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2010年04月29日

【問題解決】「デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方」ティム・ブラウン




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、"世界屈指のデザインファーム"IDEOの社長兼CEOであるティム・ブラウン氏のご本。

たまたま最近、はてな界隈で人気のあったこの記事を読んだ直後にリアル書店で見かけて、「これも何かの縁かも」と思ってゲットした次第。

地下鉄の自販機の売り上げをアップさせた、IDEOのユニークな行動観察調査手法 - Feel Like A Fallinstar 地下鉄の自販機の売り上げをアップさせた、IDEOのユニークな行動観察調査手法 - Feel Like A Fallinstar

アマゾンに情報がないので、出版社サイトから引用。

人々が気づいていないニーズを明らかにし、飛躍的な発想で問題を解決するためには「デザイナーのように考える」ことが必要だ。世界的デザインファームIDEOのCEOみずからその真髄を説く

昨日の本に続いて、付箋貼りまくりの1冊(さすがに2日連続で画像は載せませんがw)でした!


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【目次】

はじめに――デザイン思考のパワー

パート1 デザイン思考とは何か?
 第1章 デザイン思考を知る――デザイン思考はスタイルの問題ではない
 第2章 ニーズを需要に変える――人間を最優先に
 第3章 メンタル・マトリクス――「この人たちにはプロセスというものがない!」
 第4章 作って考える――プロトタイプ制作のパワー
 第5章 初心にかえる――経験のデザイン
 第6章 メッセージを広げる――物語の重要性

パート2 これからどこへ向かうのか
 第7章 デザイン思考が企業に出会うとき――釣りを教える
 第8章 新しい社会契約――ひとつの世界に生きる
 第9章 デザイン・アクティヴィズム――グローバルな可能性を秘めたソリューションを導き出す
 第10章 いま、未来をデザインする


【ポイント】

■デザイン思考は、基本的な人間のニーズに重点を置く

これはごく当たり前にも思えるが、現実には大半の企業が新たをアイデアを考案する際に別のアプローチを用いている。当然ながら、企業は既存のビジネス・モデルの枠組みに適合するかどうか、という制約を開始点にしがちだ。ビジネス・システムは効率性優先で設計されるため、新しいアイデアは漸進的で平凡なものになってしまう。したがって、競合他社にもたやすく模倣されてしまうというわけだ。


■制約が功を奏した好例「革新あるのみ!ぺダルで動く機械コンテスト」

最優秀チームの出だしは遅かった。5人の勤勉なデザイナーと熱狂的な支援者たちは、わずか数週間の慌ただしいブレインストーミングとプロトタイプ製作で、緊急性の高い問題(発展途上国に住む11億人が清潔な水を飲めずにいるという事実)を把握し、さまざまなソリューション(移動式にするか固定式にするか、自転車の後ろにトレーラーを引くのか、既存の荷台を使うのか)を模索して、実用的なプロトタイプを製作した。そして生まれたのが、飲み水を運びながら濾過できる自走式の三輪車「アクアダクト」だ。現在、アクアダクトは清浄水のイノべーションを推進するために世界中を走り回っている。

参考:DESIGN TOUCH Exbition|DESIGN TOUCH 2009|東京ミッドタウン


■初期のプロトタイプ製作はやっつけ仕事で構わない

IDEOの最初で最高のプロトタイプは、会社がまだ8人のむさ苦しいデザイナー集団にすぎなかった時代に生まれた。パロアアルトのユニバーシティ・アべニューの婦人服店の上にあるスタジオで、ダグラス・デイトンとジム・ユルチェンコが、バン・ロールオン・デオドラントのチューブに付いていたローラー・ボールをプラスティックのバター皿の底に取り付けた。それからほどなくして、アップルコンピュータは最初のマウスを出荷した。


■実体のないプロトタイプはシナリオで考える

大半の乗客にとって、旅は「駅に向かう」、「駐車場を探す」、「切符を買う」、「ホームを探す」といった10のステップで成り立っていた。もっとも特筆すべき洞察は、乗客は8番目のステップになってやっと列車の座席に着席するということだった。言い換えれば、列車の旅の経験の大半は、列車とまったくかかわりがなかったのだ。そこでチームは、それ以前のすべてのステップを、好意的なインタラクションを生み出す機会ととらえた。座席のデザインのみにとらわれていたたら、このような機会を見逃していたに違いない。


■「1日の終わりに小銭をビンに入れる」習慣を取り入れた例

「キープ・ザ・チェンジ」サービスでは、デビットカードの支払額が白動的にドル単位に切り上げられ、その差額が顧客の預金口座に振り込まれる。たとえば、朝にスターバックスでラテを買い、デビットカードで3ドル50セントを支払うと、現金で4ドルを支払った場合に受け取るはずの50セントのお釣りが頂金口座に貯金されるというわけだ。(中略)
初年度、キープ・ザ・チェンジは250万人の顧客を惹き付けた。別の言い方をすると、70万の新規当座預金口座と100万の新規預金口座が開設された。


■「デザイン・チャレンジ」を通じて、広告を別の角度からとらえる

 クールビズ・キャンぺーンを考案した日本の広告会社、博報堂のクリエイティブ・チームは、デザイン・チャレンジに実験的な工夫を加えた。パナソニックの電池部門は、オキシライド乾電池の不振にあえいでいた。通常のアルカリ乾電池よりも強力で長持ちするが、そのほかの面では無数の競合製品と区別が付かなかったのだ。そこで博報堂は、オキシライドの技術を宣伝する通常の広告キャンぺーンを実施する代わりに、ひとつのシンプルな疑問を投げかけた。
「家庭用の乾電池のカだけで、人間は空を飛べるか?」

参考:飛んだ---市販乾電池用いる有人飛行,東工大と松下電器が成功 - 産業動向 - Tech-On!


■トヨタ・プリウスに見る進化的イノベーション

真のイノべーションは、ハイブリッド電気モーターのみではない。大型でカラフルな情報モニターに毎分の燃費が表示されるため、運転者は絶えず運転の燃料効率を高めようという気になるのだ。トヨタは、漸進的イノべーションだけでなく、進化的イノべーションに投資を行なったおかげで、経済の嵐を切り抜けようとしているのだ。


■小児肥満の問題の解決方法を考える

一部の学区では、食堂や自動販売機のジャンク・フードが禁止されているが、子どもたちがほしがる食べ物を単に奪うだけでは、逆効果だ。より有望なのは、バークレーの著名なレストラン「シェ・パニース」を創設したアリス・ウォータースなどのように、前向きな動機を利用するという方法だ。ウォータースは、「エディブル・スクールヤード(食べることのできる校庭)」というプログラムを開始した。これは、学校で農作物を栽培することで、給食用の健康的な食材を提供すると同時に、食べ物の成り立ちについても教育しようというプログラムだ。


【感想】

◆本書は書店の平台にフツーに積んであったのですが、タイトルからその内容を読み取ることは難しいと思います。

たまたま(?)IDEOがデザインファームだから、「デザイン」中心(でもないですがw)に描かれているものの、やってることは「コンサルティングファーム」と同じです罠。

…とオモタら編集部あとがきにこんな一節が。

 実際、現在IDEOの収入のほとんどは「コンサルタント業務」に拠るものであり、直接的なデザインの請負ではない。

ただし、その問題解決のアプローチの仕方が、一般的なコンサルティングファームと異なるということ。

冒頭の記事の自動販売機の例でも、マッキンゼーの例が洒落で挙げられていましたが、確かに言いえて妙w


◆と言うわけで、本書は「問題解決」に関するお話が満載。

上記以外にも興味深い事例が多数収録されています。

一例を挙げると、スタンフォード大学のマーティン・フィッシャー博士の考案した足踏み深水ポンプ、「スーパー・マネーメーカー」

ナイロビを訪れた彼は、グローバル経済へと引きずり込まれた貧困国の人々にとって、必要なのは「お金」ではなく「お金を稼ぐ手段」だということに気付いた。

だからといって、この名前はwww

参考:Super MoneyMaker Pump:Design for the other 90%

この例や、上記で挙げた「アクアダクト」等、「デザイン思考」は、貧しい国での問題解決に、特に効果がありそうな感じ。


◆ところで本書は、初っ端に内容をまとめた「マインドマップ」(細かいことを言うと、オフィシャルな規則には則っていませんがw)が掲載されています。

デザイン思考が世界を変える












これ見て、さぞかし図表全開かと思いきや、全然そんなことはなくて

2,3の図がある以外は全編文字だらけ

同じ「早川新書juice」シリーズの「グーグル時代の情報整理術」の記事『「文字だらけの新書」で350ページ超を読むのは結構大変かも』と申し上げたことがありましたが、その再来(今回は315ページですが)です。


◆ただ、「編集部あとがき」によると、デザインの本でありながらこういう作りになったのは、著者のティム・ブラウン氏の意向があったとのこと。

そのせいもあって、過去のIDEOの作品に比べて(著者が違うとはいえ)、「デザイン思考の本質を語る」、という意図が明確になっているようです。

私自身は、土井英司さんの薦めでこの本を購入したきり「積読」状態ではや数年…。

イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材
イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材

今回の新作を機会に、読んでみようかな…と思いつつどの段ボールに入っているのやら(ヲイ)。


今までの問題解決技法では飽き足らない方へ!



【関連記事】

【スゴ本】「ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ」桝田省治(2010年03月21日)

【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)(2006年01月18日)

【スゴ本】「全脳思考」神田昌典(2009年06月17日)

【オススメ】「超ビジュアルシンキング」ダン・ローム(2009年05月25日)

【新しい問題解決の手法】「プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動」佐々木直彦(2009年04月28日)


【編集後記】

◆冒頭の記事のおかげか、同じIDEOのトム・ケリー氏のこちらの本は、マーケットプレイスで高値になっちゃってますね。

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

これは私も入手しそこなってしまって、後悔しきり…。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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