スポンサーリンク

2010年03月21日

【スゴ本】「ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ」桝田省治




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、私の大好きなジャンルではあるものの、今イチ当ブログではブレイクしない「アイデア・発想系」のご本。

ただし今回の本は、マジでキテます!

著者の桝田省治さんの作られる作品は、ゲーム素人の私は知らなかったのですが、「独特の世界観」が特徴なのだそう。

確かに本書で述べられている「モノの考え方」も、今までのアイデア系の本とは一線を画しています。

「ユニークな発想」に憧れる方なら必読かと!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【目次】

●1. みつける 着想/加工
 日常の中の個人的な欲求
 他人の欲求を探る
 自分ならどう作るか?
 父の死さえネタにする
 ゲームにするはずが…… ほか

●2. つくる 設計/調整
 着想を企画書に落とす その1
 システムでドラマを生成する
 戦闘の意味づけ
 着想を企画書に落とす その2
 着想を企画書に落とす その3 ほか

●3. かんがえる 信条/哲学
 テレビゲームとは何か? その1 初めてのテレビゲーム
 テレビゲームとは何か? その2 それは偶然か?
 テレビゲームとは何か? その3 しょせんはゲームだ
 テレビゲームとは何か? その4 小説や調査との比較
 思考のレッスン その1 幻の天外魔境IIIとハルカ ほか

あとがき

●コラム
・僕は、こうしてゲームデザイナーになった <前編> <後編>


【ポイント】

■ゲームにして面白そうなネタの中で見込みのありそうなものを選り分ける方法

 ●最も推したい点を短いフレーズにしてみる

その際は、「○○が××したら楽しいと思わないか?」とか「○○が××すると燃えるでしょ?」とか、他人に問いかけるフレーズにするのがコツだ。
 ここまでに名前が出たタイトルを例にすれば、
 「俺の屍を越えてゆけ」なら「自分の子孫の行く末を眺めてみたくないか?」(中略)

 「勇者視す。」なら「自分の葬式で誰が泣くか見てみたくないか?」
 と、こんな感じになる。

 ●チェックポイント1

 これくらいの短いフレーズでそのネタの面白さがまとめられないなら、そのネタには何か欠点がある。もしくは言い表せないあなたは、ゲーム企画に向いていない。

 ●チェックポイント3

(この短いフレーズを5人ほどに話してみて) 5人のうち、ふたりか3人が「メチャクチャ面白そう」と答えるくらいが理想的だ。(中略)
 テレビゲームなんてものは、ゲーム機所有者の10%が買えば商品として成立する。普及したハードなら5%でもヒットだ。この段階では、5人の「そこそこ面白そう」よりふたりの「メチャクチャ面白そう」のほうがずっと可能性がある。


■上記チェックポイント3で反応の良かった人に質問してみる

「このゲームをプレイしたら、どんなことがゲームの中で起きると思う?」

 ●注意点1

 まず、「メチャクチャ面白そう」と答えたにもかかわらず、具体的なエピソードなりシーンがひとつかふたつしか出てこなかった場合、おそらく最初の「○○が××したら楽しいと思わないか?」のポイントがずれている。そこから再検証する必要がある。

 ●注意点3

普通の人から出た3つか4つのアイデアは、必ずゲーム内に組み込むべきだ。なぜなら、それはあなたが発した「○○が××したら楽しいと思わないか?」という問いかけに対する素直な期待だ。裏切ってはならない。


■神経衰弱とババヌキは「同じゲーム」

 神経衰弱は、"場"にまかれたすべてのカードがプレイヤー"各人"に得点として集まれば終了である。一方のババヌキは、プレイヤー"各人"の手札がすべて"場"に捨てられて終わる。言うまでもなく状態が変化する条件は、両方とも数字が同じカードが2枚1組そろうことだ。
 ようするに神経衰弱とババヌキは、「共通の場→各人の札」「各人の札→共通の場」と始まりと終りのカードの状態が入れ替わっているだけで、状態変化の条件を含めて同じ部品で構成されているわけだ。


■ドラえもん、パーマン、忍者ハットリくん等、藤子不二雄作品における構成部品の共通性

 登場人物は、特に取り柄のない普通の小学生男子。その同級生あるいは仲間は、腕力自慢の体格がいい男、富裕層の子供、マドンナ的な女の子、ここにドジな超能力者が加わる。もちろん作品により微妙に役回りは違うが基本は同じだ。
 異なるのは、超能力の理由づけが未来の技術なのか、忍術なのか、宇宙から授けられたのか、はたまたオバケゆえなのかという1点。この超能力の違いによりキャラクターの造型や目的が変わり、それに合わせて他の登場人物の役割や配置が適正に入れ替えられ、解決すべきトラブルに違いが出る。


■漠然と映画100本観るより、印象に残っているシーンを書き出す

この作業を試しにやってみればわかるが、メジャーなタイトルほど構成はシンプルだし、多くの人が心を動かすシーンも一致している。おそらくよく使われる状況設定は百パターンもない。一つひとつの部品を検証すれば、特に目を見張るものもない。ほとんどホメロスかイソップかシェイクスピアあたりが性能を確定している既存の部品だ。
 それでも、ダイハードもローマの休日もスターウォーズも大ウケした。


■「百円ショップ」から発想を拡げる

たとえば"アイテム合成"というシステムを加えてみる。つまり百円のアイテムをふたつ組み合わせて二百円を超える価値があるアイテムを作れる可能性をプレイヤーに提示する。(中略)
 百円アイテムが100種類しかなくても、組み合わせは膨大な数になり、いきなりゲームの幅が桁違いに拡がる。(中略)
 じゃあ、さらに想像してみよう。実は、このゲームがネット上にあり複数のプレイヤーが同時に参加できる環境にあるとしたらどうだろう。プレイヤー間では何をいくらで売買しようとかまわない。するとどうなるか?


■シナリオやキャラクターは最後に考える

 まずやりたいこと(俺屍の場合は世代交代による感動の再現)があって、次にそれを具体的に表せるシステムを考え、そのあとにそのシステムを不自然に見せない設定を作り、この節では触れていないが、最後に設定に合うシナリオやキャラクターを過不足なく追加する。
 完成形では、シナリオやキャラクターが目立つのでそれを最初に考えると勘違いしている人が多いようだが、僕の場合、実際には逆のことがほとんどだ。


■ピンチをチャンスに変える発想

"いかにも後から追加したのがバレバレ"であること自体をユーザーに楽しんでもらえないかと考えた。
 そこで、取説の広めの余白全部に、ちょっとしたプレイのコツや制作の裏話をその場で描きこんだ。
 完成したのが、前代未聞のゲームデザイナーの落書きつき取説だ。
 この趣向は、手作り感が面白かったのか、ユーザーに大いにうけた。
 ショートカットコマンドをなんとか取説に突っこむための苦肉の策だったとは、たぶん誰も気づかなかっただろうし、たとえ気づいたとしてもクスクス笑ってそれで終りだ。商品の価値は下がっていない。


【感想】

◆著者の桝田さんが手がけたゲームは、「桝田ゲー」と呼ばれており(ググれば出てきます)、根強いファンがいらっしゃるそう。

そんな数々の「桝田ゲー」も知らずに、のほほんと本書を読み始めた私は、かなり「衝撃」を受けました。

「何そのゲーム設定?www」というのが、マジで多杉

例えば「世代交代」がテーマゆえ、回数をふやすために短命な設定にされている「俺の屍を越えてゆけ」

死後「5日間だけ」命を与えられ、日に日に弱っていく勇者が主人公の「勇者死す。」

「12人の女性」に自分の魅力をアピールして選挙を争う「ネクストキング 恋の千年王国」

どれもこれもクセがある作品です。


◆そんな作品を作った桝田さんですから、どんな情報収集をされているかと思いきや、これが予想に反して丸っきりの情報鎖国状態。

 なにしろ僕は、週に一度子供を都心の学習塾に送迎する以外には滅多に家からでない。取材も面倒。映画館にも美術館にも行かない。新聞も読まない。テレビは食事中についていれば眺めるだけ。読書は、娘の塾の往復に乗る電車の車内に限られる。これといった趣味もない。(後略)

新聞や雑誌で、気になる情報を律儀に切り抜いているこちらとしては、むなしくなります罠w

ただしその分、「日常で接した出来事」から、「ゲーム」という最終形にまで持っていく手腕は見事。

本書の第1章では、それぞれのゲームの生まれた「企画のネタ」が語られており、この部分だけでも読む価値はあるかと。

企画のネタはどこにでもある。人が見逃している一見商品にできそうもない需要でも、あきらめずにず―――っと考えつづけることだ。経験から言えば百にひとつくらいはモノになる。逆に言えば、百のうち99は無駄骨。それが企画というものだ。

なるほど、納得。


◆一方、本書のお終い近くには、桝田さんが温めてらっしゃるという「ゲームの企画」が登場。

これがまた、RPGでモンスターと戦う設定でありながらも、「相場予測」(?)まで必要とされる、かっ飛んだ内容です。

「ネタ」が必要な業界関係者の方におかれましては「必見!」ではないか、と。

さらに、ネタではないのですが、「ゲームデザイナーがゲームデザインの文法を用いて書いた小説」として、ご自身のこの作品も紹介されていました。


これも、桝田さんの思考法を知る上では要チェック


◆そして私が「絶対敵わない」と思ったのは、ポイントでは触れなかった「桝田さんがボリショイサーカスで気がついた工夫の数々」

実は私も「同じボリショイサーカス」を観ておりました。

本書に書かれている出し物を見て、「はいはい、これ観た記憶がある!」となったものの、桝田さんが気づかれた「ボリショイサーカスの工夫」は、何一つ記憶に残っていなかった私、涙目

その中から1つ抜粋。

 ・十頭ほどの虎と調教師

 ときどき調教師に向かって吼えたり、牙をむく虎が1頭いる。調教師がその虎に背を向けたときなど、客席からどよめきが起きる。
 でも、よ――く見てると、その虎が一番難易度の高い芸をやっている。つまり吼えているのは一番訓練が行き届いた、一番馴れているヤツだ。

いかに自分が「何も考えずに見ていたか」を知り、深く反省。


この方、只者じゃないですよ!!



【関連記事】

【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)(2006年01月18日)

【結構スゴ本】「オタク成金」あかほりさとる,天野由貴(2009年05月12日)

【キャラ作法】「キャラクターメーカー」大塚英志(2008年04月14日)

【スゴ本!】「広告コピーってこう書くんだ!読本」谷山雅計(2008年01月15日)

【DS&Wii】「ゲームニクスとは何か」サイトウ・アキヒロ(2007年08月22日)


【編集後記】

◆一昨日のTwitter等で知ったのですが、HipHop系のトラックメーカーNujabesが先月既にお亡くなりになっていたそう。

hydeout productions: < Hydeout Productions から 緊急のお知らせ >

私の好きなチューンの中から1つ。



R.I.P.


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「アイデア・発想・創造」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 10:00
Comments(5)TrackBack(0)アイデア・発想・創造このエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/51800414
この記事へのコメント
とっても興味あります。
読んでみます!

教えてくださってありがとうございます!
Posted by 齊藤正明 at 2010年03月21日 13:09
スーパーエリート受験術のコピーの入手法教えてください
Posted by Ju at 2010年03月22日 03:04
>齊藤正明さん

この本は、マジで面白かったです。
オススメ!

>Juさん

記事に直接関係ないコメントなんで、簡潔に。
スゴ本のDainさんが、エントリーの中で結構詳しく書かれています。
ご参考まで。

http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2007/04/post_436b.html
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年03月22日 03:24
桝田省治さんの書かれた本が気に入られたのなら、芝村裕吏(しばむら ゆうり)と言う人についてググッてみることをおすすめします。

只者でないという意味ではこのヒトの方が上です。元々は桝田省治さんと同じアルファシステムで働いていた方です。


「無名世界観」

開発会社であるアルファ・システムの経営戦略の中で「開発したゲームの権利は制作会社に渡ってしまうが、世界観は使いまわせる」という発想を元に、いくつものゲームを同じ世界観をベースに制作し、継続してファンを獲得しようとした統一世界観構想の元作り上げられた世界観および各種世界設定である。

これに桝田さんとともに関わっていた人で、この人の関わったゲームは芝村ゲーとも呼ばれます。造られたゲームの中の裏設定に「本人」として登場したこともあります。

あくまで個人的感想としてですが、「生きた都市伝説」といった感じの人物です。



Posted by エピクロス at 2010年03月30日 20:57
>エピクロスさん

芝村裕吏さんは全然知りませんでした。
ググってWikipediaとか見たのですが、サイトもないようですし。
…とオモタら、Twitterはやってらっしゃいましたね!(本人かは分かりませんけど)

そういえば、この芝村さんのTwitterで、電子書籍の話をまとめたヤツを読んだ記憶がありました!

アマゾンの本は小説なのでちょっと畑違いなんですけど、これからも注目していきます。
ありがとうございました!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2010年03月31日 04:34