スポンサーリンク

2009年04月08日

【発想】「もったいない主義」小山薫堂




【本の概要】

◆今日ご紹介するのも、先日の本田直之さんの講演会で、オススメ本として紹介された1冊。

当ブログとしては、鬼門(?)ともいえる、アイデア系のコンテンツです。

ただし、その中身はすこぶる美味

「企画」というのは、こういう発想を持ってやるべきなのか、と唸らされました。

読むだけでも新たな視点が手に入りそうなヨカン!!




【目次】

プロローグ 「受付しかしない受付嬢」はもったいない

 うちの会社の受付はパン屋です
 オフィスに外の空気が伝わってくる
 「なんとなく異質」な存在は大事

第1章 企画って何だろう?

 みんなが絶対食べたくなるカレーの秘密
 「鈴木さんしか買えないカレー」販売計画
 東北芸術工科大学教授への牛肉偽装事件 ほか

第2章 ネガティブ・スイッチを切り替える

 断水に怒るのはもったいない
 ホテルオークラでのミートソース事件
 「割れたバカラのアンティークグラス」事件 ほか

第3章 小山薫堂式アイデアのつくり方

 話題づくりに効果的な「委員会方式」
 社内吊り広告と友人へのサプライズをドッキング
 慶應に入るよりも難しい学生会館 ほか

第4章 幸せの閾値を下げる

 「もったいない」から生まれたヒット商品
 欲望をつのらせると人は不幸になる
 発想マゾ、アイデアマゾになろう ほか

エピローグ 地下鉄日比谷線で出会った二人の話

 僕の記事を切り抜いて読んでいた彼女
 「どこでもドア」を開けなかった彼
 見えている種を拾わないのはもったいない


【ポイント】

■人生には良質なムダが必要だ

 僕は、学生たちにとって企画構想学科で過ごす4年間が、人体における「関節」のような時間になってくれるといいなと思っています。骨と骨が関節でつながっているように、いままでの人生とここからの人生をつないでいく時間。そのためにも、「良質なムダ」の4年間をつくってあげたいと思うのです。


■どれだけ感情移入してもらえるかで価値が決まる

 米沢牛だと聞いてから食べると「おいしいに違いない」と思ってしまうのは、米沢牛のブランドの力です。先ほども言ったように、つまりブランドとはあらかじめ刷り込まれた価値への感情移入なのです。(中略)

自分たちが世の中に送り出すものに対して、どれだけ価値を刷り込んで、どれだけ感情移入してもらうか。その方法を考えることが「企画」なのです。


■テレビは一夜の恋、映画は夫婦の愛

 テレビは、瞬間、瞬間の面白さを大事にするメディアです。分計というものがあって、1分間ごとの視聴率が出る。数字にはどうしても左右されてしまうので、番組作りの姿勢も、「いかにチャンネルを変えられずにすむか」ということが最大の目的になってしまいます。いってみれば、目先の恋愛のようなものです。(中略)

 そこで映画の脚本を書くことになって、僕がまず考えたのは、一夜の恋ではなく、何年もかけて関係を築く夫婦の愛のように書きたいな、ということでした。夫と妻が寄り添い、人生の最後、お互い死ぬときに、「ああ、結婚してよかった」と思うような、全体的な後味のよさを大切にしようと考えました。


■無尽蔵の発想を支える能力、COPS

 羽根(拓也)さんの分析によれば、僕はいつも外から入ってくる断片的で一見価値のない情報を、即座に価値のある情報に変えてしまう錬金術的発想法をしているそうです。そしていろいろな質問に答えていった結果、COPS(コップス)という能力に優れているということがわかりました。(中略)

 僕の脳は何かをキャッチしたいという欲求が普通の人よりとても強くて、情報をさらにたくさんつかもうと思っているから、常に外に対してアンテナを立てている。自分の中に、「これ、面白い」と思っているものがたくさんあるから、いろいろな情報が来たとき瞬時に、「これとこれがくっついたら面白い」と引き合わせる作業を無意識のうちにしているのだそうです。


■異質なものを組み合わせて新しい価値を創る

 たとえばハーゲンダッツがキャンペーンをやるとします。六本木ヒルズのイベントスペースを3日間1000万円で借りるよりは、同じ1000万円で1ヵ月間飛行機を貸し切りにしたほうが、話題性としては大きいはずです。(中略)

 グルメエアラインぐらいなら、思いつく人はほかにもたくさんいるかもしれません。でもそこで、何か意味やストーリーを持たせて、食の自給率とか企業のタイアップまで発展させられることが、僕の強みではないかと思っています。


■「お節介なお見合いババア」的発送法

愛し合っている二人が結婚しても、みんな「よかったね、お幸せにね」と言うに決まっているからつまらない。僕は「こいつら、どう考えても合わないんじゃないの?」という二人を見つけてきて、「こいつとあの子を結婚させたら、すごく面白いんじゃない?」といってお見合いさせてしまう。その結果二人が結婚することが一つの話題性になり、相反すると思っていた二人が、実は結婚したことによってつながって、またここから新たなステップに上がっていくというようなイメージです。僕はそういう二人を、常に探しているのかもしれません。


■伝えるためだけにお金を使うのはもったいない

 僕にはどうしても、伝えるためだけにお金を使うのはもったいないと思ってしまうところがあります。お金をかけなくても、みんながあっと驚くような面白いことをやったら、それだけで人は自然に集まるものです。(中略)

 いまある予算でどれだけ広告を打てるかというのは単なる足し算引き算の世界。真ん中に落としたら、掛け算みたいに相乗効果でいろいろなものが絡まって広がっていく、というイメージです。


■清潔で上質な日常は確実に幸せになるコツ

 清潔ということは、気持ちよさの大きな要素だと思います。(中略)

 それから上質な日常品を使うのは、確実に幸せになるコツです。(中略)

 タオルも「ああ、このタオル好き」と思いながら使うのと、普通に手をふくのとでは全然違う。いかに無意識の行動の中に幸せを見出すかによって、日常の幸せの厚みが変わってくる。


■もったいないのガラクタ箱にストックしておく

成功することにも、失敗することにも、必ず未来へ向かうための理由があると僕は思っています。日常の小さな失敗を"無意識のごみ箱"に捨ててしまうのではなく、"もったいないのガラクタ箱"にストックしておくことが大切なのです。


【感想】

◆久しぶりに、アイデア系の本でヤラレました。

今回、ご本を買って読まれる方の楽しみを奪わないように、上記のポイントではあらゆる具体例をカットしております。

読めばきっと「そう来るか!」「そんなの考えつかないよ」「げげ!それはスゴイ」といった感想が漏れることウケアイ。

ほぼ全ての事例が「ネタ」なので、紹介したくても、出来ません!


◆そもそも、目次に出ている小見出しだけでも、面白そうなのが揃っているじゃないですか。

「みんなが絶対食べたくなるカレーの秘密」
「東北芸術工科大学教授への牛肉偽装事件」
「「割れたバカラのアンティークグラス」事件」

などなど。

それ以外にも
「「婚活ドットコム」プロジェクトで伴侶を探せ!」
「「ホメドライブ」「ホメール」「ホメ玉」プロジェクト」
「もし僕が航空会社を経営することになったら」

なんて面白そうなものが、目白押し。

ちなみに私は、ザーッと目次を見て、「婚活ドットコム」を一番最初にチェックしましたが、何かw?


◆実際に具体的なネタの中身を挙げないと、なかなか本書の面白さが伝わりにくいのですが、小山さんの場合、上記の「お節介なお見合いババア」のくだりにもあるように、常識的な「企画の枠」からは、ちょっと外れたところに、その鋭さが感じられました。

しかも、多くのネタに即、スポンサーが付きそうなイキオイ。

というか、実現させるために必要なおカネを引っ張ってくるように、自然と発想がなされているよう。

この辺が、「ただ思いつくだけの人」と、「実際にやってしまう人」の違いなのかもしれません。


◆そう言えば、本書を読んでいて、かつてネットで話題になった、任天堂の宮本茂さんの発想法の記事を思い出しました。

アイデアというのはなにか?:HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

ここにある、「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」という宮本さんの考え方に、小山さんも近いような。

この「ほぼ日」のエントリはちょっと長いですけど、大変ためになるので、是非お読み下さい。


◆なお、初脚本作品である、映画『おくりびと』の裏話もいくつか収録されているので、映画をご覧になっている方は、その分、余計に楽しめるかと。

おくりびと [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2009-03-18
おすすめ度:4.5

そして、この脚本を書き上げるのに、小山さんは勉強したり教わったりすることもなく、唯一お手本としたのが、この本だとか。

「お葬式」日記
文芸春秋
発売日:1985-02
おすすめ度:5.0


◆本書は、企画やPR等に携わる方にはもちろん「激プッシュ」です。

ただ、そもそも「企画」とは、大掛かりなイベントやプロジェクトだけではありません。

もっと身近な例でいうなら、「今度の日曜日、せっかくの休みなんだから何かしよう」と考えるのも企画です。(中略)

 企画を考えたり実施したりするチャンスは日常の中にたくさんある。そこに気づくか気づかないかで、人生の楽しさは大いに変わってくると思います。

そう、私たち一人ひとりが、その気になれば、毎日「企画を立てられる」わけです。

なのに、本書を関係ない、と言ってスルーするのが、一番「もったいない」ことかと。


面白くてタメになる、オススメの1冊です!



【関連記事】

「考えないヒント」小山薫堂(2006年12月05日)

【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)

【アイデア】『「考え方」の考え方』指南役(2008年10月30日)

【スゴ本!】「広告コピーってこう書くんだ!読本」谷山雅計(2008年01月15日)

「IDEA HACKS!」原尻淳一 ・小山龍介(著)(2006年07月29日)


【編集後記】

先日の編集後記で記事にしたこちらの本が、現在バカ売れ中だそう。

リア充宣言
遊タイム出版
発売日:2009-04

なんとITmedia Newsでも記事になっていました。

「ATフィールド解除から始めよう」“リア充指南書”が秋葉原で人気:ITmedia News

一応、「モテ本マニア」(←いつから?)としては、アマゾンアタックすることにしますた。

果たしてどうなることか・・・?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「アイデア・発想・創造」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
Posted by smoothfoxxx at 08:45
Comments(6)TrackBack(0)アイデア・発想・創造このエントリーを含むはてなブックマークYahoo!ブックマークに登録BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

スポンサーリンク




この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/51644407
この記事へのコメント
smoothさんこんにちは!
アイデアとか物事を発想するのって、先天的な才能があるか、ない場合はコツがいるというか、とっても難しいですよね〜。私は子どもの頃絵を書くとき、「○○を描きましょう」となれば上手く描けるけど、「何でも良いから好きな絵を描きましょう」と言われると固まってました。
確かに「不景気だからアイデアが湧いてくる」ってその通りですね。追い詰められないと工夫しないのが人間の性というか。この本を読んで、今なら私も良いアイデアを生み出せそう!
ポチッとな〜させて頂きます!
Posted by 二代目 at 2009年04月08日 10:39
smoothさん、マルコム・グラッドウェルの成功する人々の法則のプルーフが今日送られてきました♪
読むのが楽しみです。
書評を書くのですよね?
しっかり読んでちゃんと書評書きます!
いい情報をありがとうございました!
Posted by イヴォンヌ at 2009年04月08日 19:59
>二代目さん

アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
この本、実はかなりスゴ本なのですが、ジャンル的にアイデア本って、いつも反応があまりよろしくないんですよね。

二代目さんは、雇われる側じゃないのですから、こういう感覚を身に付けておくと、良いのではないでしょうか?
思考停止とは真逆の習慣が身につきそうなご本です!

>イヴォンヌさん

お!いよいよ届きましたか!
書き方の注意点をご確認の上、よろしくお願いしま〜す!

でも繰り返しますけど、イヴォンヌさんは、原書で全部読まれた方が(爆)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年04月09日 02:30
いやぁsmoothさん、この本はスラスラ読める良書ですね。

本田さんが推すのも納得です。


着眼点という発想1つでこんなにもモノの見方が変わるんだなぁと思いました。


もったいないとは何を指すのか、それに今まで気がつかなかった事がもったいないです(笑)
Posted by とっしー at 2009年04月09日 11:54
ご紹介ありがとうございます!
本田さんやsmoothさんのおかげで、薫堂さんのスゴさを知ってくださるかたが増えて、とてもうれしいです。
Posted by kogita at 2009年04月10日 07:31
>とっしーさん

お!もうお読みでしたか。
ホント、この本、読みやすいのですけどコクがあるというか、私なんかとは次元の違うアタマの中身を感じましたね〜。
小山さんには今後も期待です!

>kogitaさん

あれ?この本もkogitaさんが担当されたんですか?
もしそうなら、ありがとうございました(笑)。
小山さん、スゴスギますって、マジで。
機会があったら、よろしくお伝え下さいませ。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年04月11日 03:06