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2007年11月12日

【必読】「ウェブ時代をゆく」梅田望夫




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、あの梅田望夫さんの最新刊。

大ヒット作、「ウェブ進化論」から、1年と9ヶ月。

その間、対談本(「ウェブ人間論」「フューチャリスト宣言」))や、ご自身の若かりし頃のお話の本(「シリコンバレー精神」)を出されてはいましたが、「ウェブ進化論」の続編となるのは、本書になります。


◆既に、さまざまな著名ブロガーさんによって、評されているこの本。

ギークが褒めぬにゃ訳がある - 「ウェブ時代をゆく」を読む:404 Blog Not Foundさん

ウェブ時代をゆく:池田信夫blogさん

[書評]ウェブ時代をゆく(梅田望夫):極東ブログさん

日頃、ヒトサマの記事は、検索かけてまでは読まないことが多い私ですが、これらのエントリーについては、本書の話題性からはてなブックマーク・最近の人気エントリーで紹介されており、じっくり拝見させていただいた次第。

かといって、それぞれの記事に言及するのもナンなので、自分が思うところを書いてみたいと思います・・・。


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【目次】

序章 混沌として面白い時代

第一章 グーグルと「もうひとつの地球」
 「経済のゲーム」より「知と情報のゲーム」 ほか

第二章 新しいリーダーシップ
 まつもとゆきひろが起こした「小さな奇跡」
 ウェブ2・0時代の新しいリーダー像 ほか

第三章 「高速道路」と「けものみち」
 高速道路を猛スピードで走る少女
 「見晴らしのいい場所」に行け ほか
 
第四章 ロールモデル思考法
 自分の志向性を細かく定義するプロセス
 ブログと褒める思考法 ほか
 
第五章 手ぶらの知的生産
 群衆の叡智を味方につける勉強法 ほか

第六章 大組織VS.小組織
 情報共有と結果志向型実力主義 ほか

第七章 新しい職業
 「志向性の共同体」とスモールビジネスの経営 ほか

終章 ウェブは自ら助くる者を助く



【所感などなど】

◆今回は思うところあって、先に所感から。

というのも、本書は、いつも私が行っているように、「大事なポイントだけ抜き出して、それについて寸評を加える」というスタイルで記事にするには、ちょっともったいない、と感じたからです。

本書の序章には、著者の梅田さんが、「ウェブ進化論」の書評や感想を読み漁った(2万近く)上で行った作業について、こう記載されています。

 私はネット上に溢れる感想を毎朝読みながら、ネットの『あちら側』に作ったプライベート空間(第五章)上にノートを取り続けた。再読したい書評・感想を出典とともに転記した。それだけでも、1日に4百字詰め原稿用紙で20枚から30枚、ときには50枚を超える分量になることもあった。私の本を読み、私が読んだこともない思想書や哲学書を想起される方も多くいたので、そういう本はその場でネット書店に注文し、本が届けば、なぜ私の本とその本が読者の中で結びついたのか考える時間をとった。そして、転記した長い文章の肝ともいえるフレーズを抽出し整理した。こうした一連のプロセスに、累計1千時間以上かけた。そして今思うのは、「あちら側」に作ったこのノートこそ、私が今後も知的生産活動を続けていく上での最も大きな財産になったということである。

つまり、こうした膨大な作業を行った上で、本書は生み出されているわけですよ。

毎日1つの記事を書かねばならない(って勝手に自分で決めてるだけですが)ため、それほど一冊一冊について深く掘り下げることもなく、ひたすら書き続けている私とはえらい違いです(汗)。


◆特に本書において、力説されているのが、「ウェブ進化論」で紹介されていた、将棋の羽生善治二冠の「学習の高速道路と大渋滞」という概念言語化された知がネットを介して共有される時代にあっては、あたかも高速道路を疾走するかのような速度で効率よく過去の叡智を吸収できるが、その高速道路を走りきったあたり〜その道のプロ寸前〜で大渋滞が起こる)に関連する、その高速道路を降りてからの生き方、「けものみち」について。

これは「高速道路を降りて、身につけた専門性を活かしつつも個としての総合力をもっと活かした柔軟な生き方をする」ということです。

おそらくこの辺は、上記のように梅田さんがネット上の書評や感想を吸収し、読者の想いや考えに応えたものなのだと推測。

実際に、高速道路の渋滞の先では、「プロ」になることができる人の方が、圧倒的に少ないわけですし。


◆ところで、スマートな印象(私はそう思ってますが(笑))の梅田さんですが、ご自身が「けものみち」を歩むべく、「アーサー・D・リトル(ADL)」に応募した時のエピソードがなかなか凄いです(汗)。

 経営コンサルタントに必須の「MBA」(経営学修士号)も持たず、専門分野の勉強ばかりしていたから英語もろくにできない。でもADLの求人広告を新聞で発見した直後に応募し「給料は最低年俸でよいこと」「入社したら一生懸命勉強するから、今の英語の実力で判断しないでほしい」と懇願した。今のネットビジネスの世界などもそうだが、エスタブリッシュされていない「新しい職業」の世界は、過去の実績や経験より、情熱のようなわけのわからない要素も、未来志向でポジティブに受け止められやすい。面接の数日後に、私の最低年俸での採用通知が届いた。ロールモデル思考法のおかげで、私は何とか「けものみち」でまずまずのスタートが切れた。

この辺は、かなり泥臭い感じがしますよね。

今まで、梅田さんの書かれてきたコンテンツについては尊敬していたものの、「同年代以上の人には会わないようにしている」という発言(ホントなんですかね?)がちょっと鼻についていた私も、思わず好感を持ってしまいました(安直)。


◆なお、本書では「オープンソース」についても、かなりのページを割いているのですが、私自身がそれほど詳しくないため、下記【ポイント】では割愛させて頂いております(スイマセン)。

また、『「ウェブ進化論」の続編』ということで、「あちら側の世界の将来」について期待された方には、「あちら側」よりもむしろ「自分自身」にフォーカスするかのような本書の内容が想定外だったかもしれません。

私自身も、本書が思ったよりも、「仕事術」「ライフスタイル」的な内容を持っていたことに、正直驚きました(笑)。

いえ、これはこれでかなりツボなんですが(笑)。


◆ただ、本書の本当の「価値」は、読んだ後で、自分自身、どう考え、どう行動するかにかかっているような気がします。

サブタイトルの「いかに働き、いかに学ぶか」が、実は本書の肝なのではないか、と。

下記に「読後メモ」的に一応気になった部分(ライフハック的なまとめ)は挙げておきますが、本書を熟読せずにそこだけ見ても、あまり意味がないかもしれません。

何たって、これだけ付箋貼りまくってしまった中のほんの一部ですから(汗)。

cbd2f7fc.jpg






とりあえず、「今、読むべき一冊」!



【ポイント】

■大組織で成功できる要素(抜粋)
(1)「配属」「転勤」「配置転換」のような「自分の生活や時間の使い方を他者によって規定されること」を、「未知との遭遇」として心から楽しめる

(2)与えられた問題・課題を解決することに情熱を傾けることができる

(5)多くの人と力を合わせることで、個人一人ではできない大きなことができることに充実感を覚えるチームプレーヤーである

(7)組織への忠誠心や仕事における使命感のほうが、個の志向性よりも価値が高いと考える


■高速道路を走るネットアスリートに贈る言葉
●「Only the Paranoid Survive」

⇒「病的なまでに心配性の人だけが生き残る」(そのくらいの緊張感で事に処する者だけが、厳しい競争を生き残る)


●「Entrepreneurship」

⇒アントレプレナーシップの真髄とは、「自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない」


●「Vantage Point」

⇒「見晴らしのいい場所」(その分野の最先端で何が起きているのかを一望にできる場所)


■行動という観点からの3つのアドバイス
⇒信号をキャッチできたら「時間の使い方の優先順位」を変えて、「勝負だ!」とばかりに好きなことに打ち込む

⇒「時間の使い方の優先順位」を変えるにはまず「やめることを先に決める」

⇒「長期「なりたい自分」と短期「なりたい自分」」を意識して、現実的であること


■組織や仕事の5つの危険な兆候
⇒「世の中と比べ、おそろしくゆったり時間が流れている」組織

⇒「毎日同じことの繰り返しで変化があまりない」仕事

⇒「新しいことを何もしない」ことが評価される社風

⇒小さなことでも個に判断させず、判断の責任を集団に分散する傾向のある会社

⇒幹部の顔ぶれを眺めたとき、「その会社に関するプロ」(その会社の内部のことを知り尽くした人たち)ばかりが重用されている会社


■身につけるべき「ウェブ・リテラシー」の例
⇒ネットの世界がどういう仕組みで動いているかの原理は相当詳しく徹底的に理解している

⇒ウェブで何かを表現したいと思ったらすぐにそれができるくらいまでのサイト構築能力を身につけている(「ブログで文を書く」とかではなく)

⇒「ウェブ上の分身にカネを稼がせてみよう」みたいな話を聞けば、手をさっさと動かしてそこに新しい技術を入れ込んだりしながらサイトを作って実験ができる

⇒ウェブ上に溢れる新しい技術についての解説を読んで独学できるレベルまで、ITやウェブに対する理解とプログラミング能力を持つ



【関連記事】

【ひろゆき節】「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」西村博之(ひろゆき)(2007年07月05日)

【IT戦士】「ネットで人生、変わりましたか?」岡田有花(2007年06月19日)

「グーグル―既存のビジネスを破壊する」佐々木 俊尚(2006年04月26日)

「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」 梅田望夫(2006年02月10日)


【編集後記】

◆最近、ムスコがえらく重いという話ばかりココで書いてきましたが、食べる量だけなら、ムスメも負けません!

ただし、ムスメの場合、食べてる割にはかなり華奢。

最近知ったことに、どうも保育園のママ友達の間では、ムスメは「ギャル曽根」と呼ばれているらしいです(汗)。

た、確かに(汗)!


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今回のフォトリーディングのターゲットは、梅田 望夫さんの『ウェブ時代をゆく』です。 副題は「いかに働き、いかに学ぶか」です。 ウェブ進化論の梅田さんの最新刊ということで買いです。 ウェブ進化論ではネットの概念を「こちら側」と「あちら側」 という言葉で表現....
ウェブは本質か?ウェブ時代をゆく@梅田 望夫【フォトリーディング@Luckyになる読書道】at 2007年11月26日 06:50
               
「ウェブ時代をゆく」。レビュー遅くなりすぎましたが載せます(苦笑)。下書き用に使ったメモは「中の人のメモ帳」を。 ウェブ時代のリーダーと右腕 「リーダー」として存在でき...
ウェブ進化論・第2章(ウェブ時代をゆく)【創造マラソン】at 2008年02月13日 05:23
                               
この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは!

「ウェブ進化論」には、私も影響を受けました。
続編なら、要チェックですね。
Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年11月12日 09:14
               
smoothさん、こんにちは。

これはぜひとも読みたい1冊ですね。
ご紹介ありがとうございました。
未読を抱えてますので(汗)、来週あたりに取り上げようと思います。

Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年11月12日 13:05
               
よし!買った!
Posted by ヨシザワ@手ガネ経営 at 2007年11月12日 19:24
               
smoothさんこんにちは。通勤時間を勉強に当てたらまったく本が読めなくてストレスがたまってきました。ウェブ進化論の続編とあらば、しばらく読めなくてもいっときましょうかね!
Posted by 週末起業サラリーマン at 2007年11月12日 20:13
               
smoothさん、こんばんは。
ご無沙汰しております。

「ウェブ進化論」での「あちら側」「こちら側」という
うまい表現は今でもたまに使います。

要チェックな一冊ですね。
紹介ありがとうございました。


Posted by 長谷川佳之@読書による経験価値 at 2007年11月13日 01:26
               
>ニタさん

一応、教養として読むべきでしょう(笑)。
それよか、今日そちらで紹介されている本は、自分のため(笑)?

>LuckyUSさん

実は私も明日未読本行こうかと(汗)。
この本は、すでに書評があがりまくっているので、トラバ打ちまくる、という手もあるかも(笑)。

>ヨシザワさん

いつもお買い上げありがとうございます(涙)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年11月13日 01:52
               
>hikaruさん

えーっと、これは一応「マスト」でしょう。
というか、意外と皆さん買われてなかったんですね〜。
この機会にアマゾンアタックを(爆)。

>長谷川さん

ご無沙汰です〜。
長谷川さんにもこの本はオススメですね。
あと、ブログもっと更新してくださいマセ(笑)!


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年11月13日 01:55
               
smoothさん、こんにちは。

おくばせながら、アマゾンアタックさせていただきました。
楽しみです。
Posted by 麻佐志 at 2007年11月19日 08:15
               
麻佐志さん、アタックありがとうございます。
各所で話題になってますので、この機会にお早めに。

それと、そちらでもご紹介感謝です。
ハッ、そういえばリンク張ってなかったですねー。
急いで張っておきまする・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年11月19日 11:05