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2010年07月11日

【スゴ本】『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』カーマイン・ガロ


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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、アップル社のスティーブ・ジョブズのプレゼンについて、そのテクニックを分析&解説しまくった1冊。

某カリスマ書店員さんの「売れまくってる」とのツイートを見て、矢も立てもたまらず買ってきてしまいますた。

確かに、「数ページ読んだだけでも、付箋つけたいとこだらけ」と言われているのも納得の濃厚な内容

ジョブズ&アップルファンならずとも、必読の1冊です!


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【目次】

第1幕 ストーリーを作る

 構想はアナログでまとめる
 一番大事な問いに答える
 救世主的な目的意識を持つ
 ツイッターのようなヘッドラインを作る
 ロードマップを描く
 敵役を導入する
 正義の味方を登場させる

第2幕 体験を提供する

 禅の心で伝える
 数字をドレスアップする
 「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
 ステージを共有する
 小道具を上手に使う
 「うっそー!」な瞬間を演出する

第3幕 仕上げと練習を行う

 存在感の出し方を身につける
 簡単そうに見せる
 目的に合った服装をする台本を捨てる
 楽しむ

アンコール 最後にもうひとつ


【ポイント】

■ジョブズが作った初代iPodのヘッドライン「iPod。1000曲をポケットに」の特長

 アップルのへッドラインが記憶によく残るのは、3つの条件を満足しているからだ。簡潔(英語27文字、日本語訳で12文字)、具体的(1000曲)、そして、利用者にとってのメリットがわかる(ポケットに入れて音楽を持ち歩ける)。


■観衆にロードマップを示す

 道しるべとなる言葉をしゃべりに混ぜるとそれがロードマップとなり、ストーリーを追いやすくなる。これは、私がメディア対応のコーチで必ず教えることでもある。詳しい話に入る前、3点か4点以内で概要をまとめ、流れが追いやすいストーリーを作るようにと教えるのだ。


■敵役を導入する

 昔の話は、善玉が悪玉と戦うのがお約束だった。優れたプレゼンテーションにも同じ手法が使われる。ステイーブ・ジョブズは、解決すべき問題という敵役を登場させ、ストーリーに説得力を持たせる。1984年に使った敵役は「ビッグブルー」――IBMだった。


■ほとんどのプレゼンターと違い、ジョブズはスライドの言葉を削って削って削る

 ジョブズのプレゼンテーションは、とてもシンプルで視覚的、そして、個条書きがない。そう、個条書きがないのだ。今まで一度も、だ。パワーポイントを使った個条書きがないプレゼンテーションというのは、パワーポイントによるプレゼンテーションだと言えるのかと思うだろう。答えはイエス。それどころかおもしろくなる。大事な情報を伝える方法として個条書きは効果が小さいことが、認知機能(脳の働く仕組み)に関する最近の研究によって確認されている。


■数字をドレスアップする

 (iPhone 3Gについて)これをジョブズは、速度は2倍、価格は半分になったと表現した。並みのプレゼンターは文脈なしで数字をたれ流すだけですごいとわかってもらえるはずだと考える。対してジョブズは、コアなファンなら数字だけで理解できても、今後、製品を買ってくれるかもしれない人たちの大半には意味のない数字にしか見えないことをよく知っている。だから、具体的な数字を文脈に置いて聞き手に密着した意義を持たせるのだ。


■新製品の発表にジョブズが選ぶ言葉の3つの特徴

 ●シンプル――ジャーゴンがなく、簡単な単語が多い。
 
 ●具体的――とても明快。長く抽象的な話をせず、短い言葉で
          具体的に説明する。

 ●感情的――写実的な形容詞が使われる。


■全身で伝える3つのテクニック

 ジョブズが一番生き生きするのはステージ上である。無限のエネルギーを持っているのかと思うほどだ。このときジョブズが行うことが3つある。誰でもできるし、しゃべるスキルやプレゼンテーションのスキルを高めたいなら必ずするべきことだ。
 アイコンタクト、開いた姿勢、手をよく使う――の3つである。


■時間をかけて練習しているジョブズのプレゼン

「どのスライドも、一編の詩を書くように作られていた。普通ならどちらでもいいと思うであろうことに何時間もかけて。スティーブはプレゼンテーションに全力で取り組む。我々はさまざまなものの構成と演出を行い、想定される以上に生き生きとなるように努力する」(Next社役員 ポール・ヴァイス)

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スティーブ・ジョブズの再臨―世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活


■銀行にはスーツで行き、会社にはジーンズで行くジョブズ

 世界を変える発明をしたら、ドレスダウンを考えてもいい。それまでは、場の文化に即した形で、周りの人よりも少しだけいいものを身につける――このアドバイスに従うことだ。


【感想】

◆冒頭で「付箋つけたいとこだらけ」という発言がありましたが、確かに私も恐ろしく付箋を貼りまくりました。

「400ページ超」という厚さが気にならない程、内容的にも面白く、飛ぶように売れている、というのも納得。

今まで、ジョブズの「人となり」「交渉力」にフォーカスした本は多かったですが、その卓越したプレゼンスキルのみを取り上げたのは、本書が初めてかもしれません。

と言うか、ジョブズのスキルで、一般的なビジネスパーソンが真似できるのは、このプレゼンスキル部分だけのような気もしますがw


◆しかも、本書の著者であるカーマイン・ガロは、「プレゼンテーション、メディア対応、コミュニケーションのスキルを教えるコーチ」であり、その「プロの目」によるジョブズのプレゼンの分析が楽しめるのも、本書の特長です。

必要に応じて、ジョブズの各基調講演について、「原文」「対訳」「対応するスライド内容」がこんな感じで掲載されているという。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン










それぞれの講演は、YouTubeに確実に上がっているので、それらを見ながら、本書の内容を確認すると良いかと。

例えばこれは、初代iPhone発表時(2007年1月9日基調講演)。


歴史的な基調講演だけあって、この講演の模様はテーマごとに、本書では何度か分析されています。


◆一方こちらは、ネタ全開のマックワールドエキスポの模様。



テレビ映画『バトル・オブ・シリコンバレー』で、ジョブズを演じたノア・ワイリーが、講演の冒頭にジョブズのフリ(というか、ほとんどパロディ)をして登場しています。

…途中で本物がダメ出ししに出てくるんですが(詳細は映像&本書をw)。

こういう遊び心があるのも、ジョブズらしいな、と。


◆本書で著者のガロは、ただ単にジョブズを分析するだけでなく、実際に彼がクライアントに指導した「ジョブズのプレゼンスキル」も披露しており、ここも読みどころの1つ。

やはりジョブズのスキルを落とし込んだ具体例があるというのは、読む方にとっても励みになります。

ただし、ジョブズを真似てプレゼン資料を作ったとしても、それだけではダメであり、ジョブズの本当のすごさは、事前の準備と練習にあるかと(本書の15章の「簡単そうに見せる」をご参照のこと)。


これは当然、激オススメでございます!

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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン


【0712追記】

◆とうとう弾さんも参戦しますた。

404 Blog Not Found:(見|三|魅)せる - 書評 - スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン


【関連記事】

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【編集後記】

◆ところで、こちらは最近盛り上がっていた記事なんですが。

スティーブ・ジョブズがプレゼンで着ている黒いタートルネックの物語 - 拡張現実ライフ - モバイルデジタルサイネージ編

この記事によると、ジョブズ御用達の黒のタートルは、イッセイミヤケのものということになっています。

ところが、今日ご紹介した本によると、黒のタートルは「St Croix」というメーカー(ブランド?)のものとのこと。

ググったものの、「St Croix」については分からず、代わりにこんな記事が。

スティーブ・ジョブズについてあなたが知らないかもしれない”15の事実”: IF plus 9

こちらでも、ジョブズの黒のタートルは「St Croix」ってなってますよね。

ホントはどっちなんでしょ?


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