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2008年06月03日

【科学的麻雀】「科学する麻雀」とつげき東北


科学する麻雀
講談社
発売日:2004-12-18
おすすめ度:4.0


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、意表をついて「麻雀」のご本。

橋本大也さんの記事を拝見して、麻雀なんて10年近くやっていないのに、発作的に(笑)アマゾンアタックしてしまいましたよ(汗)。

もし私が麻雀現役だった学生時代にこの本を読んでいたら、こういう紹介文章なんて絶対に書かないで、知識を独り占めにしていたと思う。この本を読む前と後では、麻雀の強さが数パーセントは確実にアップしたんじゃないかと感じている。

・・・橋本さんにここまで書かれたら、買うっきゃないじゃないですかー(笑)。


◆しかも私も、今回の記事を書くに当たって、適切なカテゴリがなかったので、新設したという気合の入れようでございます(笑)。

  カテゴリ:「レジャー」

ただし、本書において基本的なルール等の説明は、一切記載されていないので、麻雀経験者の方のみご覧下さいマセ。

「インターネット麻雀」が生まれたからこそ可能となった、膨大なデータ分析の結果がここに!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【目次】

序章 なぜ彼らは曖昧なのか
 「答え」を用意しない麻雀界
 間違っていた常識

第1章 データが麻雀を理性化する
 「答え」を探すための方法論
 データを比較するための理論

第2章 最強をめざす基礎理論
 文学的麻雀から数理学的麻雀へ
 麻雀を数式化する

第3章 最強の麻雀講座
 自分:テンパイ 他家:攻撃なし
 自分:イーシャンテン程度のノーテン 他家:攻撃なし ほか

第4章 麻雀の思想的側面について
 「流れ」は存在するか
 麻雀の点数計算システムはよくできているか


【ポイント】

◆本書は完全に麻雀の戦術書なので、自分として今後麻雀を打つ際に有意義と思われる情報のみ、引用してみます。

■どんな一打が正しいのか

 筆者は麻雀界が隠蔽してきたものの正体を見た。なぜ誰も「答えの出し方」を教えてくれないのかを知った。
 彼らは「わかっていたが、教えなかった」のではない。単純にわかっていなかったのだ。麻雀界はこれまでずっと、「わからない」を隠し続けてきた。それを認める代わりに「状況」「流れ」「勢い」などの曖昧なものを持ち出した結果、筆者の学生時代の友人のような自称「麻雀がわかっている人」、自称「流れが読める人」、自称「上級者」が数多く生まれてしまったのだ。


■ベタオリの重要性

 たとえば苦労して回し打ちをする技術を身につけるよりも、ベタオリの練習をした方が成績は伸びやすい。普通、すべての局のうち3〜4割程度はベタオリするのに対し、「巧妙な回し打ちをしたことが成功の要因となる」ことはほとんどないからだ。


■良形テンパイで先制リーチしていいとき

良形テンパイで先制の(つまり他家の攻撃がとくにない)場合、リーチしていけない状態はほとんどない。(中略)

麻雀戦術書では「ピンフのみはダマ」と記述しているものをよく見かけるが、リーチのみやピンフのみでもリーチである。


■良形なら手変わりは待たない

リーチすると得点はダマの場合と比較して2倍以上になるので、ダマで和了できる形に、それも高い可能性でそうなってしまう形に取る場合、リーチしないことによる和了時の得点損失を埋め合わせることはひどく困難なのである。


■相手テンパイの場合、攻めるか降りるか?

 一番に考慮すべきは、「現在自分がテンパイかどうか」ということである。これは「自分の手が高いかどうか」よりも重要である。他家の攻撃がある状況下でマンガンテンパイイーシャンテンという状態は、現在3900テンパイよりも劣るのだ(これは、相手の攻撃がない場合には、必ずしも成り立つとは限らないから注意されたい)。


■絞るべきか否か

(絞りは)自分を含め、結局いつか誰かが出してしまうならば、相手の進行をほんのわずかに遅くさせる程度にしか役立たない。(中略)

絞りを活かすには徹底して「絞り切る」以外になく、つまり自分が和了することをほぼ諦める場合にだけ(しかもその牌を他家も絞る場合にだけ)有効になる可能性がはじめて生まれると考えよう。(中略)

「絞る」ということは、4人いる麻雀において、自分と絞る対象の手を遅らせ、残り2人を有利にしてしまう行為であり、あまりよい戦略とはいえないのである。


■当たり牌は読まない

 第一に、相手の当たり牌を読むのが大切になることはそれほど多くない。リーチに対しては、降りるか攻めるかの判断がまずあって、降りるなら基本的にはベタオリ(1枚も危険牌を通さずに降りる)すべきだし、攻めるなら最大限攻めるべきである。(中略)

たまたま「きわどい手」で、しかもある特定の危険度の牌を切ることがベストであるという状況は、あまり多くない。


■リーチに対してベタオリする場合の「安全牌」の序列

単騎字牌>>スジ19>字牌>スジ28>スジ37>無スジ非456、片スジ456>無スジ456


【感想】

◆まず、本書の著者である「とつげき東北」さん(なんちゅー名前(汗))について、Wikipediaから引用します。

1999年、ウェブページ上に「システマティック麻雀研究所」を設立し、麻雀の戦術論に関する研究を重ねる。 2004年、『科学する麻雀』を出版。従来の麻雀論にはなかった、徹底した数理的・統計的な考察に基づく麻雀戦術論を発表した。当該書籍は、国立情報学研究所「学術コンテンツ・ポータル」からも検索可能となる学術的な内容であり、話題となった。その後、情報処理学会講演、大学講演等においても不定期に研究成果を発表。ごく一部の例外 (コントラクトブリッジなど) を除いて研究が進んでいなかった不完全情報ゲームに属する麻雀を、真に科学的観点から研究した先駆者・第一人者とされる。

前の局の結果が次の局に影響を及ぼすとする、いわゆる「流れ」論については著書の中で否定しており、その意味でデジタル派の雀士である。ただし、本人は「打ち方はおそらく異なる」という理由から、デジタル派を自称していない。

ネット麻雀界ではカリスマ的存在で、彼の研究に賛同する者が数多くいる。事実、ネット麻雀界で上位にいるプレイヤーの殆どが、彼の研究結果を参考にして実践している。

最後の「ネット麻雀界で上位にいるプレイヤーの殆どが、彼の研究結果を参考にして実践している。」というのは凄いな、と。


◆その理論の根元にあるのが、膨大なデータ

そしてそのデータとは、インターネット麻雀の「東風荘」から収集した何万試合にも及ぶ牌譜です。

下記は、著者さん作成のデータ採取&分析ツール「できすぎくん」









さらに実行画面はこんな感じなんですが、ぶっちゃけ私には分析不可能でございます(汗)。


◆実際本書においても、あちらこちらに数式やらグラフが登場しているものの、おそらく普通の方(私を含む)には理解できないと思われ。

単に「データを分析した結果、●●ということがわかりました」と言われて、「そうだったんですか!」とばかりにうなずいていたという(汗)。

・・・多分橋本さんは、私よりは色々と理解されていると思うんですが。


◆ただし、著者さんが言われるように、従来の麻雀というものは、「戦術」「打ち方」「考え方」等の事象において、抽象的だった部分はあると思います。

たとえば「こういう切り方でのリーチ」のときに、「こういう待ちが多い」「裏スジ」「間4ケン」等)というのも、実際にデータを集めたわけではなく(多分)、「昔からこう言われている」という話があっただけではないかと。

そしてそれが理にかなっているのであれば、私自身も、何ら疑問に感じていませんでした。


◆ただ、「考え方が理にかなっている」ことと、「そうである確率」とはまた別のこと。

本書で明らかになったのは、それらの過去の言い伝えが、どれだけ実体(データ)に則していないか、ということに他なりません。

ぶっちゃけ、結構「従来の戦術を否定している」ワケなんですが(汗)。

・・・今まで戦術書を書かれてきた、プロ雀師さんの立場は(汗)?


◆一方で、本書の考え方に反発を感じる方の気持ちもわかります。

上記の「待ち」の話以外でも、大雑把に言えば

「先制リーチ (・∀・)マンセー!」

「回し打ち (・A・)イクナイ!」

「絞れ? でもそんなの (`Д´) カンケーネー」


といった、いわゆる「上級者」と言われる人が、やらなさそうな打ち方のオンパレード!

これを素直に受け止めるということは、上級者にとっては、今までの自分の麻雀ライフを、ある意味否定するようなものですよ(汗)。


◆私自身は、高校が大学の付属高校だったこともあり、高校2年から大学卒業まで、麻雀はイヤというほどやりました。

戦歴的にも、トータルではそれなりに勝っています(多分(笑))。

それゆえか本書の内容は、心情的にショックではあるのですが(笑)、逆に今までもこの打ち方で打っていれば、もっと勝っていた可能性は高いのかもしれません。

少なくとも、本書の論旨は膨大なデータに基づいているわけですし、ね(笑)!


麻雀をおやりになる(なった)方なら一読をオススメ!

科学する麻雀
講談社
発売日:2004-12-18
おすすめ度:4.0


【関連書籍】

◆なお、本書の内容が難しかった方(含むワタクシ(汗))には、もっとわかりやすい同じ著者さんのこの本がオススメらしいです。


マーケットプレイスでしか買えないので、記事にはしない(というか麻雀本記事ばかり載せるわけにも(汗))のですが、私は意味もなくアマゾンアタック

丁度、義父が麻雀好きらしいので、この本で勉強して圧勝してみようかと(笑)。

ハッ!空気読まずに勝ってしまって、ムスコとして許されるのか(汗)?


【編集後記】

◆先日の「シャングリラ・ダイエット」セミナーの記事で、電気グルーヴの「Shangri-La」をご紹介しましたが、今日はその「元ネタ」を。

Bebu Silvetti - Spring Rain




この曲だけのために買うのはアレですが、一応このアルバムに入っている模様。




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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは。

まさか麻雀ネタが出るとは思いませんでした。「わからなかった」をひた隠しにするというものわかる気がします。
Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2008年06月03日 18:48
               
こんなところにとつげき東北の本が出てくるとは思いませんでしたが、非常に優れた、というか麻雀界の唯一のまともな研究書です。
なお、とつげき東北氏のサイト(ググればすぐ出てきます)の「最強水準になるための麻雀講座」というのを読めば本は読まなくても十分強くなれますが、よければ買ってあげて下さい。
初心者でも、ここに書いてあることを理解(数式やグラフは無理でも結論だけで十分)して練習するだけで、雀歴が長いだけがとりえの語り好きな打ち手に圧勝できることは保証します。
なかでも「技術的精神論」の部分は、相場心理学の権威V.K.タープや、タートルズのカーティス・フェイスなどにも劣らない、偶然が結果を左右するゲームに勝つための真理をついたもので、必読です。

Posted by 通りすがりの麻雀好き at 2008年06月03日 21:00
               
>LuckyUSさん

私も橋本さんのブログで見なかったら、多分本の存在すら知らなかったかと思います。
これも何かの縁かな、とか(笑)。

>通りすがりの麻雀好きさん

コメントありがとうございます。
なるほど、やはり実践すれば結果が出そうな気がしてきました(笑)!
残念ながら私の場合、麻雀を打つ時間も面子も無い状態なので、当分試すことはできないのですが、もし機会があればやってみたいと思います。
てか、打つあてもないのに、もう1冊本を買ってる自分・・・(笑)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年06月04日 00:13
               
結果は出ますが、数千試合しての結果ですので、試すにも時間がいります。別に麻雀強くなってもたいして役に立ちませんし(笑)。
彼の考え方やアプローチは、システムトレードのそれと同じで「長い目でみて優位性のあるやり方を研究し、感情を入れずに機械的に続けるだけで圧倒的に強いし、効率的に上達できる」というものです。
ところが、偶然が結果を左右するゲーム(当然、投資なども含む)では特に、目に見える短期的な結果を理由に、こうした明晰なやり方を感情的に受け入れづらい土壌があるようです。
麻雀に「流れ」があるとか、麻雀劇画のような「心理の読みあい」が重要、と言い張る人は今でも山ほどいます。株なんかでも似たりよったりです。
投資でも投機でもギャンブルでも、こうしたことを明晰に知っているプレーヤーは全体の1割にも満たないと思います。だから勝てない人はいつまでたっても勝てないし、勝てる人は常に勝ち続けるのでしょうね。
Posted by 通りすがりの麻雀好き at 2008年06月04日 11:43
               
>通りすがりの麻雀好きさん

レスが遅くなりました(汗)。
なるほどー、麻雀等のギャンブルと、株はある意味同じなんですね!
決め手は「感情と切り離すこと」のような。
私はギャンブルも株もやらないので、イマイチわかりにくいのですが、今度打つときは、「割り切って」やってみます!
アドバイス本当にありがとうございました!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年06月06日 01:21