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2007年07月21日

【お金の心理】「人はこうしてみすみす損をする」




【本の概要】

◆今日はリアル書店で見かけて購入したちょっと面白い本をご紹介しようかと。

著者の森川洋昭さんは、雑学系の著作が多い作家さん。

本書も、今まで私がヒィヒィ言いながら分厚い本を読んで得た知識が、ライトな感じで上手くまとめられています。


◆本書の帯にあったフレーズ。

人間がおちいる奇妙で、理解不能な金銭感覚の謎を行動経済学でわかりやすく解く本!

お金が絡むと、人はどうして合理的に動けないんでしょうか・・・?


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【目次】

1章 「金銭感覚」の摩訶不思議―人は「後悔するよりまし」と、損を承知で出費する
 人は「後悔するよりまし」と、損を承知で出費する
 人は地道に稼いだ金は出し渋り、あぶく銭はパーッと使う ほか

2章 間違いだらけの「損得勘定」―人は損失にこだわるあまり、傷口をさらに広げてしまう
 人は儲かるときは手堅く、損するときはギャンブラーになる
 人は「高い当選確率」より「高い当選金額」に心を奪われる ほか

3章 「特価」に迷走する消費心理―人は得した気分を味わうと、積極的に金を使いたくなる
 人は「得した気分」を味わうと、積極的に損をし始める
 人は自分の“浪費”を“浪費”と認めようとしない ほか

4章 「買う、買わない」の分岐点―人は大きな買い物のついでに、小さな衝動買いを重ねる
 人は大金を動かすと気が大きくなり、サイフの大きさまで錯覚する
 人は「○○には△△がつきもの」という観念に縛られ散財する ほか

5章 「人気」に潜む心理の罠―人は行列のできる店に「満足しよう」と努力する
人は行列のできる店に、「満足しよう」と努力する
人は最上級のものが欲しくても、中位のものを選んでしまう ほか



【ポイント】

■「心の会計」
【ケース1】

「あなたはフィギュアスケートの競技を観るために1万円の前売り券を買った。ところが、スタジアムの入口で、チケットをなくしてしまったことに気づく。あなたは、もう一度1万円を出してチケットを買うだろうか?」

【ケース2】

「あなたは、フィギュアスケートの競技を観るためにスタジアムのチケット売り場に並んだ。ところが、チケットを買うために手に握っていた1万円札をどこかに落としてしまったことに気づく。あなたは、さらに財布から1万円を出してチケットを買うだろうか?」

⇒一般的な答えだと、【ケース1】は「No」、【ケース2】は「Yes」になることが多い

⇒同じ1万円の損失でも、人は、許せる場合と許せない場合がある


■初期設定への盲従
⇒米国ニュージャージー州とペンシルバニア州では、2種類の自動車保険(「保険の範囲が限定された安価な保険」と「保険の範囲が広い高価な保険」)を選択する事ができた

⇒ニュージャージー州では、まず全員が低額保険に加入し、のちに個人の自由意思によって、割り増し分を払い高額保険に再加入する

⇒ペンシルバニア州では、逆にまず全員が高額保険に加入し、のちに個人の自由意思によって、低額保険に移行する

⇒1992年の調査によると、ニュージャージー州における安価な保険への加入者は80%、ペンシルバニア州における高価な保険への加入者は75%であった

⇒要は「初期設定のまま」ということ


■大がかりな計画には人格が投影される
⇒人は、大金を投入する買物については、迷いや不安を感じながらも、意思決定を行い、そこには自分の全人格を投入する

⇒よって、それを否定されると「人格そのものを否定された」ような気がして、猛烈な怒りをおぼえる

⇒計画が出来上がる前ならば、迷いがある以上、他人の話も聞くが、いったん意思が決定されてしまうとそうはいかない

会社経営者等の事業計画も、それが大がかりであればあるほど、意思決定された後に、反対されると意固地になってしまうので、反対意見を出すならできるだけ早めにする


■損切りができない理由
⇒値下がりした株を売れば、損失は確定になってしまい、大半の投資家はその現実を受け入れたくないため、値下がりする株を持ちつづける

プロスペクト理論の提案者、ダニエル・カーネマン教授のことば

「人は損失に敏感になると、大きな利益を得られるチャンスを捨ててでも、小さな利益を確保するほうを選ぶ」


■得した気分
「平日半額」というが、一週間のうち、平日は5日あるので、本来は「休日倍額」

⇒ガソリンスタンドの「現金特価」もクレジットカード利用に対してであり、ただの「定価」に過ぎない

⇒これらは結局、「特をした気分」を演出している


■郊外のアウトレットが流行る理由
⇒買物にでかける時間と費用を考えると、一定金額以上の買物をしないと「割に合わない」と考えがち

⇒諸外国へのショッピングツアーも同様?


■松竹梅からの選択
⇒寿司屋のメニューで金額によって上から「松」「竹」「梅」とあると、たいてい「竹」を注文してしまう(「極端回避性」または「妥協効果」

⇒行動経済学者のシモンソンとトヴェルスキーの行った、被験者にカメラを選ばせる実験でも、機種の性能、値段にかかわらず、ともかく真ん中が1位当選を果たした

⇒ある寿司屋の主人のお話

「松に入る特ネタは、そもそも数がないんで、あまり売れすぎても困るんですよ。そこでたくさん仕入れられて、値段的にもうかるネタを竹にしているわけで」


【感想】

◆本書を読んでいて、正直、「どこかに載ってた話だなー(笑)」と思うことが多々ありました(笑)。

ただし、今までそれらの話が収録されていた本は、私にとってはほとんどが読みにくかったりしたわけでして(不甲斐ないと言えば不甲斐ないデス(汗))。

それに比べて、本書はひとつひとつのネタが軽くまとめられていて、読みやすいことこの上なし(笑)。

「フット・イン・ザ・ドア」だとか、「ロー・ボール・テクニック」なんてお馴染みのことばも何気に出てきたりします。

その「軽さ」ゆえ、深く追求したい方にとっては、ちょっと内容的に掘り下げ方が浅いと感じられるかもしれませんが(汗)。


◆個人的には、こういうネタをいくつも頭の中に仕入れておいて、ビジネスヒントにしたいと思っております。

具体的にどれ、というのではなく、何か別の情報と結びついた時に、思わぬアイデアになるのではないか、とハゲシク妄想中(笑)

「理屈はよくわからないけど、人ってこうしちゃうもんだよね」的な話は、思わぬ宝の山につながるのではないかと。


◆そう言えば、先日訪れたパスタ屋さんでは、珍しくサイズが「M」「L」「LL」の3種類でした。

「S」「M」「L」の3サイズなら、私も真ん中の「M」を頼みますが、さすがに「L」と言われるとちょっと(汗)。

それに、私自身、もともと量を食べる方ではないので、とりあえず「M」を注文してから、メニューをよく読んだところ、「実はどのサイズでも値段が同じ」なのでした(笑)。

「なるほどー!こうやってワンサイズ下げさせてるのね(爆)」


◆ちなみに、運ばれてきた「M」サイズのパスタは、どう見ても普通の店では「S」サイズ

行動経済学の深みを思い知らされた一件でした。←意味不明


手軽に読める「行動経済学」のさわり!




【関連記事】

「行動経済学」友野典男(2006年07月20日)

「まっとうな経済学」ティム・ハーフォード(2006年10月23日)

「転ばぬ先の経済学」(2007年01月26日)

「ヤバい経済学 」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー (2006年05月07日)


【編集後記】

◆昨日は、「城崎温泉のiPod・携帯で観光ガイド」を運営されているcjさんに色々とお話を聞いてきました。

cjさんは今、「城崎温泉 但馬屋」というサイトも管理されているそう。

あまり細かい事は書けないものの、大変勉強になりました

cjさん、ありがとうございました!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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この記事へのコメント
               
こんにちは。

軽いのも良いですよね。読みやすいですし。
ちょっとむずかしいぐらいが、適度でよいかなと思います。
Posted by 独立起業家:こばやし at 2007年07月21日 11:21
               
どこかにのっていた話の詰め合わせみたいな感じなんですね。

確かにまとまったものってそんなにないですしね。
読みやすいっていうのはいいですよね。

応援クリック!ぽちっ
Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年07月21日 18:14
               
即買いしました!

Posted by ヨシザワ at 2007年07月21日 18:50
               
ネタとして知っておきたい内容です。
また値付け方法を決めるときにも、その根拠として使いたいですね。

>>人は、大金を投入する買物については、迷いや不安を感じながらも、意思決定を行い、そこには自分の全人格を投入する

そう、住宅の場合はコレコレ。
人格が投影されるから小売とは違うんですよね。
ますます読んでみたくなりましたー。
Posted by ビルダーナース at 2007年07月21日 23:37
               
>こばやしさん

確かにそうなんですが、こばやしさんにとっては、軽すぎるのではないかと(笑)。

>院長サマ

読みやすい、というのが新書の取柄なんで、これはこれで私はアタリでしたよ(笑)。

>ヨシザワさん

お買い上げありがとうございます。
でも、お金のプロには簡単すぎるかも(汗)。

>ビルダーナースさん

値付けを考えるなら面白い一冊かもしれません。
割安感とか割高感とか。
それと住宅はホント「超高額」商品ですからね〜(笑)。
参考になればウレシイです。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年07月22日 09:06
               
ごぶさたです。
おもしろそうな本ですね。

こういう事あるよな〜、という心理は
やはり自分も陥ってしまうんですよね。
改めてこういう本でも読んで
意識を変えてみようかな、なんて思いました。
Posted by きよまる at 2007年07月22日 09:07
               
>きよまるさん

ご無沙汰っす〜!
スンマセン、私のmixiは完全にメッセ専用になっております(涙)。
またどこかでお会いしたいですね!

あ、そうそう、コメントの2つ上の「ビルダーナースさん」って、弘中さんのセミナーの飲み会で同じテーブルにいた方ですよ(笑)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年07月22日 09:15