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2010年06月12日

【オススメ】「ヤフー・トピックスの作り方」奥村倫弘


ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)
ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、4月に読んだ「ヤフートピックスを狙え」と同じく、ポータルサイトYahoo! JAPANのトップニュースである「ヤフー・トピックス」について論じたご本。

ただし、著者の奥村倫弘さんは、Yahoo!で今現在働かれている方であり、外部から見た本である「ヤフートピックスを狙え」と違って、「内部から見た」ヤフー・トピックス(以下「トピックス」と略す)を描かれています。

ゆえに、安易な「こうすればトピックスに載れますよ」という話がないのは予想できましたが、むしろ「本質的な部分」で、どういうニュースがトピックスに「載るべき」なのかというお話には、思わず納得。

アマゾンのレビューの1つにあるように「いい意味で裏切られた」オススメの1冊です!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【目次】

1章 トピックスの作り方
 トピックス編集部の一日
 トピックスの原点
 自ら書かずにニュースを扱う思い

2章 13文字の作り方
 なぜ13文字なのか?
 編集者と読者の対話

3章 コソボは独立しなかった
 グラデーションをかける
 閲覧数
 普天間
 報道価値と読まれるニュースの間

4章 既存メディア、ネットメディアとの関係
 変わるニュースの概念
 ニュースの本来的な価値
 読み応えのあるニュース
 ロボット編集部
 ニュースが自分を探しに来る 
 読みたいニュースは自分で決められるか

5章 トピックスに載るニュース載らないニュース
 トピックスに取り上げられるには
 関連サイトに取り上げられるには


【ポイント】

■トピックスの3つのプロセス

 トピックスというのは、単にニユースをピックアップするだけのサービスではありません。まず(1)世の中の関心が高そうな記事を選び、(2)そのニュースに関係するホームページを探してきてリンクし、(3)コンパクトな見出しを付けてヤフー・ジャパンのトップぺージに掲載する、という大きく分けて3つのプロセスから成り立っています。


■ニュースは情報とは違う

 トピックス編集部では「ニュースというのは単なる情報とは違う」と考えています。事件報道は、人を傷つける可能性がありますし、経済記事は株価に影響を与えることもあります。
 ニュースというのは、ただ身の周りで起きている出来事を綴った情報ではなくて、取り扱いに注意を必要とする情報です。そういう意味で、新聞社や放送局での勤務経験を持った人材が、この仕事に携わることが望ましいと考えています。


■13文字にすることで余計な情報が削ぎ落とされる

 この13文字見出しは、短くて見やすいという以外にも大きなメリットがあります。それは、13文字見出しを付ける過程において、余計な情報が削ぎ落とされ、何が重要なのかが非常に明確になるということです。


■トピックスの8本の並び順

 これは、原則として上から順に国内、地域、海外、経済、コンピュータ、サイエンス、スポーツ、エンターテインメントのジャンル順で、硬軟のバランスがとれるように並べていく方法です。大きなニュースがある場合には、並びを崩しますが、いつ見てもだいたいこの並びになっているはすです。(中略)

 この方法を発明したとき、あたかも照明の明暗を調光するかのように感じました。話題の硬軟に凸凹がなくなったことで、8本の見出しが吸収しやすくなりました。


■コソボは独立しなかった

 閲覧率が低いということは、事実が広く認知されていないことと同じだとも言えるので、トピックス編集部のなかでは「コソボは独立しなかった」という言い方をしています。
 この言い方をほかのニュースに適用するならば、存在しなかったのはコソボの独立だけではありません。アフガニスタンでは大統領選挙が行われませんでしたし、イエメンでは内戦が起きていません。国内に目を向ければ、後期高齢者医療制度は制度すら存在しませんし、過去に一度も国家予算が成立したこともないでしょう。


■アクセス数偏重の誘惑

 特に戸別配達制度を持たないインターネット専業でニュースを提供している新興の報道機関は、記事をお金に換える手段として広告収入に大きく依存しているわけですから、よほど高い意識や志を持たなければ、その編集方針や記事の品質は、いつの間にかアクセス数偏重=ビジネス偏重によって骨抜きにされてしまう恐れを持っています。
 いや、恐れを持っているというより、すでに記事の品質の劣化は、利益を最大化するための「閲覧数の最大化」と「コストカット」の両面から始まっていて、ブレーキがかけられない状態に来ていると言った方が正しいかもしれません。


■トピックス必勝法などない

企業の広報を目的とした記事がトピックスに掲載されるのは、ある意味、宝くじに当たるようなものです。
 そうであるにもかかわらず、「ヤフーのトピックスに必ず採用される方法を教えます」という文句で商売したり、「トピックス掲載必勝法」というようなあおり文句を掲げて講演会を主催したりするPR会社を見かけます。その商売の仕方に心が痛みます。そんな必勝法などどこにもないのに、なぜ企業の足元を見てお金を取ろうとするのでしょうか?


■関連サイトに取り上げられるには

 トピックス編集部が言う「関連情報」の「関連」とは、トピックスとして取り上げたニュースを軸に知識や見識が広がるか、あるいは深まるかという意味での関連性です。
 ニュースが報じ切れない知識や情報をカバーするという意味では、民間の企業や団体が公開しているホームページも大きな存在意義があります。記事中の情報では不十分だけれど、ホームページで充分な解説がされていれば、そうしたホームページにトピックスからリンクする可能性は高くなります。


【感想】

◆深く考えずに本書を読み始めたのですが、3つほど留意したい点がありました。

まずは、トピックスの「見出し」の付け方。

上記ポイントではトピックスの文字数や並び順の事しか触れていませんが、トピックスでは妙な煽りや修飾語句、さらには感嘆符(「!」)も使わないのだそう。

具体例として「絶句!なんとあの福田首相が突然の辞任!」と言うのが挙げられており、確かにこれはトピックスではありえません(出すとしたら「福田首相が辞任」)。

結局、「対象となるニュースに価値があるかどうか」が問題だということですね。


◆次に、先の点とも関係してくるのですが、「ニュースサイトのあり方」について。

インターネットにおいては多くの場合「アクセス数の多さ」は収益性(広告等の)に結びつくもので、それがゆえに「アクセスに結びつくニュース」を優先させがちです。

本書にはトピックスにおける、8つのジャンルごとの閲覧割合が出ているのですが、とにかく「やわらかめ」なジャンルが圧倒的に強いという(詳細は本書を)。

これはおそらく多くのニュースサイトでも同じ傾向であり、収益のことだけを考えるのであれば、おのずと取り扱う情報も片寄ってしまうことになるわけで、そのこととサイトの存在意義との兼ね合いがどこも悩みどころなんだな、と。

当ブログも、「人気のあるテーマ」ばかりを掘り下げていてはいけないな、と思った次第です。


◆最後に、「トピックスの取り上げられ方」も見逃せません。

これはもう、はっきり「必勝法などない」と断言されているのですが、むしろそれを期待して本書を買った人がガッカリした、ということはある様子。

ただ、確かに必勝法はないのですが、「確率を高める方法」はあり、それはちゃんと本書の第5章に載っています(ネタバレ自重)。

とはいえ、それがあまりに「真っ当すぎるやり方」なので、「ラクに儲けたい」タイプの方には価値ある情報に見えないのかも。

実際、ショッピングサイトがトピックスでリンクされたこともあるのですから、お店や企業でホームページを出されているなら、ぜひとも意識して頂きたい大事な点だと思われ。


◆またこのことは、単にトピックスに取り上げられるうんぬん以上に、「閲覧者にとってどういうサイトが望ましいのか」、という本質的な話でもあります。

役に立つ有益な情報が掲載されているサイトであれば、他のサイトで紹介(リンク)されるでしょうし、そういったリンクの多さがグーグルの言うところの「ページランク」にも影響してくるワケですし。

検索エンジンがそういうサイトを評価するように、トピックスでも編集者が選んでリンクするということは、「機械も人も目指すところは同じなんだな」、とこの第5章を読んで、思わず感動してしまいました。

誠実にビジネスを行い、その独自の情報を幅広く役立てたい、と思われるのであれば、個人であれ企業であれ、本書を読む価値は大いにあります


当ブログであまり人気のあるテーマでないことは承知の上で、激しくオススメさせてください!

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)
ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)


【関連記事】

【攻略!】「ヤフートピックスを狙え」菅野夕霧(2010年04月17日)

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【ネタ満載】「仕掛力」村松美尚(2009年03月03日)

【スゴ本!】「なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル(2007年10月09日)

「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)


【編集後記】

◆昨日土井さんがメルマガで紹介して、速攻在庫切れ("一時的"表示なので数日中に復活すると思いますが)になったので、リアル書店で買ってきました。

私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~

まだパラパラっとしか読んでないのですが、セルフパブリッシングが関係なくとも、土井さんも言われているように「アマゾン攻略法」として業界関係者の方なら読んでおくべきだと思います。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 09:30
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この記事へのコメント
ど〜も〜。
久しぶりにコメントさせていただきます。

浅沼ヒロシ@宝島書評執筆仲間 です。

たしかに、smooth さんには珍しいテーマですね。
「当ブログも、「人気のあるテーマ」ばかりを掘り下げていてはいけないな、と思った次第です」には、smooth さんの「矜持」と「志」を感じましたよ。

尚、僕も同じ本の書評を書きましたので、よかったらURLを覗いて見てください。

ではでは。
Posted by 浅沼ヒロシ at 2010年06月12日 10:52
>浅沼ヒロシさん

ご無沙汰しております〜。

>矜持」と「志」を感じましたよ。

いえいえ、そんな大それたものでもなくてw
ただ、私自身どういう本を選ぶべきかということについては、ある程度ポリシーをもってやってきたのですが、多少アクセスが少なくても、良い本はご紹介すべきかな、と思ったわけでして。

…さっそくこの記事も実はアクセス少なかったです。

(´・ω・`)ショボーン

>尚、僕も同じ本の書評を書きましたので、よかったらURLを覗いて見てください。

拝見しました!
なんとそちらでもお書きになってたんですか!
今後のご活躍をお祈り申し上げます。
私も頑張らねば!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年06月13日 06:26