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2010年06月07日

【面白】『頭がよくなる「経済学思考」の技術 』木暮太一


頭がよくなる「経済学思考」の技術
頭がよくなる「経済学思考」の技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「論理的」「経済行動を予想・分析しよう」、というご本。

経済系の本は、今まで「行動経済学」関係の本しか読んでこなかった私ですが、本書をリアル書店で手に取ったところ、冒頭の最初の4行がこんな始まり方でした。

 この本では、経済学における基本的な「ものの見方・考え方」を身につけるためのツールをご紹介します。それは、「プレイヤーのインセンティブ」、「ルール」、「均衡点」という3つのキーワードから物事の結果を、論理的かつ精度高く予測する考え方です。

ここだけで「購入決定」w

果たしてその内容は、予想通り私の「ツボ」でした。

「経済政策」等の世の中の大きな動きから、「自己啓発マニア」の成功する確率まで(?)、同じ考え方で分析しまくっているのがスゴイですw!


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【目次】

INTRODUCTION 先の見えない時代を経済学思考で先読みする
 「結果を変える要素」と「結果を左右しない要素」を知る
 「インセンティブ」と「ルール」で人は動く
 「均衡点」とは、物事の最も妥当な結果のこと ほか

1 世の中の問題を「経済学思考」で整理する
 「高速道路1000円」の本当の問題とは?
 ダイエット産業がなくならない理由
 サブプライム問題は、誰のせいで起こったのか? ほか

2 「インセンティブ」の変化で起こること
 人々の「インセンティブ」を無視していた定額給付金
 自民党vs民主党。政党で日本は変わるのか?
 秘書だけが逮捕される汚職事件のメカニズム ほか

3 「ルール」が変われば、すべてが変わる
 ネット通販から生まれた「新しいルール」
 年金が破たんする経済学的な理由 ほか
 年賀状の需要が減った「2つの理由」 ほか

4 実践!経済学思考で「未来」を予想する
 最低時給1000円で損をするのは誰?
 表彰は「1人」にすべきか、「みんな」にすべきか?
 技術革新が「一流だけの時代」をつくる ほか


【ポイント】

■「経済学思考」で行動予測するための「3つのキーワード」

 ●インセンティブ

「インセンティブ」は、よく「誘因」や「動機づけ」と訳されます。人が行動するときには、必ず理由があります。本書では、その理由を「インセンティブ」と呼びます。

 ●ルール

「ルール」とは、当事者の行動を制限し、阻止したり、行く先を誘導したりする外部環境のことです。

 ●均衡点

 そして「均衡点」とは、プレイヤー(当事者)が自分のインセンティブに従って、周囲や社会のルールの中で行動したときの結果のことです。


■ダイエットが成功しないワケ

 痩せたいと願う個人は、痩せたいけれども、長期的でハードな負荷は避けたいというインセンティブを持っています。
 しかし、ダイエットは一定の期間にわたり「摂取カロリー<消費カロリー」の状態をキープしなければいけません。プレイヤーのインセンティブとルールを。掛け合わせると、「ダイエットは成功しない」というのが均衡点になってしまっているのです。だから、結局ほとんどの人は「願望」はあっても、実際に痩せることはないのです。


■人々の「インセンティブ」を無視していた定額給付金

 日本国民が持っているインセンティブが「将来のために貯金したい」になっていると、どうなるか?
 せっかく定額給付金を受けとっても、貯金に回すだけで、消費しないことになります。消費しなければ、景気はよくなりません。(中略)

 与謝野元大臣が、いつのことを指して「過去うまくいった」と言ったのかは定かではありませんが、その時と2009年とで日本国民の持っているインセンティブが変わっていたら、意味がありません。同じ政策でも、景気がそれほど悪くない時期にやるのと、とんでもない不況下で実施するのとでは結果が違うのです。


■インターネットに勝てない「タウンページ」

 情報を求めている消費者(プレイヤー)は、地元の店の情報を知りたいと思っているわけではなく、数ある中から失敗しない業者選び、べストな業者選びをしたいと思っているのです。
 また、実際にはべストな業者が載っていても、タウンぺージでは「その業者がべスト」ということが判断できません。
 だとしたら、インターネットを使えるプレイヤーに対して、タウンぺージは役にたちません。どんな情報でもネットで検索して、その中で選んでしまうのです。


■「成功したいけど、楽をしたい」自己啓発マニア

「自己啓発マニア」ですから、「自己啓発をしたい」「成功したい」と感じているのは間違いないと思います。しかし、それ以上に感じていることがあります。それは「てっとり早く」「簡単に」という条件です。
 「成功はしたいけど、しんどい思いはしたくない」「お金持ちになりたいけど、時間がかかるのは嫌だな」と思っているのです。だから、「あなたも寝ながら億万長者」「主婦にもできた、株で1億円稼ぐ方法」というキャッチコピーに何度も引っ掛かるのです。


■インターネットが変えた通販のルール

 それまでは、情報を発信する手段はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞など4大メディアにほぼ独占されており、高い広告費を払うか、番組や記者の取材を受けるを待つしかありませんでした。
 しかし、インターネットが普及し、情報をネットで発信できるようになりました。場合によっては無料で誰でも宣伝ができるのです。
 それまで、「全国の消費者に伝えたい」と感じながらも「ルール」がそれを許さず情報を出せなかった生産者たちが、どんどん商品をアピールするようになったのです。


■年金問題における「均衡点」

 国民は、年金は支払い以上に多く受給したいと考えていますが、制度が置かれている状況を考えると、かなり無理があります。その上、政治家はこの状況からずっと目をそむけて、放置していますので、事態は改善するどころか、悪化する一方です。
 このままだと、国民は相変わらず保険料より多い受給額を要求し続け、政治家は当座をしのぐだけで抜本的解決をしない、ということが予測されます。その状況にルールの「枠」を当てはめると、誰がどう見てもいずれ年金が破たんするという結論が導き出せます。これが現時点での「均衡点」です。


■年賀状の「1月2日配達」は、企業需要にとっては「結果を左右しない要素」

 ほとんどの企業が1月1日に間に合うように年賀状を出しています。一方で、企業人がその年賀状を受けとるのは、初出社日の1月4日以降です。そう考えると、1月2日に年賀状を配達しているかどうかは、ほとんど意味がありません。1月2日に配達するからといって、企業の年賀状需要が増えるわけではないのです。


【感想】

◆上記のように部分部分を抜き出してしまうと分かりにくいのですが、本書は各小見出しごとの「論点」について、すべて同じパターンで分析されています。

 ●プレイヤーが持っているインセンティブは?

 ●プレイヤーが置かれているルールは?

 ●均衡点はどこにあるのか?

 ●結果を左右しない要素


ケースによっては、最後の「結果を左右しない要素」がないものもありますが、ほぼ全て上記4つの切り口で構成。

結果、非常に理解しやすい作りになっています。


◆上記ポイントで挙げた以外で興味深かったのが、「"高速道路1000円"問題」

本書による経済学思考のフローで考えると、最初からこの結果は予測可能だったそう。

考えてみれば、このケースにおいて人々の「インセンティブ」(「節約」「気分転換」)は以前と比べて変わっていません。

ただ、各交通機関(車、新幹線、飛行機、フェリー)は、それまで「金銭的・時間的・体力的コスト」の観点でバランスが取れていたのに、突然の「ルール変更」によって、バランスが崩れてしまったというお話。

もちろん、「極端に値下げ」された高速道路に人々は集中したわけです。

…私たち家族も、GWにバス旅行に行って大渋滞に巻き込まれたばかりですがw


◆また、このように、「インセンティブ」と「ルール」から見ていくと、ケースによっては、施された策があまりに「意味がない」「効果がない」ことがよく分かります。

上記で挙げた「年賀状の配達日」の件はもちろんのこと、「タウンページ」も、たとえテレビCMを打って認知度を上げたとしても、そもそも「認知度が低いので利用者が減っている」わけではない以上、効果は期待できません。

私たちの生活においても、何か策を講じる場合、それが「結果を左右しない要素」になっていないかは注意したいところ。

「ダイエット」のように、仕組み的に「ラクして痩せる」のが不可能だと、何ダイエットであれ「やり方の違い」「結果を左右しない要素」になってしまうようですけど。


◆本書はテーマとしては、大規模なもの(割愛してしまいましたが「環境問題」等もありますw)から身近なものまで様々でしたが、一貫して「同じ思考パターン」で読み続けられるのがミソのような。

日頃、感覚的に「そうだよね」と思うことでも、このように理路整然と分析する習慣が身に付けば、ビジネスでも役立つハズ。

実際、割愛した中にも会社で使えるであろう「表彰のルール」なんてのもありましたし。

また、合間に挿入されているイラストや図・グラフも「佐藤雅彦さんチック(?)」で、好きな人はハマりそうなw

唯一残念だったのが「横書き」なところですけど、このイラストが可愛いんで許します。←偉そう


読みやすいのに結構深いオススメ本!

頭がよくなる「経済学思考」の技術
頭がよくなる「経済学思考」の技術


【関連記事】

【スゴ本】「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー(2008年12月15日)

【今さらでつが(汗)】「スタバではグランデを買え!」吉本佳生(2008年09月16日)

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「ヤバい経済学 」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー (2006年05月07日)

転ばぬ先の経済学(2007年01月26日)

「まっとうな経済学」ティム・ハーフォード(2006年10月23日)


【編集後記】

◆すでにご協力下さった方も多いと思いますが、一応念のため。

【お願い】「AMN読者アンケート」にご協力下さいませ

数分で終わるアンケートですので、よろしくお願い申し上げます。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 07:30
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この記事へのコメント
この本はちょうど僕も書店で見かけて気になったので購入して本棚に突っ込んであります。
優先順位を上げて読むべき本だと認識させていただきました!
Posted by Taka@中小企業診断士(業務休止中) at 2010年06月08日 07:40
>Takaさん

おっとここにもリアル書店でチェックした上で購入された方が(笑)。
私もまだ読んだばかりですが、さっそく「このケースのインセンティブは?」「ルールは?」と意識するようになりましたよ。

ぜひお読み下さいマセ〜。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年06月09日 01:53