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2008年11月19日

【コンサル的知的生産術】「スパークする思考 右脳発想の独創力」内田和成


スパークする思考  右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21 C 158)
角川グループパブリッシング
発売日:2008-11-10
おすすめ度:5.0


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、新書ながらも奥が深い1冊。

著者の内田和成さんは、「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」のヒットで知られるコンサルタントさんです。

本書の「はじめに」で内田先生曰く

 本書のテーマは、「日ごろの私生活で自然と行っているクリエイティブな発想や行動をなぜ仕事では行わないのか?」というもの

だそう。

「ネタ」は探しているものの、仕事には結びつかない私にはピッタリなのかも(汗)?


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【目次】

はじめに 日常を仕事に打ち込むだけで、発想力は向上する

第一章 問題意識がスパークを生む
 スパークとは
 「異業種格闘技」のきっかけはテレビ
 問題意識が発想の連鎖を生む ほか

第二章 アナログ発想で情報を集める
 情報は整理するな、覚えるな
 自分だけの情報にこそ、価値がある
 ユニークなアイデアを生むための情報 ほか

第三章 情報は放っておいて熟成させる
 20の引き出し 
 オフト監督の牛
 自由自在なバーチャル引き出し ほか

第四章 アイデアを生み育てるアナログ思考
 なぜアナログがデジタルに勝るのか
 キャプテンの唇
 並列列挙 ほか

第五章 創造力を高める右脳発想
 右脳と左脳の連鎖がアイデアを生む
 スパークを生むメカニズム
 「あいつに聞いてみよう」人材を目指す ほか

エピローグ 生活者視点があなたをクリエイティブにする
 作業を仕事と勘違いしていませんか
 生活者として働き、ビジネスパーソンとして生活する
 そっと忍ばせた一万円から発想できる大ネタもある


【ポイント】

・本書における「異業種格闘技」とは、ビジネスの世界で、その業界で常識とされていたルールを無視して、新たな戦いを仕掛ける企業が現れている現状のこと

例:

●有料が常識だった雑誌業界で成功したリクルートの「R25」と既存雑誌の戦い」

Wii Fit

 彼女は、フィットネスクラブに通うことは長続きしないが、Wii Fitなら家で簡単にできるので続けることができるという。自分のBMI指数を計算してくれるし、記録もつけてくれる。トレーナーが見本を見せてくれるし、メニューも豊富だ。つまり、フィットネスクラブやスポーツクラブは知らぬ間に、Wii Fitに異業種格闘技を挑まれていたことになるのだ。また、WiiもWii Fitも、その意味ではPS3もそうだが、テレビ画面を独占するので、テレビ放送とも競合になる。視聴率を下げる大きな要因の1つには、こうしたゲーム機の普及もあるということがわかる。


・「顧客志向の自動車泥棒」の話

 →街中の駐車場に停めてあるクルマの中から人気のありそうなクルマのリストを作り、潜在顧客のところに行って「どれが欲しいか」尋ねる

 →あらかじめ買い主を探してから盗むので、顧客は自分の希望通りのクルマが手に入る

 →盗んでから売り先を探すと、売りたがっているという情報が広まって、警察に届いてしまっていたが、この方法なら大丈夫(もちろん犯罪です!)

・情報はアナログに集めて、しかも集めた情報は「整理しない」「覚えない」というのが、長続きして、しかも情報を効率よく活用するための近道

・インターネットを使った「検索」という行為は、最初にキーワードを入れるので、そのキーワード以外に発想が広がりにくいという欠点を持つ

・情報収集で大事なことは「常に問題意識を持つ」ということで、いったん持ったらたとえ忘れてしまっても、脳のどこかに潜在意識として残っている

これまでと同じように生活し、働いていたとしても、問題意識さえあれば、関連する情報に接すると、脳が自然に引っかかってくれて、自分のデータベースと勝手に化学反応を起こしてくれる。そのまま前を通り過ぎることができずに立ち止まる。ただボーッとやり過ごすことができずに引っかかる。それだけの違いだが、これが大きい。

・問題意識があれば、何となく引っかかるし、逆に引っかからないものは流していってよい

・頭の中でチェックし、脳に「レ点」をつける「インデクシング」という行為が、後々情報を活用しようとするときに決定的な役割を果たす

 読んでいる本や雑誌がおもしろければ、まずは該当箇所に線を引く。ボールペンでもサインペンでも黒でも赤でも何でもいい。とにかく手絵を動かすことと、視覚に訴えることである。その後は、何もしないし、忘れても良い。(中略)
そういうことを行ったという行為そのものが、頭の中のインデクシングにつながるわけだ。

・頭の中に、「バーチャルの引き出し」を作り、その引き出しの中にそれぞれ関連するネタ(情報)を格納しておく(頭の中の「仮想データベース」)

例:「パラダイムシフト」のネタにある「恐竜の絶滅は隕石の衝突」の話


 →以前は、「恐竜は地球の環境変化に適応できなくて、徐々に絶滅した」と信じられていたが、物理学者のルイス・アルヴァレズの「巨大隕石の衝突によるもの」というのが現在の定説

専門家であればあるほど、自分たちの持っている既存の知識や常識にとらわれて、新しい考え方を受け入れるのが難しい。とりわけ新しい説を提唱するのが門外漢の場合には、既存のエスタブリッシュメントは拒絶反応を起こす可能性が高いということだ。

(出典)

パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法
日経BP出版センター
Joel Arhtur Barker(原著)仁平 和夫(翻訳)
発売日:1995-04
おすすめ度:5.0

・初心者は「引き出し×ネタ」を「2×2」くらいから始めるとよい

・情報の各過程(「収集」「分析・加工」「発信」)において、最低限どこかの段階だけはアナログの手法でやるのがよく、特に「収集」をアナログに行うのが一番よい

 第一の理由は、前述したように、アナログであればあるほど、その情報は独自情報性を高めるからだ。(中略)
 第二の理由は、前述したように、検索のための短いキーワードによるネット検索では、思考がスパークしにくいということだ。

・コンサルタントをはじめ、ビジネス分野でプロフェッショナルと呼ばれる人たちは、デジタルツールも十分に活用するものの、できるだけアナログの手法を駆使することによって、元々の情報が独自情報でないとしても、その情報に大きな付加価値をつけている

・アイデアが荒削りの段階では、誰でもいいのでそのアイデアをぶつけて「反応」や「受け」を確認し、ディスカッションやスパークを試みる(「他人をリトマス試験紙に使え」)

・初期の段階では、インデックスも、紐付けもほどほどにして、発想をひろげ、情報を自由に遊ばせる

・「ひらめく」ための方法論(抜粋):


 →頭の中や、必要に応じて、袋ファイルやバインダーもサーチする

 →考えが行き詰ったら「しゃべる」「書く」「歩き回る」

 →「視点を変えて繰り返す」

・自分のスパークしやすい「環境」「場所」「条件」を知っておくこと

 →今年のノーベル物理学賞を受賞した益川さんは、風呂に入っていた時に、6つのクォークモデルを思いついたそう

 

【感想】

◆実はワタクシ、内田先生の「仮説思考」を読んでおりません。

サブタイトルにある「BCG流」って文字だけで、もうビビリまくり(汗)。

それに比べると本書はすこぶる読みやすいと言えます(って、「仮説思考」読んでないのですが(笑))。


◆特に本書に数多く出てくる「ネタ」が秀逸!

コンサルタントさんが、クライアントに話をする際に用いるようなネタですから、そのクオリティも保証付きです。

それらの「ネタ」は興味を引きやすいタイトルがつけられおり、いくつか抜粋してみるとこんな感じ。

「リーダーシップ」の引き出しより

「オフト監督の牛」
「NYのスターバックス」
「社長の時間の使い方」・・・


「パラダイムシフト」の引き出しより

「NOVA対ベルリッツ」
「1日に何回冷蔵庫を開けますか」
「エアバッグの発明者」・・・


・・・コレなんか、どこかで見たことのあるタイトルのような(笑)。



◆個人的にはこういう「ネタ」だけで1冊の本にして頂いてもいいくらい(笑)。

何たって、本を読んでいるときの「やられた感」というのは、読書の醍醐味ですから。

本書でもいくつか「やられた」ネタがあったので、後から読まれる方はお楽しみに(笑)。


◆ちなみに、過去私が読んだ本の中で、「やられた感」が強かったのがこちら。


(参考記事:【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)【マインドマップ付き】

シーマンの「音声認識技術」の話ですとか、「週刊住宅情報」の「システム」の話ですとか、読んだ当時は頭を「ガツン」と殴られたような気がしました。

ただ今、悲しいくらい安値放出中なので、読んでない人は必読で!


◆また、「情報収集をアナログで」というのは、現代のようなネット社会ならでは。

私の一次情報といえば、たいていが「セミナー」とか、「会談」だったりします。

そして土井さんのセミナーで「本のネタ」を仕入れて、ブログで「土井英司イチオシ」と紹介すると、本がよく売れるわけですね(アサマシ(爆))。

というか、ホントに「ヤバいネタ」は、それはそれで「オフレコ」だったりするので、「収集」するだけで、「発信」は不可能なんですが(涙)。


◆今まで書籍を初めとして、テレビ、雑誌、ネット、又は街中等の様々なシーンでネタ集めしてきた私としては、本書を読んだことによって、さらにネタに対して前向きに取り組める気がしました。

さらに集めたネタを「どういった切り口で、クライアントへの『話』としているか」まで紹介して下さっているのがありがたかったり(笑)。

これまでネタは、ブログのためだけに(ヲイ!)集めていたのですが、「なるほどこれなら、仕事にも使えるぞ」、と思ったワタクシ。

この本の存在自体が、ありがたいネタでございました(笑)。


「知的生産」のために、読んで損なし!

スパークする思考  右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21 C 158)
角川グループパブリッシング
発売日:2008-11-10
おすすめ度:5.0


【関連記事】

【知的仕事術?】「知的生産のためのすごい!仕事術」晴山陽一(2008年06月07日)

【アイデア思考法】『ビジネスマンのための「儲かる発想」』鳥井シンゴ(2008年02月27日)

【コンサルタントの視点】『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』小宮一慶(2007年10月24日)

「考えないヒント」小山薫堂(2006年12月05日)

「IDEA HACKS!」原尻淳一 ・小山龍介(著)(2006年07月29日)


【編集後記】

◆出たばかりのアソシエ。


アマゾンだとわからないのですが、サイトの方で見ると、ビジネス書の特集がある模様。

■ 2008年 読みそびれたビジネス本総まくり

仕事に役立ちそうなビジネス書が書店に並んでいても、忙しくて手に取る時間がないし、通勤電車の中だけではとても読み切れない──。
この特集はそんな読者のためにお届けする。
売り上げランキング上位のビジネス書の中から、「まだ読んでいないが、内容が気になっていて読んでみたい本」を読者に選んでもらい、その内容を一挙に公開。
10分で要点をつかみ、本当に読むべき本を見つけよう。

これは一応要チェックかと。

これから年末に向けて、各媒体で今年のビジネス書のまとめ記事があるので、ウォッチしてかないといけませんね。


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この記事へのコメント
               
毎度返信ありがとうございます。
知識を吸収するに当たって具体的にどんな知識を得ればよろしいでしょうか?
Posted by Ω at 2008年11月19日 21:04
               
こんにちは、オーディオブックFeBeの細川です。
アソシエの特集、情報を得て早速私も見てまいりました。
オーディオブック化されているものも何点か。全制覇、したいです・・・皆さんの積ん読解決の一端を担いたいので!
smoothさまは既に全て読まれていたりするのでしょうか・・・!?

なお、FeBeブログ右サイドバーの「リンク集」に追加をさせていただきました。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
Posted by FeBe*細川 at 2008年11月21日 11:38
               
>Ωさん

おっと、レス遅れ。
んとー、知識に関しては諸説ありますが、IT、英語、会計(金融)、マーケティングあたりを、インフラとしてある程度整備して、そこから後はご自分のやりたいことや、向かわれる業界と関係するもので攻めていけばいいのではないでしょうか?

>細川さん

アソシエの特集、あれって列挙されてる本が「気になって読んでない本」ですよね〜。
干場さんも書いてますけど、要は「未読」じゃないか、っていう(笑)。
確かにあそこにあるものを音声化する、というのはいいアイデアかも。
私は・・・。読んでいて記事にしていなかったら、それはそれで問題なものもあるので、ノーコメントで(汗)。

それとリンクありがとうございました。
光栄でございます。
当方でも善処いたしますので、今しばらくお待ちを。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年11月22日 10:33