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2009年12月09日

【オススメ】「ニコニコ動画が未来を作る」佐々木俊尚




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、読んだ時には「キタコレ!」と思っていたにも関わらず、今までご紹介し忘れていた1冊。

たまたま先日徳力さんのエントリを見て、「しもた!」と思い出した次第。

アマゾンの内容紹介から。

いまネット界でもっとも注目されるサービス「ニコニコ動画」。それは、廃人と奇人と天才によって生み出された。オンラインゲームでマニアをうならせ、ケータイ着メロで一世を風靡し、ニコニコ動画で新しい文化を創造しつつある会社・ドワンゴは、いかに生まれ、育ってきたか?才能たちが織りなすビジネス群像劇。

以前書いた記事でも述べたように、「マーケティング」がお好きな方ならマストです!

思わず付箋も貼りまくり!

ニコニコ動画が未来を作る










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【目次】

プロローグ
第1章 Bio_100%の強者たち
第2章 ドワンゴ創世
第3章 デスマーチの日々
第4章 ケータイの世界へ
第5章 同期と非同期の狭間に
第6章 ニコニコ動画が作り出す未来
エピローグ


【ポイント】

■川上量生氏のモデム販売戦略

●1.「オマケ」をつける

 つまり単に安いだけでは、消費者に粗悪品だと思われて信用されない可能性がある。だいたいそんな怪しいモデムを秋葉原に集うヘビーユーザーたちが買ってくれるという保証は何もない。そこで川上が採ったのは、「おまけ」戦略だった。つまり自社ブランドの安価なモデムに、MS-DOSやWindowsの通信ソフト、インターネットブラウザ、FAXソフトなどをおまけとして大量にバンドルすることにしたのである。


●2.「オマケ」を大量に仕入れる

 そこで川上は、販売数量をあり得ないほどの巨大な数値で呈示し、それを最低保証としてコミットした。たとえばソフト会社が「単価500円で1000個」という価格を提示してきたとすれば、それに対して、
「じゃあ単価50円で2万個でどうですか」と逆提案するやり方だ。


●3.わかりやすいパッケージにする

 このようにしてパッケージ化したモデムには日本製の有名モデムのようなブランドがないから、消費者やショップにわかりやすくなければ買ってもらえない。そこで「つなぐモデム」という思い切りベタな製品名をつけ、パッケージを徹底的に「カンタン」「安心」というイメージでデザインする作戦に出た。最終版のパッケージデザインができるまで、3回もダメ出しをして作り直したほどだった。


●4.人気モデムより安く卸してショップのマージンを高くする

 当時、オムロンやアイワの人気モデムは店頭価格が3万円前後だった。そこで「つなぐモデム」は2万1000円前後でショップに卸し、希望店頭価格を2万8000円に設定した。人気ブランドモデムよりも低い値付けにしたわけだ。しかもブランドモデムが卸価格が2万5000円程度だったのに比べれば、ショップのマージンは「つなぐモデム」の方が2000円ぐらい高くなる。そこで川上の売ったモデムはどのショップでも、アイワやオムロンよりもショップの店頭の良い位置を奪い、平積み販売されたのである。


■ドワンゴに「廃人」軍団を引き込んだ川上氏の目算

 普通の会社経営者だったら、間違いなく彼らを採用したりしなかっただろう。
 ところが川上は、「こいつらは使えるはずだ」と考えた。(中略)

 だから「廃人」であっても、ゲームをやり込んでいるヘビーゲーマーだったら、きっとそういうロジックの能力があるし、ロジックが極限まで鍛え上げられているはずだ!
 そこで川上は、廃人ゲーマーたちを会社に引き入れ、彼らにプログラムの開発をやらせてみることにしたのだった。


■ケータイゲーム「釣りバカ気分」誕生

 清水の考えた釣りゲームは、このメールを使った会話システムを生かしたものだ。画面上で釣り糸を垂らしておく。数分待つと、魚がかかったことを知らせるメールが送られてくる。ケータイのバイブレーションで「魚が釣れた!」と知らせてくれるというわけだ。あとは竿をうまく引いて魚を釣り上げる。
「メールでユーザーに情報をプッシュするのがおもしろい。数分で決着がつくから釣りの方が短期決戦でおもしろいんじゃないかな」
 そう夏野は指摘した。


■「37番目の着メロメーカー」としての戦略「いろメロミックス」

●きわめつけの高音質

 2人が徹底的にこだわったのは、音質だった。それまでの着メロはカラオケ業界からの参戦が多く、カラオケのMIDIをそのまま流用しているケースが多かった。カラオケのMIDIからケータイの各機種ごとにコンバートするだけなので、作業に手間はかからない。だから低コストで高い収益を得ることができていたのだが、しかし音はチープだった。
 だったらそれを逆手にとって、いろメロミックスではきわめつけの高音質で勝負しよう。


●700曲で「総合着メロサイト」?

そこで思い切ってJ-POP中心、さらには直近半年間のヒット曲だけにラインナップを絞ることにした。洋楽は完全に捨ててしまい、700曲の中にわずか1曲だけ。
 さらにヒット曲の中でも、メインタイトルは浜崎あゆみとDragon Ashに絞った。この2組のアーチストだけは他のどの着メロサイトよりも多くの楽曲をそろえて、この結果、浜崎あゆみとDragon Ashだけで楽曲数は150曲にまでなった。(中略)

 でもこれはものすごいマーケティング効果をもたらした。いろメロミックスをスタートさせてみると、
「こんなに曲数が少ない着メロサイトは初めてだ」
 というクレームも少なくなかったが、それ以上に、
「こんなに曲が充実している着メロサイトは初めてだ」
 という感想が圧倒的な数で返ってきたのである。


■いろメロミックスの広告を「魔法のiらんど」に出して成功

 このサイトはスタート時から若者に人気があって、ユーザー層の8割は16〜24歳。6割は女性だった。
「いろメロミックスのターゲットと同じだ!」
 ということに川上が気づいて、魔法のiらんどにバナー広告を出すことにしたのだった。(中略)

 この時代、モバイルのウェブサイトへのアクセスの9割以上は、NTTドコモのメニューリストからくると言われていた。そんな中でいろメロミックスは総アクセス数の半分以上を魔法のiらんどからのトラフィックで稼いだ。


■着ボイスのTVCMを1か月ごとに変えていく

 タレントにテレビCMに出演してもらう場合、通常は1年が契約期間となる。しかしそれだけの期間、同じCMばかり流していては視聴者に飽きられてしまうのでは?
 川上はそう考えて、1年で契約はするものの、実際には3か月も流さずに1〜2か月でどんどんCMを変えていくという戦術を採った。(中略)

しかし実際には1か月ごとの変更どころか、テレビCMそのものを打ってくる着メロ会社さえ皆無だった。ドワンゴは完全に独走状態に入ったのである。


■着ラップの「レーベル中抜き」システム

 できあがったものを聴いてみると、恐ろしいほどの質の高さだった。ラップのボイスの向こう側では、CDの原盤とほとんど差のない音色が鳴り響いていたのである。
 CDの原盤を使用しないので、権利を持っているレーベルや原盤会社を通さないから、ドワンゴが支払う出演料と著作権使用料はそのままミュージシャンの所属事務所に丸ごと支払われる。つまりはレーベルを中抜きしてしまうことによって、ミュージシャンに十分な還元を行うというシステムになっていたのだ。


■「ニコニコ動画」発進

 とはいえまだプロトタイプだし、実装されていない機能もまだたくさんある。さらに開発を進めていって、早くリリースできるようにしよう――という方向へと話が進みそうになった時、いきなりひろゆきが言った。
「そのままパブリックリリースしたらいいんじゃないですか?」
 えっ、と驚くみんなに、ひろゆきが説明した。「ネットのサービスは不完全なままリリースして、その後少しずつ直していけばいい。そうするとユーザーも『オレが協力して直した』と錯覚しちゃうから、さらに強固なファンが付く」


【感想】

◆基本となるテーマがネットサービスゲーム、着メロなため、技術的な話はもちろん出てくるのですが、私にとっては本書は、完全な「マーケティングネタ」の本でした。

その辺、立ち位置(?)の違いもあって、冒頭の徳力さんが「読書メモ」で拾われた部分とほとんどかぶらないのが面白いところ。

とにかく出てくる戦略が机上の空論ではなく、全て実際に行われていたワケですから、非常に勉強になりました。

この辺のマーケティング的要素に関しては、当事者である川上会長の記事も非常にためになるのでご参照のこと。

くそなモデムがバカ売れした理由についても話す:はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記


◆ちなみに、上記記事のリンク先にある同じく川上会長のこの記事から一部引用。

ユーザサポートでめちゃくちゃ感謝された経験について話す:はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記

そしてサポートにかかってくる電話も急激に減り、たまにかかってきた電話も、みんな恐縮した電話ばかりになった。こんなに丁寧なマニュアルがついているのに、つかえないのは自分が悪いんだと思っているからだ。

要は、製品に対する不満を、懇切丁寧なマニュアルを後送することで押さえ込んだ、という。

そしてこちらは最近読んだ、川上会長のインタビュー記事。

「今のオンラインゲームは気に入らない」――ドワンゴの川上氏と麻生氏が語るニコ動,そしてネットサービス

例えば,回線が重いという問題は,要するに一時期までは純粋に「運営だけの問題」だったんですよね。だから,運営をしている我々に「なんとかしろ!」という苦情が集中し,解決できないことに対する不満も続出した。
 しかし,そこにプレミアム会員というサービスを提示することで,そういった問題を「ユーザーも含めた問題」に置き換えることができると。また,回線が重いことを本当に不満に思ってる人にとっては,お金を払えば解決できるという回避策も提示されたわけで,爆発しそうだった当時の不満を抑える効果があるんじゃないかって指摘が会議の中であったんです。

引用部分は、ニコニコ動画のプレミアム会員(有料会員)設置の理由について述べているところなんですが、こちらも不満の原因が「相手」ではなく「自分にもある」と導いているわけで、考え方にブレがないです。

なかなかこういう発想ができる人も少ないような。


◆なお、上記ポイントでご紹介したサービスはことごとく大ヒットを記録。

ただし、大ヒットしたが故に、あるものは真似され(「モデムの戦略」「魔法のiらんどの広告」等)、あるものは利害関係者によって潰されております(「着うた」による「着メロ」低迷等)。

もっとも、それを防ぐために、一部「参入障壁」をも検討したりしているのですが、詳細は本書にて。

今回は本が出てからある程度時間が経ったこともあり、結構書き込んじゃいましたので、これ以上は割愛させてくださいマセ。


◆なお、ドワンゴが何故「着メロ」を手がけることになったか、ですとか、「ニコニコ動画」に辿りつくまでの経緯等も本書には詳しく、まさにサブタイトルにあるように「ドワンゴ物語」だな、と。

登場する面々も、一癖も二癖もありそうな方ばかり。

そしてそのような面子が集まって対談したのがこの企画。

【終了】10/15生放送 ニコニコを作ったのは本当は誰か?

今までご報告してませんでしたが、私、時間前から待機していて、しっかり参加させて頂きましたよ。

ていうか、順番が100番台だったので、コメントしまくりでしたがw


◆折角なんでそのときキャプった画像を。

左から森さん、清水さん、KAFさん。

ニコ生1
















左から夏野さん、ひろゆき、小林さん、川上さん。

ニコ生3
















単独でキャプチャーし損ねたのですが、中央席左が司会の中野さん、右が佐々木さん。

・・・って、顔がコメントで隠れて見えません(サーセン!)。

ニコ生4
















番組にも参加された清水亮さんが「川上さん、夏野さん、ひろゆき、僕と、喋りだしたら4時間くらいはノンストップで喋り続ける強烈な役者が揃ってる」と事前に書かれてましたが、確かにこの4人喋りすぎ

それ以外の面子を全員合わせても5分も喋ってないじゃないかと言うくらい。


◆とにもかくにも、これだけ濃い面子が、会社に寝泊り(詳細は本書を)したりして、生み出したサービスの1つが「ニコニコ動画」なわけで、それが「面白くないはずがないだろう」という。←ちょっと強引w

また、ドワンゴは「ニコニコ動画」が最終ゴールではなく、これからも様々なサービスを作り続けて行くんじゃないか、と期待しております。

上記の「ニコ生」の後の清水さんの打ち上げの記事を読んで、一層そう思ったワタクシ(こぼれ話面白杉www)。

ドワンゴこぼれ話:Keep Crazy;shi3zの日記

「ノマド本」も良かったですが、本書は個人的には、佐々木俊尚さんの作品の中では一番好きですねw


今さらですが激オススメ!



【関連記事】

【スゴ本】「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」クリス・アンダーソン (著), 小林弘人(監修)(2009年12月02日)

【今夜7時】「ニコニコ動画とドワンゴを作ったのは本当はだれか!?」が楽しみな件(2009年10月15日)

【マスメディア終わりの始まり】「2011年新聞・テレビ消滅」佐々木俊尚(2009年08月15日)

【夏野節】「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」夏野 剛(2009年08月03日)

【ひろゆき節】「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」ひろゆき(西村博之)(2009年05月30日)

【必読!】「新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に」小林弘人(2009年04月16日)


【編集後記】

◆最近気になる本。


まだ読んでないのですが、あちこちで見聞きしております。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 08:30
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