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2010年08月14日

【オススメ本付き】『通販―「不況知らず」の業界研究』&一緒に読みたい6冊


通販―「不況知らず」の業界研究 (新潮新書 382)
石光 勝 柿尾 正之
新潮社
売り上げランキング: 701


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、私の愛用しているアマゾンも属する「通販業界」に関するご本。

丁度昨夜、土井さんのメルマガで紹介されてしまったので、在庫切れがちょっと心配なんですが。

アマゾンのページに詳細がないので、出版社のサイトから。
一八世紀、ベンジャミン・フランクリンが考案したビジネス「通信販売」。それは誕生以来、常に右肩上がりの成長を続けてきた稀有な産業である。不況知らずの秘密はどこにあるのか。「西部開拓時代には、銃も扱っていた」「千趣会はこけしから始まった」「テレビ通販の稼ぎ時は深夜0時」「健康器具にクレームが来ない理由」等々、トリビアを織り交ぜながら業界の歴史と未来を俯瞰。一億総通販時代、必読の一冊。
今回、併せて読んでおきたい書籍もご紹介しておこうかと。


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【目次】

第1章 始まりは西部劇の世界――通販の起源

 通販の語源
 大草原の小さな家
 二大通販会社 ほか

第2章 昔も今もべースは「紙」――カタログ通販の多様性

 近代通販の先駆者、リーダイ
 通販でも老舗の高島屋と三越
 スペシャル・カタログへの流れ ほか

第3章 セールスマンは「公共の電波」――テレピ通販の威力

 実績より目立つテレビ通販
 初のテレビ通販から育ったディノス
 メディア・ミックスを編み出した鹿内議長 ほか

第4章 一人と世界をつなぐ――ネット通販の爆発力

 いまネット通販は
 ネット商店の誕生
 ネット通販成功の秘訣 ほか

第5章 ポケットの中の百貨店――ケータイ通販の未来

 ケータイでドレスを買う
 ケータイ通販の誕生
 ケータイ通販とネット通販 ほか

第6章 通販2・0の方向性と未来――次世代通販を読む

 メディア・ミックスからクロスメディアへ
 通販2・0の行方
 放送と通信の融合 ほか


【ポイント】

■1.ケータイ通販の伸びの要因に15歳以下の女子小中学生の利用者増
たとえば商品単価200円から300円の指輪やネックレスをケータイ通販でまとめ買いする小中学生がさほど珍しくはなく、その平均の購入額は2000円ほど。支払方法は半分以上が代引きだが、実際は玄関先で母親が支払うケースが多いのだそうです。


■2.中国のテレビ通販では日本製が人気
 その上海と長沙の通販に共通している特徴は、商品とターゲットにする顧客層です。
 まず商品は、良質と安全をモットーにしていて、しかもブランド優先。それも日本製が中心で、ラべルも日本語のままが歓迎されます。たとえばハッピーゴーの07年の最高売り上げ商品はソニーのハンディカムでした。なんとホンダの自動車も有力商品です。つまり、市中より安全で信頼のできるテレビ通販の商品は、日常生活の付録品ではなく、必需品なのです。だから高価なのに、むしろそれが「売り」になっている。まさに「高かろう良かろう」です。


■3.カタログ通販「ニッセン」の経営戦略
そのニッセンには、いくつかの特徴的な経営戦略があります。260万人の顧客のデータべースに基づいて商品を選定していること。固定客を増やすための思い切った対応策として、年間24億円の経費をかけて返品の送料を負担していること。ネット通販にもカを入れていて、こんな面白い試みもしています。仮想のファッションショーを楽しめる「バーチャル・ファッションショー」です。


■4.カタログを売る異端の雄、カタログハウス
カタログハウスを異端とするわけは、発行する『通販生活』に、他の通販カタログにないニつの特徴があるからです。一つは有料であること、もう一つは読み物の頁が多いこと。どちらも創業者(現相談役)であり、『通販生活』の編集指導者である斎藤駿さんの考えによるものです。


■5.テレビだけではないジャパネットたかた
ジャパネットたかたは、今やテレビ通販の代表的な企業であり、売上も群を抜いて1300億円を優に越えている。というと、即テレビ通販の売上と思いがちですが、実はテレビ通販の売上はそのうちの3割でしかありません。残りの売上は、新聞の折込み広告やカタログやインターネットを使ったものなのです。


■6.テレビ東京ダイレクトの立ち上げが成功したワケ
 当時、深夜のその時間帯は各局とも休止していて、砂嵐の時間。だからこそ実験もできたのですが、ほかに見るものがなく一人勝負だったのです。(中略)

そして、これも想定外だったのですが、メイン・ターゲットとしていた若者だけではなく、「年寄りの二度寝」で夜中に眼を覚ました高齢者も、同じ行動パターンをとったのです。


■7.ジュピター・ショップチャンネルの経営戦略
 更にショップチャンネルを特徴づけている経営戦略は、核になる顧客層を30〜40代の女性と明確に絞っていることです。だから昼の時間帯は主婦、夜の時間帯は主婦とOLがお得意様になります。ことに深夜0時からの1時間枠に放送している「トップ・スター・ヴァリュー」という目玉の番組は、1回で1億円の売上をあげることも珍しくありません。テレビ東京ダイレクトの項でも述べたとおり、この時間帯がテレビ通販のゴールデンアワーになっているのです。


■8.購買行動が大きく違うケータイ通販とネット通販
 ネット通販は、目的を決めてから「検索」し、それに適う商品を選んで購入します。つまり、ネット通販は能動的に情報を引き出す、プル型なのです。
 一方ケータイ通販は、そもそも検索に不向きなこともあり、送られてくる商品情報が基になるプッシュ型。事業者の働きかけで、購買行動を起こします。その方法はというと、今のところメルマガ(メール・マガジン)が主軸です。


【感想】

◆他にも色々と付箋を貼りましたがこの辺で。

とにかく過去から現在(未来)にかけての流れとともに、紙ベース、テレビ通販、ネット通販、ケータイ通販とそれぞれのジャンルの特徴やキープレイヤーまで追っているので、本書の守備範囲はかなり広いものとなっています。

その分、どうしてもそれぞれの部分についての掘り下げ方が甘くなるのはしょうがないかな、と。

なお、もっと深く知りたい方のために、後半で書籍を紹介しておきますので、ご参考まで。


◆個人的には、ケータイ通販のくだりが面白かったです。

自分がケータイ(というかPHS)で買い物をしたことがないので、今ひとつピンとこないのですが、本の話をしている最中に、ケータイからアマゾンで即、購入されている方もいらっしゃいましたから、もはや当たり前のことなのかもしれません。

上記ではケータイ通販は「プッシュ型」として、メルマガに依存しているように書かれていますけど、今後は検索や、さらには「Twitter」経由での購買も増えてきそうです。

そもそも、本も「電子書籍」になってしまったら、「通販」でしか買えなくなるのでしょうし。


◆また、最近全盛の「テレビ通販」の歴史も興味深いところ。

上記にもあるように、ヒットした要因が、始めた当初は他に番組がなかったからというのは、なんとなく分かります。

確かに大昔は、深夜に次々と番組が終了していき、最後の方までやってたのはテレビ通販だけだった記憶がw

今じゃ夜中の3時過ぎは、テレビ通販ばかりですけどね。


◆今現在、リアル店舗しか運営されていない方でも、本書を含め、通販に関する本は一応読んでおくべきだとは思います。

特に、どのジャンルでどう戦うかを考える上では、本書のようにフラットに情報を扱っている作品は意外となかったりしますし。

どちらかというと、読み物としてより「資料」「データ集」として価値がある感じ。

その意味では「日本の通販の流れをまとめたい」という著者陣の目論みは成功していると思います。


販売に携わる方なら押さえておきたい1冊!

通販―「不況知らず」の業界研究 (新潮新書 382)
石光 勝 柿尾 正之
新潮社
売り上げランキング: 701


【オススメ本】

◆以下、一緒に読むと理解が深まると思われる「オススメ本」を6冊ご紹介しておきます。

なぜ通販で買うのですか (集英社新書)
斎藤 駿
集英社
売り上げランキング: 80576

◆本書(『通販』)でも繰り返し登場している「真打本」

大昔から当ブログをご覧の方はご存知かもしれませんが、「泊りがけの高額セミナー」で、講師の方に勧められて買って衝撃を受けました。

力作のマインドマップもさることながら、著者のカタログハウスの斎藤 駿さんに、手紙を出したくらい(マジw)お気に入りの1冊です。

参考記事:「なぜ通販で買うのですか」 斎藤 駿 (著) の続きを・・・(2005年06月29日)


ワンダーマンの「売る広告」
レスター・ワンダーマン
翔泳社
売り上げランキング: 144316

◆実はあまりに「スゴ本」過ぎて、未だ紹介できない(←言い訳w)のがこちら。

「ダイレクトマーケティングの父」と呼ばれるレスター・ワンダーマンの自伝なのですが、今あるダイレクト・マーケティングの手法のほとんどが、彼によって生み出されたことがわかります。

一読されれば、そこらへんのアイデア本著者が尻尾巻いて逃げ出すくらいの「アイデア量産ぶり」にビックリするはず。


費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
後藤 一喜
翔泳社
売り上げランキング: 48953

◆かつてカタログハウスで、斎藤 駿サンのもと、広告の腕を磨かれていたのが本書の著者である後藤一喜さん。

狙うターゲットごとに、コピーや写真を変えていく、というやり方が細かく説明されているこの本は、「広告を出稿」されたことのある方なら、マジで「必読」

「イメージ広告」とは真逆の、ある意味泥臭い広告なのですが、タイトル通り「費用対効果が見える」のがスゴイです。

参考記事:【スゴ本】「費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて」後藤 一喜(2009年07月30日)


ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
ジョン・ケープルズ
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 4033

◆上の本と同じく、細かい事例が豊富に収録されている「スゴ本」

ちょっと値段的にお高いので、買うときにはビビりましたが、中を読んでみたら、むしろ安いくらい。

コピーライティングに自信がある方なら、ぜひ17章の「頭の体操10問──成功した見出しはどっち?」に挑戦して頂きたく…。

参考記事:【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)


ゼロからはじめる ネット通販の教科書
池本克之
ユナイテッド・ブックス(阪急コミュニケーションズ)
売り上げランキング: 35300

◆元々は『40倍稼ぐ仕組み』というタイトルで出版されていたご本。

商業出版とは思えないほどのノウハウの充実振りに、絶版後もマーケットプレイスで高値で取引されていました(今も高いですね)。

これからネット通販を始められる方なら「マスト」です。

参考記事:「40倍稼ぐしくみ」池本克之(著)(2006年08月17日)


モバイル大変革時代のケータイ通販ビジネス
柿尾 正之 片岡 俊行 両国 さくら 田中 裕子
翔泳社
売り上げランキング: 302669

◆出てからもう3年経っているのですが、今回『通販』を読んだ限りは、情報としてまだ充分通用しそうです。

ケータイメルマガ1つ取っても、「何時に出せばよいのか」等、かなり細かく解説されていて実践的。

今、ネット通販をなさっている方で、ケータイ通販にシフトをお考えなら、絶対読むべき!

参考記事:モバイル大変革時代のケータイ通販ビジネス(2007年04月21日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

東大ドクターが教える、やる気と集中力の高め方
東大ドクターが教える、やる気と集中力の高め方

目次を見る限りは、当ブログにマッチしている感じ。

速読についても触れられているようですし、これは要チェックですね。


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