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2007年01月28日

「タイアップの歌謡史」速水健朗


タイアップの歌謡史タイアップの歌謡史

【はじめに】

◆おはようございます、smoothデス。

今日お届けするのは、「日本の歌謡界と広告の関係」について膨大な資料をまとめた一冊。

それにしても、知っている曲でもその裏事情を知るとビックリ。

「こんな曲もタイアップだったとは(汗)!」



【目次】

はじめに
1.戦前と戦後初期のタイアップソング
2.テレビのバラエティ番組は何を変えたのか?
3.テレビCMの成長期とタイアップソング
4.大イベントを支えたタイアップソング
5.台頭する新しいタイアップソングたち
6.CMソングからイメージソングへ
7.イメージソングと「ザ・ベストテン」の80年代
8.TVドラマとタイアップソングの時代
9.ビーイングとタイアップの時代へ
10.Jポップの全盛時代
11.ポスト・タイアップ時代
12.タイアップ賛否両論
「あとがき」に代えて



【気になった点など】

◆他のブログ等を見ると、ネタバレに注意されている方も結構いらっしゃいました。

「どの曲が何のタイアップ」だとか(元々有名なのも多いんですけどね)。

私個人としては、あくまで自分が引っかかったところを挙げていきますので、本書の要点とは結構ズレているカモ(笑)。


■1968年のステルスマーケティング(?)

⇒プリマハムの新製品「スナッキー」の宣伝を目的として作られたレコード、「スナッキーで踊ろう」

⇒「ゴーゴー」「モンキーダンス」等と同じく、「海外から来たニューリズム」として「スナッキー」を装う

⇒結局曲はヒットせず、商品自体も話題にならず

⇒同時期、橋幸夫の「恋のメキシカンロック」でも東レの商品展開にあわせた色に関する言葉(「サパタブラック」「マタドールレッド」など)が密かに使われていた


◆こんな時期からこういうことやってたと言うのが、自分的には新鮮でした。

あまり成功しなかったようですが(汗)。


■「南太平洋裸足の旅」

⇒1977年、資生堂とワコールをスポンサーに、各界のクリエーターが西サモアを訪ねる旅が催される

⇒参加者は、阿久悠(作詞家)、池田満寿夫(版画家)、横尾忠則(画家)、浅井慎平(写真家)、平岡正明(評論家)、酒井政利(CBSソニー)

⇒企画した電通の藤岡和賀夫の意図したものは「ブームメーキング」

⇒この旅から生まれた作品・・・『時間よ止まれ』(矢沢栄吉)『魅せられて』(ジュディ・オング)『いい日旅立ち』(山口百恵)『裸足の季節』(松田聖子)


◆この部分については、著者の速水さんがご自身のブログで抜粋されています。

自分的には「アイデア・発想」のヒントとして取り上げてみたかったという(笑)。


■イメージソングからタイアップソングへ

●「イメージソング」

⇒広告制作サイドがレコード会社に楽曲制作を委託する形で行われるのが通例で、代理店主導で行われる広告キャンペーンの一環としての色彩が強かった

●「タイアップソング」

⇒イメージソングがヒットにつながりやすいことを知ったレコード会社は、楽曲の使用料を値引きするようになった

⇒「値引きの形態」

「使用料徴収の管理事務のため出版社がJASRACに提出する"作品届"に、"留保制限"と呼ばれる事項を書き加えることによって、JASRACが当該楽曲の放送使用料を一定の限度内で徴収しないようにする」という条件で「値引き」が行われているのである


■テレビ局とタイアップの問題

⇒アテネオリンピックの実況でのNHKアナの発言、「伸身の新月面の描く放物線は、栄光への架け橋だ」は、NHK子会社が原盤権を持つ、ゆずのオリンピックテーマソングのタイトル「栄光の架橋」とを結びつけたもの

⇒しかも番組放送中にこの曲がかかるたびに、NHKの子会社にお金が入る仕組み

⇒音楽ライター高橋健太郎氏のITジャーナリスト津田大介氏との対談での発言から。

「米国では放送局が音楽出版を持つのは禁止されているのに、日本は大丈夫だからタイアップビジネスが主流になっちゃう。そりゃテレビやラジオ局は自分の子会社が出版やってる音楽をガンガン流せば使用料が発生して収益になるわけですから、レコード会社に対して、タイアップしてやるから出版権よこせって話になりますよね」


【読後の感想など】

◆かなり読み応えがありました。

この1冊で、日本の歌謡史がザッと確認できる、という意味では、手元に置いておきたい一冊かも(笑)。

私自身は、全然その部分についてピックアップしてませんが(笑)、あくまで本書のメインの内容は(目次をご覧頂ければおわかりのように)、「TVドラマやCM、イベントと歌謡曲との関係」ですから。


◆ただ、怖いのは、もしこの本がタイアップをテーマにしておらず、フツウの「日本の歌謡史」だったとしても、それほど違和感がなさそうなところ。

つまり、それだけ日本の歌謡曲とタイアップとは密接な関係にあるわけで。


◆一方それに対する試みとして、最近は、「mF247」のような「草の根的」にヒットを模索するシステムが出来てきたりもしています。

これに関しては、昨日の八重洲ブックセンターランキングにあった、佐々木俊尚サンの「次世代ウェブ」に結構詳しい記載がありました。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル次世代ウェブ グーグルの次のモデル


◆また個人的にチェックしておきたい点として・・・

●日本テレビの「『スター誕生』は、渡辺プロのタレント独占状態を打破するためのものだった」(Wikipediaだと若干違うようですが)

ビーイングは、モータウンのシステムを目指していた

●松田聖子のデビューには、直前に引退した山口百恵用の莫大な宣伝資金が充てられた


なんてところも。


◆唯一気になるのが、膨大な資料を元にして書かれた反面、ほとんど当時の関係者に対して「取材らしい取材」がなされていなさそうなこと。

ただ、これは逆に言うと、過去に出版等されたテキストベースで第三者的な確証がある以上、「速水さん自身がでっち上げた部分はない」と言えるのではないかと。

マーケティング、プロモーションに興味のある方だけでなく、純粋に日本のヒット曲が好きな方にも、ぜひ手ご一読を・・・。


【昨日のお買い物】


◆ブックファースト銀座店にてゲット。

ちょっとぁゃιぃところがまたグッド(?)。


【編集後記】

◆昨日は家族で韓国料理屋さんのランチを頂きました。

3da00822.jpg













私が注文した石焼ビビンバ。

美味しかった〜!


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この記事へのコメント
               
おはようございます!
「昨日のお買い物」は強烈ですね(^_^;)
タイトルからして、
「まだこんな事を」的ですし、
実際に出してきた本が。ヾ( ´ー`)
情報商材じゃなくて、本になるとは。
色々な出版社があるものです。(^O^)/

Posted by ヨシザワ at 2007年01月28日 09:31
               
こんにちは。
ヒット曲の変遷などを見ると、おもしろいですよね。
ヒントになるかもしれません。

Posted by こばやし at 2007年01月28日 10:20
               
音楽のランキング変動も面白いものですよね。
その曲そのものというより、
周りの状況の影響が大きいですしね。
石焼ビビンバおいしそうですね^^
応援クリック!ぽちっ

Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年01月28日 13:25
               
smoothさん、こんにちは。
こういう本も読むとはちと意外でした。
でもたまには趣味だけで本読むってのも
良いもんですよね。
勉強だけじゃ疲れますから。
石焼ビビンバ、私も大好きです。

Posted by LuckyUS at 2007年01月28日 16:59
               
お!骨がありますね。さすが、音楽ネタを語らせると実は、かなりすごそう。たぶん自分は手に取らないけど、興味深そうですね。

Posted by ぼうや at 2007年01月28日 17:25
               
smoothさんこんにちは。
今日のお話はちょっと弱いジャンルかもしれません(汗
芸能は多くの人に認知させるチャンスととらえると、タイアップは当たり前なのかもしれませんよね。苦しいコメントでした^^;

Posted by 週末起業サラリーマン・・・hikaru at 2007年01月28日 18:19
               
smoothさん、こんばんわ。
タイアップ。考えても見ませんでしたが
色々なんですね!勉強になります。
またまた、ヨメネタでスミマセンが、
ヨメが高校の時、体育で槍投げをやったそうです。
体育教師の前でやりをもって並んでいると、ヨメ一人だけ槍の先を上に向けて
並んでいました。(下に向けたほうが安全。)
「おまえ、ビビンバか!」
と突っ込まれたそうで・・(^-^;
本場韓国のビビンバうまそうです(^-^)

Posted by たなか@心レベル at 2007年01月28日 18:43
               
smoothさん、こんばんは
以前、洋楽が得意と聞いた記憶があり、歌謡曲もテリトリーだったんですね。全体を見るとビジネスにも応用できそうですね。

Posted by まちすけ at 2007年01月28日 22:05
               
>米国では放送局が音楽出版を持つのは禁止されている
そーなんですか??
日本では禁止されていないというのも知りませんでしたが、確かに商品とイメージソングはセットで記憶に残っています。
洗脳されちゃいけないわ〜。

Posted by ビルダーナース at 2007年01月28日 22:31
               
smoothさん、こんばんは!
う〜む、TVを全然見ていないとタイアップ商品にも疎くなります……(苦笑)。
商品側にとっても音楽側にとっても、宣伝にはなりますよね〜。他分野でに応用できたりしないかな^^;

Posted by 淺田 義和@創造マラソン at 2007年01月29日 03:08