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2010年05月08日

【リストラなう】「外資系金融マンのリストラ日記」六本木健


外資系金融マンのリストラ日記
外資系金融マンのリストラ日記


【本の概要】

◆今日は週末らしく、軽めのご本を。

といっても中身は全然軽くないリストラネタでございます。

しかも舞台が、リーマンショックで最もインパクトを受けたと思われる「外資系金融業界」ですから、その人間模様も悲喜こもごも(主に「悲」ですが)。

私自身、知り合いが全然いない業界だったので、色々と勉強になりました。

なお、単行本なのに「500円」という値付けは、どういうデフレなのかw


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【目次】

第1章 「その日は突然やってきた」

 突然呼ばれた会議室
 名刺も私物も取り上げられて
 「高額割増退職金」のワナ ほか

第2章 外資系に入った日

 外資系が輝いて見えた日々。バブル崩壊と失われた10年の中で
 ついに決めた転職、引き留められない悲しさ
 転職決めたとたんに「裏切り者」扱い ほか

第3章 ヘッド・ハンターは気楽な稼業ときたもんだ

 へッド・ハンターという名のお仕事(この人達は、いったい何をやっているのか?)
 いったいどのくらいもうかるの?
 独立系と大手の違い ほか

第4章 外資系会社の内幕

 外資系会社の内幕
 外資系金融会社の給料ってどのくらいなの?
 外資系の年収ってどういう風に決まるの? ほか

第5章 さすらいのハローワーク

 雇用保険の矛盾、高額所得者はかけ損?
 さすらいのハローワーク
 国民年金は、なんて高いんだ! ほか

第6章 明日を目指してがんばろう!

 真剣に見直すライフプラン
 早い引退、本当にいいのか悪いのか?
 未来へ向けて 


【ポイント】

■外資系リストラの方程式:能力のある人ほどクビになりやすい

 非常にシンプルな解決方法はへ上から順番に給料の高い人をクビにする」です。実は外資系の場合は、管理職よりも営業職の給与が高いケースが多く、加えて戦略部門の責任者、営業マンが高い給料をもらっています。
 もう想像がつくと思いますが、このような解決方法をとってしまうと必ず優秀で戦略的な部門にいる人がまっさきに解雇されるわけです。


■退職勧奨の契約書に不満でも、業界から完全撤退する気でないと争えない厳しい現実

 業界で「あの人はクビになった際に弁護士を使ったらしい」なんて話が飛び出してきたら、どこもびびって採用しなくなります。実際に訴訟などを避けるために「もし、そんなことしたら再就職に不利になりますよ」と露骨に言ってくる人事の担当者もいると聞いております。外資系とはいえ日本の社会ですから、そういった「闘争」をすることは極めて再就職には不利なようです。


■外資系は「英語ができなきゃダメ」「高収入と引き換えにクビになるリスクがある」というのは本当

こういうとガッカリされる方も多いと思いますが、外資系で成功するためにはこのニつは覚悟しなければなりません。昨今の転職者で臆面もなく「英語はダメです」という人がいますがとんでもありません。少なくとも30代、40代で管理職扱いされた人が英語べタでは、海外出張のときには「置物のネコ」になってしまいます。


■不況の波はヘッドハンター業界にも

 こんな暢気でいいかげんな「稼業」にも今回のリーマンショックは大きな影響を及ぼしました。業界全体がクビ切り一辺倒になってしまったんです。彼らはたとえマーケットが悪くなっても「捨てる神あれば拾う神あり」という状態を何度も経験していますので、「今回も大丈夫」とタカをくくっていたようですが、リストラの嵐の中、「販売先」がまったくなくなってしまったわけです。


■給料は上司次第

給料は人事部がほぼ関与せずに上司の腹一つで決定されるという、とても明確な力関係が存在し、「給料を上げたかったら上司に好かれること」が絶対条件なのです。もちろん、嫌われても収益を稼いでいれば他の部署からお誘いもきますが、外資系に入りたての若い女性や、べテランで営業成績がふるわない人などは、こういう上司の餌食(セクハラ対象)になりやすいわけです。


■外資系金融マンのファッションの特徴

まず、スーツですが、なぜか「ブルックスブラザーズ」が大のお好みです。値段は高いですがやはリスーパーのものとは違う! と本人達は思い込んで着こなしています。(中略)

 こういう人達が必ず持っている小物があります。「ブラックべリー」という携帯端末です。最近は個人使用も可能になりましたが、かつては外資系のステータス・シンボルに近いものでした。(中略)

ネクタイはなぜか「ピンク」とか「黄色」がやたら好きです。そういった人達のボスがしているケースが多いのです。


■無能な人がなぜ社長になるのか?

外資系の金融機関が進出してきたころの日本の企業では転職は「悪」とされていました。そこで、大手企業から流れてきた人は二流の人材か、なにか「わけあり」の人ばかり。そうこうしている、つちに外資系は時の流れで急成長し、日本での足場を固めていきますが、そんな中、特に取り柄のない彼らは、英語力と愛想のよさで何とか生き残りをはかります。
 一方、激動するマーケットの中、多くの優秀な人材が会社の方針に失望して自分から会社を去ったり、体を壊してやめていきます。しかし、彼らは生き残ります。ほかに行くところがないからです。そして、「彼は長くいて会社のことをよく知っているし、ほかにろくな人がいないから」という、とんでもない埋由で社長になります。だれもが、外資系の社長は優秀でバリバリ働いていると思いますが、このポストはとんでもないエアポケットなのです。


■地方税の恐ろしさ

 昨年までは給料天引きで地方税を払っていた人が、今年無職になると税務署から恐ろしい「取り立て」があります。これを知らない人が意外と多いのですが、地方税は昨年の年収をべースに計算されますので、その金額に見合う予定納税をしなくてはいけません。その金額が無給になった人にとっては半端ではありません! まさに青天の霞震です。


【感想】

◆本書を読むきっかけとなったのが、最近、出版業界のみならず多くの人が注目しているのが、こちらのブログ。

たぬきちの「リストラなう」日記

私もRSSリーダーに登録して、欠かさず読んでおります。

大手出版社における大規模なリストラというのは、今まであまり聞いたことがなかった(知らないだけ?)ので、たぬきちさんはもちろん、会社の動向にも注目せざるをえず。

なお、「給料が高い」うんぬんというのは、もっと高い音羽の出版社に知人がいるので、私にとっては想定内でしたがw


◆さて、「給料が高い」という点では同じなのが、本書の舞台となる「外資系金融業界」

ただし、彼らの年収は、基本給に比べボーナスの割合が高いため毎年の変動が激しく、また企業年金部分込みの給料なことから、老後は蓄えがないとヤバそうです。

それでも、毎月振り込まれる給料の額が多ければ、それは金遣いも荒くなるというもの。

本書では、その狂想曲ぶりと、リーマンショック後の悲惨な状況が描かれています。


◆また、リストラとは直接関係ないですが、外資系企業に「ありがちな話」「いがちな人々」もわんさか登場。

私自身は外資系ではなかったものの、メーカーの海外営業グループにいたため周りに帰国子女も多く、「英語バカ」のクダリには思わず納得しました。

とにかく「英語が話せれば仕事の内容はどうでもいい」みたいな先輩がホントにいたんですよ。

逆に上記ポイントでも挙げたように、外資系では「英語が出来ないとダメ」みたいですね。

(´・ω・`)ショボーン


◆さて、ビジネス書のブログをやっていると、どうしてもMBAを持っている著者さんとか、外資系の著者さんの本を読む機会も多く、一種の「憧れ」の目で見ていたのですが、本書に出てくる外資系の方々は、そういった著者さんとは全く違うわけでw

もちろん、話として面白いのはダメな人の方とはいえ、本書にはほとんど(全く?)、できるビジネスパーソンが出てきません。

もっとも、本書はビジネス書というよりは、一種の「読み物」ですから、「そういう人もいるよね」と、話半分で読んでもらえれば良いかと。

ただ、給料を含め、査定が上司の胸三寸にある」、というのは、類書でも読んでいましたが、改めて、その理不尽さを実感致しました。


外資系への転職を考えている方なら、読んで損はない1冊!

外資系金融マンのリストラ日記
外資系金融マンのリストラ日記


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【編集後記】

◆今日ご紹介した本に関連して。

リストラされた100人貧困の証言 (宝島社新書)
リストラされた100人貧困の証言 (宝島社新書)

こちらは、全然笑えないお話みたいです…。


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