巻く周囲に対して<<義務を与える>>はたらきがあり、それを達成させることで<<学習環境を整える>>狙いがあるということが抜き出せます。
子ども自身に義務が発生するものでも、教育という行為に対する義務でもなかったということです。


【感想】

◆本書は、上記目次で明記されている事例について、ファンクショナル・アプローチによる分析を行い、その際、「FAST(functional analysis system technique)ダイアグラム」と呼ばれるツリー状の図を掲載しています。

具体的にどういうものかというのをお見せしたくてググったのですが、残念ながらその名称では見つからず。

追記:俺100の聖幸さんに教えていただきました。

FASTダイアグラム − @IT情報マネジメント用語事典

ただ、おそらくこのサイトにある図が最も近いのではないか、と。

機能系統図 − @IT情報マネジメント用語事典


私自身、必ずこのFASTダイアグラムと見比べつつ、納得しながら本書を読んでいたので、上記で挙げた個々のポイントが、どれほどご理解頂けたか少々不安です。

逆に、この記事を読んだ上で本書のその部分に接すれば、「なるほど」と腑に落ちるのかもしれませんが。


◆ところで、私はまだ横田さんの前作を読んでいなかったのですが、その些細な理由の1つが、実はよく引き合いに出されていた「公共事業の経費削減」のお話でした。

「公共事業で2000億円削減」と言われても、正直、自分ごととしては捉えにくく、むしろ「サラリーマンが会社の無駄取りを20億円した」という方が、「どれどれ読んでみようかな」となるわけでして(え?私だけ?)。

要は、金額うんぬんじゃなくて、対象となる舞台がどこか、ということ。

ところがどっこい、本書における横田さんのアプローチは、オフィスはおろか、カフェドライヤーにまで及んでいます。

思わず、「そんなことまで分析せんでも」とツッコミを入れたくなったというw

つまり、それだけ応用範囲は広いんですね。


◆圧巻だったのが、上記のポイントの最後に挙げた「河川改修」のファンクショナル・アプローチを、ビジネスに応用するお話。

本書では両者のFASTダイアグラムも収録されているのですが、これがまた見事に同じw

細かいことを言うと、ちょっと無理があるのかもしれませんが、「考え方」としては、非常に面白かったです。

もちろん大事なのは、ダイアグラムがどう、というのではなくて、「視点」「考え方」なので、そういう発想ができるようになりたいと思った次第。


◆本書はタイトルにもあるように、「問題解決」をテーマにしており、ビジネスシーンにおける、実際の問題に対して有効であることは間違いありません。

また、日頃は問題と認識していないような事象に対しても、さらなる改善を図ることができるのではないでしょうか?

ただし、一読しただけで、即、横田さんに近いレベルで分析ができるかというと、それはさすがに無理なワケでして。

そういう意味では、「読んだだけで終わらせてはもったいない1冊」だと思われ。


「視点」を変えられる可能性を持ったスゴ本です!

問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門
問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門


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【編集後記】

◆なにやら物騒なタイトルの1冊。

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世代間闘争は、こんなところにまで。


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Posted by smoothfoxxx at 07:30
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問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門作者: 横田 尚哉出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2010/08/11メディア: 単行本(ソフトカバー) ファンクショナル・アプローチという、問題の本質を考えるという思考法の入門書。 Googleで調べ
言いたいことはわかるのだが……:問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門【本読みの記録】at 2012年05月06日 21:44
この記事へのコメント
取り上げていただき有難うございます。
細かなところまで、しっかりと読み砕いていただき感謝します。
拙著が読む人の活動の少しでも役に立てれば幸いです。
(ツッコミいただき、うれしいです)
Posted by 横田尚哉 at 2010年08月18日 10:59
>横田尚哉さん

著者様直々のコメントありがとうございます。
ご本、非常に勉強になりました。
聖幸さんが記事にされているように、実際に分析しながら読むと、より一層理解できそうな気がします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年08月19日 04:37