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2007年04月17日

「変われる国・日本へ イノベート・ニッポン」坂村 健


変われる国・日本へ イノベート・ニッポン
アスキー
坂村 健(著)
発売日:2007-03-12
おすすめ度:5.0



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【はじめに】

◆おはようございます、smoothデス。

今日ご紹介する本の著者の坂村 健さんは、あの「TRON」の提唱者であり、ユビキタスという概念を世界に広めたお方。

世界で活躍されている方だけあって、外国との比較等から「日本」という国に対して、提言をされています。

技術力では劣ってないハズの、「日本の問題点」とは何か(汗)?

個人的に最近気になっている「アスキー新書」からの登場です。


【目次】

第1章 イノベーションとは何か
 日本は世界と戦えない
 イノベーションとは「これからの日本をどうしたいのか」
 少子高齢化社会に必要なイノベーション ほか

第2章 イノベーションが日本を変える
 日本の現状を把握する3つのポイント
 イノベーションは技術だけではない
 世界の「フラット化」なんてあり得ない ほか

第3章 ケース・スタディ型社会を目指して
 日本はなぜ競争を避けるのか?
 技術力だけではない日本と世界の差
 イノベーションに莫大な予算をつぎ込むアメリカ ほか

付録 ユビキタス・コンピューティングの現在


【気になった点など】

■「イノベーション」の本当の意味

⇒元々は単なる技術や経営の革新だけではなく、制度や仕組みの革新が中心だった

⇒「イノベーション」とは「利益を生むための差を生むための行為」である


■3つのイノベーション

●「プロダクト・イノベーション」

⇒人とは違う製品を作るというイノベーション(普通の製品開発など)

●「プロセス・イノベーション」

⇒方式・運用に関するイノベーション(トヨタの「カンバン方式」など)

●「ソーシャル・イノベーション」

⇒制度・構造を作るイノベーション(多くの場合、「インフラ・イノベーション(「銀行」という制度、「高速道路」というシステムなど)」)

★日本人は、「ソーシャル・イノベーション」が弱い


■YouTubeを生み出したイノベーション

⇒YouTubeは何も難しい技術は使っていない

⇒Googleが買ったのは、画期的な技術ではなく、YouTubeという枠組みの新規性

⇒米国では、著作権について「セーフハーバー規定」というものがあり、「違法の事実を知らされたら削除する」だけで良い

⇒日本では訴訟が怖くて、誰も新しい試みを行おうとしない


■イノベーションのジレンマ

⇒インフラ型のイノベーションほど、研究開発をしてから、儲けを出すまでの時間が長い(インターネットで45年)

⇒この儲けが出るまでの期間は、通称「死の谷」と言われている

⇒株主が沢山いる大会社だと、45年後の利益のために投資をするということなどできない

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
翔泳社
クレイトン・クリステンセン(著)玉田 俊平太(著)伊豆原 弓(著)
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5

⇒インターネットの場合は、アメリカ国防省が金を出した


■シンガポール版ETCの成功

⇒日本のETCとの違い

・高速道路ではなく、一般道対象

・全車搭載が義務付けられている(不搭載だとカメラでナンバーを撮影され、後で罰金)

・専用レーンもバーもなく、簡素なフレームのゲートが道路にかかっているだけ

・読み取りは100%ではないので、取りもらしもあるかもしれないが、全体コストを考えると十分

⇒日本の場合、いまだに高速道路のランプ1箇所に大量のコストがかかっている


【読後の感想など】

◆なかなか面白い一冊でした。

斬新な企業が諸外国(特に米国)から出てくるたびに、「なぜ日本から、このような企業が出てこないのか」と思われる方は結構多いと思います。

本書はその答えの一つとでも言いますか。

もちろん、国民性の問題や、長く終身雇用制だったことなど、要因は色々あるのでしょうけど、私の場合、「ソーシャル・イノベーション」という言葉自体知りませんでしたよ(汗)。


◆「官民分離」という言葉はさておき、とりあえず、インフラ部分については、国と企業が一体となる必要がありそうです。

さらには、法務部分も。

米国の方が訴訟社会であるのに、上記のセーフサーバー規定によって恩恵を受けたベンチャー企業は多いハズです。


◆説明が難しいので(笑)上記で言及しきれませんでしたが、本書で坂村先生はゆるく考えるビジネスモデルを推奨されています。

100%の完璧を求めるのではなく、シンガポール版ETCのように、「取り漏れがあってもいいじゃないか」ということ。

これを先生は「ベスト・エフォート」と呼ばれています。

各人ができる限り最大限の努力をすることを前提に、全体についての絶対保証はないことを知った上で利用する、すなわち「自己責任」を負うということです。
(中略)
 技術が完璧でなく全体に責任を持ってくれる主体もいないシステムというと、ひどいもののように聞こえますが、実はすでにみなさんが日常的に使っているもののなかに存在しています。
 典型的なものが道路です。

確かに道路は毎年1000人単位で死亡者が出た上に、システム全体に無限責任を持ってくれる主体もありません。

「ご利用は自己責任で」・・・ってまるで「2ちゃんねる」みたいですね(笑)。


◆と思ったら、実際、坂村先生は2ちゃんねるについてもこのように言われていたのでした。

2ちゃんねるは、読み方が理解できないから混乱するのです。単に良いとか悪いとか、匿名か非匿名かという議論ばかりするから、本質から外れてしまうのです。
 そうではなくて、「2ちゃんねるの読み方」、あえて言い換えれば、「わけのわからないものを見る方法」を教えるべきだと思います。それもないから「匿名が悪い」とか、ノイズを見て「便所の落書きだ」などという意見が出てくるのです。そんな議論は不要です。
 それよりも読み方を訓練することで、有益な情報も拾えるようになる。そのようなことを国民にわかってもらう努力を日本政府はしなければなりません。

・・・ウチのヨメなんか、私が2ちゃんねるで京ぽん情報調べてたら、ドン引きしてましたけどね(汗)。

考え方をちょっと変えてみたい人に!


【編集後記】

先日の編集後記で、「カエルちゃん」の手遊びをご報告しましたが、今回はさらにスケールアップ。

とうとうミニーちゃんが登場(汗)。

下の画像のように、私が後ろに隠れて両手を操っているだけなんですが(笑)。

411b49af.jpg




(撮影はムスメです(笑))






またもや声色を変えて「一緒に遊ぼう」と言いながら、横からそっとムスメの顔を見てみたら、思いっきりミニーちゃんの顔に向かって「何して遊ぶ〜?」と話しかけてきました(笑)。

まだまだ幼いです(笑)。


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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは!

次、
ビデオカメラ貸しますよ、
撮っておいたら、傑作ですね。


同じく、親バカ(笑)。

Posted by ニタ@教えて会計 at 2007年04月17日 08:19
               
シンガポール...大前先生に続いて、坂村先生もシンガポールなんですね。

やはり一度、シンガポールと言う国について調べておかないといけないかも知れない...


Posted by a_aji at 2007年04月17日 08:38
               
おはようございます!

ベストエフォートでADSLを
連想しました。

NTTが当初導入に躊躇したのも
「加入者全員に100%安定した
通信を提供出来ない」という
しがらみでしたよね。

利用者側も100%保証されていなくても
良いからと言う割り切りで
ここまで普及したのでしょう。

Posted by ヨシザワ@手ガネ経営 at 2007年04月17日 08:59
               
問題が生じる、というより問題だと捉える本質はいつも同じなのかなぁと思えました。
完璧大好きの日本人には利用者責任の意味合いも他国とは異なる気がします・・・。
昨日のダンケネディ関連も面白そうでしたが、こちらも面白そうな内容です。
ベストエフォートの事例ももっと知りたいので要チェックしておきまーす。

大きいミニーちゃん人形かわいい!
大人になった今でも、大きい人形に憧れます♪
Posted by ビルダーナース at 2007年04月17日 09:34
               
こんにちは。
これは気になりますね。
smoothさんの評価もいいようですし。
にしてもアスキー新書なんてのもあるとは。
最近あんまり本屋に行ってないので(;´д`)
Posted by シン@偽哲学者 at 2007年04月17日 09:40
               
smoothさん、こんにちは。

何事も枝葉末節にこだわって
なかなか全体を俯瞰できないのが根本に
あるのかも、と思いました。

そういう意味で今日私のところで
書いた本と似てるかも。

と宣伝してみる(笑)
Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年04月17日 09:47
               
こんにちは。

ソーシャルイノベーションは、大きな枠ですね。
社会制度も含めて、対応する必要があるということですよね。
Posted by 独立起業家:こばやし at 2007年04月17日 10:35
               
smoothさん、こんにちは。

ソーシャルイノベーション
ゆるく考える。

日本との違いが新鮮に捕らえることができたように感じました。

イノベーションのジレンマもうなづけました。

そして、ミニーちゃんに隠れてがんばってるパパの姿にすこし感動しました(^-^)b
Posted by たなか@心レベル at 2007年04月17日 11:59
               
日本という枠組みから出ようという若者も増えてきていますね。確かにこのままで戦えないぞ、日本、という気がします。気になる本です。
Posted by meg at 2007年04月17日 17:09
               
2ちゃんねるはそうですよね^^;

独特な表現ばかりだから、
どこかしら違う世界性がそこに生まれてますしね。

応援クリック!ぽちっ

Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年04月17日 17:30
               
smoothさん、こんにちは。

この本、ウィッシュリストに入っていて
気になっていたので参考になりました。

最近は新書ブームであちこちから出ていますね。リアル書店でもコースの1つ。値段が手頃。
アスキー新書では「新しいお金」読了。★3つ。

明後日(リアル書店なら明日?)発売の大前研一氏の「ビジネス力の磨き方」も気になるので、週末リアル書店に
立ち寄ります(=買います(笑))

でも明日アマゾンから3つ届くんだよなぁ(^^ゞ
本ばかりではありません。といっておかないと。
ペリカンの配達兄ちゃんは「またか」と思われているだろうな。
佐川メール便は勘弁してほしい>Amazon
Posted by ryosuke-star at 2007年04月17日 19:54
               
smoothさん、こんばんは
ゆるく考えるモデルとはうまく言ったものです。一歩踏み出してみないと見えない光景がありますから、イノベーションの格差につながる理由かもしれませんね。
Posted by マチスケ at 2007年04月17日 20:43
               
今日はちゃんと最新記事を読んでますよね!(笑)
私もどーして古い記事にアクセスできちゃうのか不思議ってアホな私ですが。
でも、以前の記事もとっても
参考にさせてもらってますので
感謝です!

イノベーションねぇ〜・・
これからの日本にはとても必要ですよね。

ミニーちゃんに話しかけるお嬢ちゃん
かわいいでしょうね!
Posted by イヴォンヌ at 2007年04月17日 21:43
               
ソーシャルイノベーションですか。
私もはじめて知った言葉です。

見えないものを見える化する本は、
気づきがあって面白いですよね。

チェックしてみます。
Posted by 週末起業サラリーマン・・・hikaru at 2007年04月17日 23:32
               
>ryosuke-starさん

大前さんは、私も予約しました。
新書なんで、もう見もせず買います(笑)。

私もペリカン便のお兄さんとは、もうかお馴染みというか、顧問先の誰よりも顔合わせてます(汗)。

それにしても、ryosuke-starさんも、当ブログにぴったりのビジネス書ジャンキーぶりですね(笑)!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年04月18日 11:15