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2009年09月17日

【文章術】「話は5行でまとめなさい」に学ぶ5つのポイント




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「文章を書く」機会が多い方には見逃せない1冊。

タイトルの「5行」というのは、何でも5行、というワケではなく、文章構造のお話です。

ただ、もしその手のコンテンツは類書でも見かけるからと言って、本書をスルーしたらちょっともったいないと思われ。

個人的には、本書のキモは、「書く内容」「ブラッシュアップ」の部分ではないかと。

今回はタイトルにちなんで(?)、「ピン!」と来たポイントを5つ挙げてみましたので、ご覧下さい!


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【目次】

?プロローグ

ステップ1 基本の5行を書く

ステップ2 5段落エッセイはわかりやすい

ステップ3 脳内熟成を導く5段落エッセイ・トレーニング

ステップ4 書き出しは、「仮」で書く

ステップ5 「1人ディベート」で論理を構築する

ステップ6 ストーリーを入れる

ステップ7 文章の最終チェック法

ファイナル・ステップ 脳内環境を整える


【ポイント】

■1.基本は5行のサンドイッチアプローチ

◆本書の冒頭から展開されているのが「サンドイッチ・アプローチ」

これはシンプルな文章の「3層構造」のことで、「(1)はじめに、(2)本文、(3)終わりに」から構成されています。

つまりの挟まったサンドイッチということ。


◆このうち「(2)本文」部分をサンドイッチの具に例えて、3種類のネタを入れると5行になって、美味しくできあがる、と。

 文章も同じ。言いたいことを伝えるためには、本文として3種類のネタが必要です。肉と野菜、卵にあたる部分が必要です。

かといって、3種類がどんな組み合わせでもいいわけではありません。

 良い文章は、美味しいサンドイッチをつくるのと同じなんです。具がハムとベーコンとサラミでは、美味しくありません。しかも体に悪そうです。スクランブル・エッグとオムレツと目玉焼きが全部入ったサンドイッチもしかり。野菜ばっかりのサンドイッチは、もの足りない。異なる種類の具の組み合わせが大事なんです。

長いものを書くときは、このサンドイッチ型の5文が、段落の小見出しになって文章を長くすればいいとか。

実際には5行で済ませられるとしたらメールくらいかもしれませんが、考え方としては「5行でまとめる」という趣旨には納得。

そして本書では、美味しいパン美味しい具の作り方について、以降解説されていきます。


■2.リサーチして3つのファクトを組み立てる

「本文部分」に必要なのは、「伝えたいことを裏付ける3つのファクト」

そのファクトを収集するために行うのが「リサーチ」です。

 リサーチを開始すると、いくつか使えそうなファクトに出合います。そのたびに出所とともにメモしていきます。そうこうしているうちに、脳がそろそろ書きたいな、という指令を送ってくれます。そうなったら書き始めるのです。

こういう「リサーチが楽しくなって、文章が書きたくなる状態」のことを、横江さんは「脳内熟成」と呼ばれています。


◆最近でも横江さんご自身が、『日本にオバマは生まれるか』を執筆時のリサーチで、こんな体験を。

 民主党大統領候補を決めるために、バラク・オバマとヒラリー・クリントンが戦っていたときの、ディベートの内容を読み返していました。
「ヒラリー候補をどう思いますか」という質問に対してオバマの返答に目がとまりました。
「私は、いつもいつも強い女性に囲まれ、育ちました」
「アッ」と思い、オバマの母につてリサーチを開始。思ったとおり、彼女はこの時代のフェミニストの典型です。ヒラリー・クリントンは、フェミニストのアイドルとも言える政治家。フェミニストがキーになる、と思ったときは、リサーチもインタビューも楽しくって仕方ありませんでした。

この内容については、下記エントリーにて公開済み。

ハリネズミのヒラリーと、オバマの母:日経ビジネスオンライン

私の場合、ゆっくり熟成している時間がないのが悩みかも・・・って無理にブログを毎日書かなきゃいい、って話もありますがー。


■3.「1人ディベート」で論理を構築する

「1人ディベート」とは、主張したいことに対する「賛成の理由」とともに、あらかじめ「反対の理由」も想定する手法。

基本となるのは次の8行です。

1 つかみ
2 質問
3 賛成の理由(1)
4 賛成の理由(2)
5 賛成の理由(3)
6 反対の理由(1)
7 反対の理由(2)
8 反対の理由(3)

これらを段落として膨らます際には、もちろん賛成理由部分を多めにするわけですね。


◆横江さんが1人ディベートを知ったのは、クリントン大統領にもっとも影響力のある選挙コンサルタントと言われたディック・モリス氏の主催するサイトだそう。

そのモリス氏の言葉から。

「時事問題には、必ず意味がある。新聞のストレート記事には裏の意味が書かれていないが、それを質問にすると意味が見えてくる。しかも賛成、反対の理由をそれぞれ3つ提示することで、その意味の背景がわかるんだよ」

結局、キモとなるのは「質問」

しかも「賛成と反対の理由が3つずつ書ける質問」です。

「何が言いたいのかわからない」と上司からダメ出しが入った場合、その文書のテーマを質問にしてみてください。できますか?
 できなかったら、その文章は脳内熟成に至っていない文章です。だって、筆者のあなたが何を問題として意識しているのか、わからないのですからね。


「良い質問ができたら、問題は解決できたも同じ」と言う話もありますが、まさにそれですね。

本書では、漠然とした質問をブラッシュアップした例として、「消費税に関する質問」が挙げられています。

「消費税について」と書いているうちは、漠然としている段階です。

ならばどうすれば良いか、については、本書にてご確認を。


■4.「はじめに」の部分にストーリーを入れる

◆従来、ビジネス文書においては"私"を出さずに客観的に書くことが基本でした。

しかし最近では説得力を高めるために、ストーリーという手法が使われるように。

今までは"私"の経験はご法度でしたが、最近では、企画書に"私"の経験を入れることは温かい目で受け入れられるようになったのです。体験は説得力を高めます。
 政治の世界でもしかり。バラク・オバマ大統領は生い立ちと今までの努力を政策と結びつけ、一大叙事詩とも言える壮大な選挙戦略ストーリーを掲げました。この戦略が功を奏して大統領になったと言われているほどです。

そこで、「はじめに」の部分に違和感なくストーリーを入れられれば、文章の説得力もアップ!


◆とはいえ注意点も。

 ただし、大げさにすると、子どもっぽく見られるので、"私"を入れるときには、いつも以上に本文と反論部分、そして解決策の論理を強化してください。

つまり、この手法を用いる場合は、「はじめに」以降の部分を、通常よりも一層タイトに引き締める必要があるわけですね。

これは、留意しておきたいところです。


■5.英語論文の基本構造は「A−B=C」

◆横江さんがなかなか博士論文の「はじめに」と1章がが書けずに悩んでいた際、友人から受けたアドバイスがコレ。

「A−B=C」

 Aは問題意識です。Bは先行研究、そしてCは、私の論文のテーマということです。Aは「はじめに」にあたり、1章ではA−B=Cと書くわけです。そして、その後の章でCを証明する、という手順です。

アドバイスをもらった後、テーマが似ているアメリカの大学の博士論文の目次と、はじめに(イントロダクション)と1章をチェックしてみたところ、その通りになっていたとか。

その結果、横江さんが分析した英語論文の基本構造は次のとおり。

「はじめに」では、私の問題意識を書くこと。個人的体験をもとにした私が感じる問題意識なので、とても広きにわたります。
 1章では、問題意識を「はじめに」よりは客観的に書き、先行研究を挙げます。そして、本研究で明らかにしたいことを提示します。
 2章では、証明の方法を書きます。
 そして、3章、4章、5章で説明します。
 以上を受けて6章がまとめになります。(後略)


◆このことに気がついてからの横江さんは、スイスイと論文を書き上げ、その後、その博士論文は書籍にもなったそう。

横江 公美 ¥ 2,520

「第五の権力」とも呼ばれる、アメリカのシンクタンク。その政策への影響力が絶大であることは広く知られているが、実際にどのような構造・機能を有するのか、日本ではほとんど知られていない。本書は、デジタル・ネットワーク、電子政府の登場という新しい情報環境のなかで政治情報がいかに流通するようになってきたか、また情報プロセッサーとしてのシンクタンクがその中にどのように関わり、影響を与えているのかを分析する。激動のアメリカ政治の裏側では、一体何が起こっているのか。今、ニュースの世界の背景に迫る。

もちろん、論文そのままですと読みにくいので、半年かけて書き直されたのだとか。

かなりの力作のヨカン。


【感想】

◆冒頭にも書いたように、5行とか5段落という構成からちょっと離れた部分が、私にとっては刺さりました。

まずは「リサーチ」

主張を支える「柱」をどこかしらから探してこなければなりません。

今さらかもしれませんが、本書では「何をソースにしていいか」、といった点にも言及がなされています。


◆そして、その知識がある程度たまってくると、今度は「脳内熟成」が発生。

たとえば、上記の日経ビジネスオンラインの記事では、「フェミニスト」というキーから、映画に絡めて話が展開していきます。

横江さん曰く、「それぞれの知識がつながって熟成すると、どんどんアイデアがわいてくる」のだとか。

やはりサンドイッチはが美味しくないといけないわけですね。


◆さらに忘れてはならないのが「1人ディベート」

横江さんは本業の傍ら、現在明治大学兼任講師も勤められているのですが、大学生にも1人ディベートの練習をさせ、それを使ってのレポートを課題にしているとか。

学生たちも「かなりの割合で、大学生とは思えないほどの素晴らしいレポートを提出してくる」とのことなので、文章を書くトレーニングとしては、効果的なのだと思います。

今回は割愛しましたが、本書ではいくつか具体例が掲載されていますので、気になる方はステップ5をご覧アレ。


◆ステップ6の「ストーリー」のお話については、横江さんご自身もかつて悩んだだけあって、かなりハイレベルなコンテンツだと思います。

付箋を貼った部分はかなり多かったのですが、上記ポイントで抜き出した部分でも、エッセンスが表現しきれてなかったような(スイマセン)。

一方、ステップ7の「文章のチェック法」は、ここだけで記事が1本書けるようなノウハウ集なのですが、本書のメインテーマではないので、さすがに5つのポイントには入れられず。

個人的に度肝を抜かれたのが、「文章を仕上げる前にプレゼン資料を作る」というやり方。

つまり、プレゼン資料を作ることによって、元の文章の不備に気が付くのだそう。

テラスゴス


◆私自身がビジネス文書はおろか、論文や書籍執筆とも無縁なので、こうしたテクニカルな文章本は「ふーん」で終わってしまいがちです。

・・・こ、このブログのことは置いといて(大汗)。

ただし、「1人ディベート」と、それが成立しうるような「質問の作り方」は実践してみたいところ。

もちろん、普通に文章を書く必要のある方なら、参考になる点がたくさんあると思います。


タイトルに釣られて(?)ラッキーだった1冊!



【関連記事】

【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝(2009年09月02日)

【ロジカルライティング】「仕事ができる人の論理的に考え、書く技術」小野田博一(2009年06月24日)

【ハーバード流】『読み手志向の「書く技術」で成果をつかみ取る』デボラ・デュメーヌ(2008年05月05日)

【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)

『「物語力」で人を動かせ!』 平野日出木 (著)(2006年03月18日)


【編集後記】

◆実は、今回ご紹介した横江さんのご本としては、私はこちらを読んでおりました。

横江 公美 ¥ 1,575

かなり実践的であるが故に、逆に男性にはあまり使いようがないので、ブログではご紹介しませんでした。

ただ、この本の中のキャリアファッションのドレスコードの話は全然知らなかったので、かなり「目からウロコ」だった記憶がw


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