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2009年08月15日

【マスメディア終わりの始まり】「2011年新聞・テレビ消滅」佐々木俊尚




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先月既に出ていた、佐々木俊尚さんの最新作。

同時期に発売されていた「ノマド本」が良かったせいか、ついつい後回しにしていたらもうお盆でございます。

アマゾンの内容紹介が簡潔にまとまっていたので引用。

部数減と広告収入の激減が、新聞とテレビを襲う。ネット時代がもたらす構造的変化についていけないマスメディアの経営陣。加えて情報通信法施行と地デジ化がとどめを刺す。

マスメディア並びに広告関係の方なら、必読です。

・・・って、とっくに読まれてたらスイマセン!


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【目次】

第1章 マスの時代は終わった
 「マス」の消滅
 「大衆」から「少衆・分衆」へ ほか

第2章 新聞の敗戦
 ミドルメディアで情報大爆発
 広告業界はテクノロジー化する ほか

第3章 さあ、次はテレビの番だ
 開局以来の赤字転落
 完全地デジ化と情報通信法 ほか

第4章 プラットフォーム戦争が幕を開ける
 グーグルは敵だったか
 ネットユーザーを唖然とさせた毎日新聞 ほか


【ポイント】

■TBS役員田村冬彦氏の「コンテンツ産業論」での発言から

「『一億総白痴化』『テレビはバカが見るものだ』と言われてきましたが、私はテレビを『バカが見るものではなく、人がバカになりたいときに見るもの』だと思います。あまり一生懸命でいたくないときに必要なのがテレビで、そういった人間の気分がなくならない限りテレビは存在します。したがって深い意味の無い、人々の記憶や心に残らない番組を作ることこそが『テレビ屋』としての誇りだと思います」


■とある全国紙の新聞社の幹部のジャーナリズム講座での発言

「ネットの時代だろうがそんなことは関係なく、皆さんはどんなニュースを読むべきかというような情報取捨選択能力は持っていません。どの情報を読むべきかということを判断できないのです。だからわれわれが皆さんに、どの記事を読むべきかを教えてあげるんですよ。これこそが新聞の意味です」


■コンテナを制す者こそ世界を制す

簡潔にまとめればこういうことだ――新聞記事や番組コンテンツに触れるメディアのプラットフォーム(基盤)が構造変化を起こしているのである。
 垂直統合がバラバラに分解して、新聞社やテレビ局は、単なるコンテンツ提供事業者でしかなくなった。パワーはコンテナを握っている者の側に移りつつあるのだ。


■ある広告代理店幹部の話

「広告の効果を徹底的に測定していこうということになり、マスメディアとインターネットの広告効果をそれぞれ測定したら、その会社の商品に関してはテレビの広告は実はほとんど効果がなかったという結果が出てしまったことがある。その結果をクライアントの宣伝部長に持って行ったら、『その調査はなかったことにしてくれないか』といきなり言われたので驚いた。効果が実際に測定されてしまうと、実はマスメディアの効果なんて幻想でしかなかったことがばれてしまう。それが怖かったんだろう」


■大手広告企業の中堅幹部の話

「大手スポンサーは広告発注の際、必ずネットの効果測定を一緒に盛り込むことを求めてくる。ところが従来、広告企業の営業担当者の側はネットにあまり詳しくなく、そうした要請に対応しきれないことが少なからずあった。スポンサーの担当者との間で、ネットに関して会話について行けないという情けない事態も少なくなかった。そこでいまや広告企業の側は、営業担当のネットリテラシーをどう高めていくのかが最大の課題となっている」


■総合週刊誌は生き残れるか

 極論を承知で言い切ってしまえば、いまの20代から30代の若い読者は「カネと女と権力」なんて読み物はあまり望んでいない。彼らが求めているのは、「これからどうやってこの社会を生き延びていくのか」といった自分の生活にもっと寄り添った具体的な情報だ。


■「R25」が成功した理由

 M1層の消費者から見ると、旧来の新聞や総合週刊誌の情報には次のような欠点がある。
「マス向けでしかなく、おまけに有料。自分に不要な記事もたくさん載っていてムダが多い」
 これに対してR25は、次のようなメリットを持っている。
「自分たちに最適化された記事ばかり載っていて、おまけに無料」
 この「ターゲティングされていて無料」ということこそがR25の本質なのである。


■Shufoo!の電子チラシのスゴイ仕組み

 Shufoo!の画面では、チラシは縮小表示されている。「今日は肉は安いかな」「洗剤の値段はどうなっているんだろう」と自分が興味のある部分をクリックすると、画像が拡大される仕組みだ。(中略)
 実は「利用者がチラシのどの部分をクリックしたのか」という動作が記録されて、集計されているのである。チラシを配布したスーパーの側は、
「今日は肉の特売の部分がたくさんクリックされた」
 といったことを後から調べることができるようになっているのだ!

(実例:UNIQLO DIGITAL CHIRASHI)




■マスメディアではなくなってしまう電子新聞

 先に書いたように電子新聞は、大きな部数を期待できない。
 おまけに有料の電子新聞は閉鎖的な世界で、先ほどの日経産業新聞モバイルのサービスにもあるように、記事を引用したりコピーアンドペーストしたりされないように制限するケースが多い。(中略)

 すなわちそれはネット論壇上で存在を示せなくなってしまうということであり、メディアパワーが著しく低下してしまうのだ。
 会員数最大10万人の少数の読者を相手に、しかも外部に反響を与えない記事を発信するメディア。
 それがマスメディア?
 いや、マスメディアではない。高級なエリート向けのメディアにはなれるかもしれないが、それは決してマスメディアではない。


【感想】

◆ここまでで大体第2章の終わり。

いつもと同じ感覚で最初から抜き出していったら、本書のメインコンテンツであるテレビについて、ほとんど触れずじまいで終わってしまいました(サーセン)。

いや、付箋貼りすぎってわかってたんで、ある程度飛ばせば良かったんですが、結構マスメディアの方の「トンデモ発言」が面白くて。

まさに「ゆでガエル現象」(?)のような。


◆テレビの衰退に関しては、タイトルにある「2011年」「地デジ化」によって、テレビを観なくなる人が多くなるからなのか、と安易に予想しましたが、話はそれほど単純でもなく。

例えば本書によると、区域外再送信の停止によって、長野では2015年以降は地元ローカル局しか見られなくなるそう(詳しくはリンク先か本書を)。

また、2010年に国会提出、2011年に施行が予想される情報通信法案がそのまま通れば、テレビ局のビジネスモデルの維持は、かなり困難になるかと。

本書からその件についてまとめた部分を引用します。

つまりコンテンツとコンテナとコンベヤの3層すべてを握っていたテレビ局の権益を思い切ってバラバラにしてしまい、コンテンツを作る側とそのコンテンツを流す部分を分離してしまおうという考え方なのである。この法律が施行されれば、テレビ局がどう文句を言おうが、コンテンツは電波からでもインターネットからでも、あらゆる伝送路を通って自由に流通できるようになる。つまりはテレビのコンテンツがオープン化されてしまうのだ。


◆こうなることは以前からわかっていたところに、昨今の経済情勢に伴い、スポンサーの広告費削減。

TBS、最終赤字に転落へ CM収入低迷、視聴率底上げへ:ITmedia News

うーん、視聴率上げたとしても、結局は小さくなったパイの奪い合いのような。

結局、民放テレビ局の場合、有料放送ではなく広告モデルのため、スポンサーがつかなかったらどうしょうもないです。

もちろん、映画やったり、イベントやったり、というのもありますが、安定した収益ではないですし。


◆かといって、番組のコンテンツを切り売りしようにも、アメリカの人気テレビドラマのようなクオリティの高いものは、それほどないわけで。

何たってアチラは、その多くがハリウッド制作

もっともそれは米国政府の政策(「夜のゴールデンタイムの番組のうち、1/4は自社以外が制作したものを放送する」「下請け会社の作った番組を自分の所有物にしない」)ゆえだった、というのは本書を読むまで知りませんでした。

おかげで米国ではコンテンツを握ったハリウッドが、地上波テレビ局以外にも、ケーブルTVや衛星放送に番組コンテンツを販売しており、必ずしも地上波テレビ局が強いわけではないそう。

日本とは偉い違いです。


◆ブログを始めてからの出版社関係のお知り合いもさることながら、ゼミ時代の同期や先輩にマスコミ関係者が多い私にしてみれば、本書は読んでいて複雑な想いにかられた1冊でした。

特に大手は、なかなか動きにくいだろうな、と。

マスコミ関係者のの皆さん(に限りません)が、どれくらいシリアスに考えているかわかりませんが、上記のようなトンデモ発言をしないためにも、本書は、一応は読んでおくべきではないでしょうか?

たとえ、類書やネット等のニュースで断片的に見聞きした内容であったとしても、こうして1冊にまとまっていると、非常に有難かったです。


マスメディアの「現在」と「未来」を知るために!


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「新聞がなくなる日」歌川令三(著)(2006年08月24日)


【編集後記】

◆昨日のお買い物。

道をひらく考え方
PHP研究所
PHP総合研究所(編集)
発売日:2009-08-08

私らしくなく(?)松下幸之助先生の講話集を。

CD付きというか、CDがメインなのかも。


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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何とも衝撃的なタイトルである。 今まで慣れ親しんできたテレビが 本当に消滅してしまうのだろうか。 そう思う一方で、いつの間にかほとんど テレビを観なくなっている自分がいる… この本は何も既存のメディアが倒壊していくのを 喜んでいるわけではない。 ....
『2011年新聞・テレビ消滅』佐々木俊尚・著|ある意味マスメディア救済の書【23:30の雑記帳】at 2010年05月16日 14:35